兄は疲れ切っている23

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 顔を覆ってしまったので兄の顔は見えていないが、おかしそうに笑っている気配は伝わっている。もしかして遊ばれているんだろうか、と思いながらソロリと顔を覆う手を外した。そんなこちらの恐る恐るな動きが、また兄の笑いを誘ったらしい。
「お前も、今日、ちょっと可愛いな」
「何言ってんの。てか誰のせいだと」
「んー……俺?」
 ヘラっと笑うのすら可愛くてなんだか悔しい。
「自覚あるなら自重して」
「何を?」
「可愛いのを」
 ふははと楽しげに笑ったかと思うと、それは無理かな、なんて返してくるから、コノヤロウと思ってしまう。やっと恋人になれて、自分たちが両想いだって確かめ合うようなセックスをしようって話なのに、このままだとうっかり襲いかかってしまいそうだ。惨めにさせないのは当然にしても、無理を強いるつもりだってないのに。
「想定以上に可愛くなりすぎてて、抑えきかなくなりそうなんだけど」
「抑えきかないとどーなんの?」
「イッちゃうからヤダも、もーむりも無視して、イカせまくって抱き潰す」
 そんな忠告混じりの言葉にすら、ふはっと笑って、情熱的だ、なんて感心したみたいに返してくるのはなんなんだ。ずっとしんどそうな顔ばかり見てきたから、笑っていてくれるのは間違いなく嬉しい。惨めだと思ってないのがわかるから、安心だってする。だけど。
 両袖は通ったままだけれど、前を大きく開かれて肌を晒した身を投げ出すように寝転がって、ツンと尖らせた胸の先は舐め吸われた片側が濡れているし、もう片側だって指で弄りまくったせいかいつもより色が濃いし、元から下着など履いていなかった下半身だって、イキそうだと訴えていた股間のペニスはまだ萎えていないし、先走りをまぶすみたいにぐしゅぐしゅと扱いてやったせいで全体的に濡れたままなのに。そんな姿で、ヘラヘラふわふわ笑いを振りまかれているこっちの身にもなって欲しい。目に毒すぎて困る。
「いいのかよ、そんな笑ってて」
 襲うぞって言ったら、だって、とようやく少し困ったような顔をする。
「お前が俺をちゃんと好きで、俺を恋人って思ってて、しかもその恋人が可愛くて仕方ないって思ってて、めいっぱい可愛がりたいって思ってんの、わかっちゃったらさ、嬉しくて、笑うの我慢できないよ」
 やっぱりヘラっと笑われて、襲ってもいいけどお手柔らかに、なんて言われたら、やっぱり叫ばずにいられなかった。
「もぉおお! ねぇ、ちょっと、ホント頼むから少しくらい自重して。今の聞いて、お手柔らかにが俺に可能とか、本気で思ってんの?」
「んー……」
 閉じた口の中でも笑っているらしく、んふふとこもった音を漏らしながらしばし逡巡した後。
「あのな、」
「なに?」
「お前煽った自覚、ある」
 つまり、手加減なしにイカせまくって抱き潰しても構わないって、そういう意味でいいんだよな? とは思ったものの、さすがにちょっと信じられないというか、あまりに都合が良すぎて不安になる。
「え、で、つまり……?」
「つまり、あー……その、うんと情熱的に可愛がってよ、みたいな?」
 いやこれさすがに恥ずかしいんだけど、だの、何言わせんだ、だの、頬をじわっと赤くしながらへニョへニョに緩んだ顔で言い募る兄を見つめる自分の顔も、じわじわと熱を持っていくのがわかった。

続きました→

 
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