背後で閉まる扉の音と、自分の溜め息とが重なる。平静な顔をして教室に戻る気にはなれず、チラリと腕時計を確認してから屋上へ向かった。
昼休みが終わるまでにはまだ暫くの余裕がある。こつさえ掴めば簡単に開いてしまう錠を外し、少し重い金属の扉を押し開け、冷たくなってきた風の吹く外へと踏み出した。
正面に見えているフェンスへ向かってまっすぐ歩いて行く。けれど、景色を眺めたい気分ではなかったから、フェンスに寄り掛かるようにして座った。
この屋上でも、体を重ねたことがない訳じゃない。出入り口の扉のちょうど真裏で、壁に手をつかせた雅善を、後ろから抱いた。後ろからまわした腕で、少しでも、雅善にも快楽を与えようとしたのだが、酷く嫌がられたのを憶えている。
抱かれたいと言って誘うくせに、感じている顔なんて、見せたことがない。
痛みをこらえているのがわかる。
泣きそうな顔をしていることがある。
そのくせ、誘う回数は増えていくばかりで。
唯一幸せそうな顔を見せる瞬間があるとすれば、
それは自分が達した後。
ホッとしたような、微笑。
抱かれたいんじゃなくて、
本当は、俺をイかせたいだけなんだろう?
誘われて、煽られて、感じないわけがない。けれど、目に見える景色があまりにも痛くて。溜め息の数ばかりが増えて行く。
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