親友の兄貴がヤバイ8

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 若干呆然としながらも、確認するように今抱かれたいって言いましたかと問いかければ、上げていた顔がまた下がって肩口に額が押し付けられる。そうしてからはっきりと、抱かれたいって言ったよと肯定が返された。
「俺、お前が思ってるより多分ずっとちゃんと、お前に恋が出来てる。お前の好きをもっとたくさん受け取りたいって思ってる」
 信じないかもしれないけどと前置いて、更に彼は続ける。
「お前たち見ながら、大事で可愛いばっかりなはずの弟相手に、嫉妬することも本当にあるんだ」
「えっ?」
「お前たちが親友なのわかってるし、受験勉強してるだけってわかってるし、どっちかって言ったら弟がお世話になってすみませんとかありがとうって場面なのもわかってる。それでも、早く俺にもあんな顔見せてくれるようになったらいいなって、いつかちゃんとそんな日がくるのかなって、弟を羨ましく見てる自分が居るわけ。いっそ自室に篭ってお前ら見なきゃいいとも思うんだけど、でも、真剣に勉強してる姿も、時々あいつに教えてやってる時の優しい顔も、何か言われて嬉しそうにしたり慌てたり照れたりしてるっぽいのも、見てるの好きなんだよ。俺の前だと身構えるのか、表情すごく固いというか作ってる感じもするからさ、あいつの隣にいる時の少し緩んだ感じが好きなの」
 呆然と聞き入ってしまっているせいで、でもその事実にへこんだりもするんだよと、彼の言葉はまだ続いていた。
「俺がお前の好きって気持ちに応えることをしなかったら、多分お前たち付き合ってたと思うし、イチャついてる二人見てるとその方が良かったんじゃって考えたりもするんだけど、でもそれ考えると胸が痛くなる。お前のこと、もう大分好きになっちゃってるんだなって、突きつけられる。だから今日のデートは本当に楽しみだったし、プレゼントに俺を欲しいって言われたのも、自分が抱かれる側だってわかってても結構嬉しかった。さっき、俺がキスしてって言う前にお前からキスしてくれたのも、凄く、嬉しかった」
 最後の言葉に背を押されて、繋いだままの手を引き寄せながら空いた側の手で相手の体を抱き込むようにして、そのままゆっくりとベッドマットに押し倒す。
「もう、いいです。十分です。ありがとうございます」
 素直に仰向けに倒れてくれた相手の、泣きそうに真っ赤な顔を見下ろしながら告げた。
「なんで、お礼なんて言うの」
 困ったように瞬くのに合わせて、ホロホロと幾つかの涙が零れ落ちていく。片側は空いた手で、もう片側は唇を寄せて、その涙を払うように目元へ触れれば、緊張と驚きを混ぜた様子でヒクリと相手の体が揺れるのがわかった。
「お礼を言ったのは、俺がどうしようもなく子供で、恋愛とか恋人とかって関係に慣れてないせいで、貴方に負担が掛かってるのがわかるからです」
 片手は頬に触れたまま、顔だけ上げて申し訳ないという顔を作る。確かに、彼の前では表情を意識的に作っている事も多かった。そうしなければ、本心から申し訳ないと思っていたって、怒ったような顔になってしまうだろうことを自覚している。
 彼の前では身構えてしまうというのも当たっていた。それを辛いと思われているなんて事は、言われるまで欠片も考えた事がなかったけれど。
「俺の意地で貴方に抱かれる側になって貰うのに、あれこれリードして貰って、きっと言わなくて済むなら言いたくないようなことまでたくさんの言葉を重ねて貰って、そうしてようやく貴方に安心して触れられる、情けない男でごめんなさい」
「いいよ。初心で可愛い範囲だよ」
「貴方こそ、泣きかけの可愛い顔で、そんなこと言わないで下さいよ」
「五つも年下の男の子に、可愛いなんて言われて嬉しいの、ビックリするね」
 弟に可愛いなんて言われたら、兄をからかうなってゲンコツ落としちゃうと思うのにと言いながら、ふにゃんと笑う顔は随分と幼く見えてますます可愛い。
「可愛いですよ。凄く、可愛い。でも、やっぱり格好良いとも思います。格好良すぎて、大人で、本当に全然敵う気しませんけど、でも、貴方が好きです。貴方の可愛い部分を、もっと見たいです。本当に、このまま抱いてしまって、いいんですね?」
 始めたら途中でやっぱ無理って嫌がられても自制出来る自信ないですけどと言っても、彼の返事はいいよの言葉と、今度はもう幼くはない、柔らかで大人びた微笑だった。

続きました→

 
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