知り合いと恋人なパラレルワールド9

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 先輩が言うには、向こうの世界は同性愛者がこちらと比べ物にならないくらい多く、同性婚も普通に認められているらしい。そして、確認できた数が少なすぎて絶対とは言い切れないが、こちらの世界とは性嗜好が逆な人が多かったとも言った。
「それを踏まえてよく聞けよ。こっちのお前は女が好きで、向こうのお前は男が好きだ。そして、向こうの俺は多分基本的には女が好きで、俺自身は男が好きだ」
「ええっ!?」
「まぁ向こうの俺はお前と恋人だったんだし、今現在お前も俺と付き合いたいと思ってるみたいだから、きっかけと周りの環境次第で性対象の性別なんて曖昧になるもんなのかもとは思ったけどな」
 言葉を切った先輩はこちらの返答を待っているようだったけれど、何を言えばいいのかわからない。困って先輩を見つめたら、先輩はコーヒーを一口啜った後、真っ直ぐに見つめ返してくる。
「向こうの世界とこっちの世界をごっちゃにしてると、痛い目見るのはお前だぞ」
 こっちの世界は向こうの世界ほど、同性で付き合うことに寛容じゃないと続けた先輩は、どことなく苦々しげだ。確かにこうして自分が先輩を好きにならなければ、まったく縁のない他人事で未知の世界だったし、非難する声があることももちろん知ってはいる。
 先輩自身、戻ってこれて良かったと言っていたけれど、それは向こうの自分やその恋人だった向こうの先輩を想っての言葉であって、元々男が好きだというなら、先輩自身はやはり向こうの世界のほうが生活しやすかったのではないかと思った。
「お前は俺を好きになって振られたって何人かに話したみたいだけど、なんだかんだ俺の耳に入るくらいには既に噂になってるし、そんなお前に否定的な奴はサークル内にも当然いる」
 既に噂になっていると聞いて血の気が引いた。というよりもなんだかショックだ。
「応援するとは言えないけどそれでも頑張れって言ってくれたのに……」
「お前が話した奴が、悪意で流した噂かどうかまではわかんねぇよ。複数人に話したなら、そいつらが話してるのをたまたま聞いたとかかもしれないだろーが。後、お前がゲイバー行って俺のために男の経験値積む気だから止めてくれって俺に言いに来たのは、お前の友人だからな。そいつにはおせっかいを感謝した方がいい。お前がここんとこ暴走気味だって心配してたぞ」
 なんとなく誰かは分かってしまった気がするが、それでも誰ですかと聞いてみる。返された名前はやはり、ゲイバーに付き合ってくれと頼んだ時に、止めておけと諭してきていた友人だった。
「正直、ゲイバー行くより合コン行って彼女作るなりしたほうが、こっちの世界のお前は生きやすいと思う。それでももし、お前が俺と付き合いたいってなら、元々男が恋愛対象で現在フリーの今の俺には、断る理由がない」
 答えを出すのは今じゃなくてもいいからしっかり考えろと言われたけれど、考えたって答えは変わらないに決まってる。
 結局先輩がこちらを避けてたのだって、要するに、元々男が好きだったわけではない自分を想ってくれての事だ。向こうよりも同性愛に寛容とは言い難いこの世界に、傷つけられないようにと考えて距離を置いてくれていた。
 そういう所が、きっとたまらなく好きなのだと思う。先輩の持つ優しさに触れるたび、どんどんと好きになる。
「それでも、俺は先輩と、付き合いたい。……です」
「お前は、そう言うんじゃないかって思ってた。ただ、向こうの俺ほどセックス上手くないから期待はするなよ」
「別にエッチなことされたくて先輩と付き合いたいわけじゃないですよ!」
「けど、向こうの俺に抱かれて、めちゃくちゃ気持ち良かったんだろ?」
 先に3回もイかされたって? と揶揄う口調に顔が熱くなった。

続きました→

お題提供:pic.twitter.com/W8Xk4zsnzH

 
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