生きる喜びおすそ分け12

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 そういやセックスもつまんない男だとか言っていたっけ。あのとき確か、奉仕的なことも行為だけなら苦じゃないけど、気持ちを捧げてくれって方向が難しいみたいに言っていたし、セックスがつまんない男の理由も、好意はちゃんとあるつもりだけど、相手からの評価が冷めてるだとか一緒に楽しんでくれないとかだった気がする。
 つまりこの、恋人からの手抜き発言もそれらと同じなんだろう。
 こちらの好きに気づく前は体だけ気持ち良ければいいなら、みたいなことも言っていたから、行為そのものの気持ちよさはある程度保証してくれるっぽいし、気持ちだってないわけじゃないと言っているのに、それでもそう言って別れたくなるくらい、最初の一回と慣れてからの落差が激しいってことなんだろうか?
 ただそれは、今後も付き合いを続けてみない限り、確認しようがない。そして少なくとも初回で頑張ってくれる気満々の相手には、このまま期待してていいって事にも思えてしまう。
「まぁでも、今日は頑張ってくれるわけだし、うんと気持ちよくして貰えそう? って思っててもいい、んですかね?」
「どんどんハードル上げてくるね」
 苦笑を深くはしたけれど、無理だとか期待するなとか言わないってことは、やっぱりそれなりに自信があるんだろう。少なくともテクニック的な方面に関しては。
 もちろん前回の練習で、相手も手応えを感じたって事かも知れないけれど。
 出来ればうんと気持ちよくなりたいと思う。年に一回か二回で満足できるくらいに、というよりは、奉仕セックスでもいいやって思えるくらいに気持ちよくなりたい。
 気持ち良すぎて、いろんなことがどうでも良くなればいいのに。
「だって、うんと気持ちよければ、満足って割り切れるかもだし、そしたら恋人続けられるかもなわけだし」
「確かにそうは言ったけどね。というか、うんと気持ちよく出来たら、俺と恋人続けてくれる気があるってことでいいの?」
「え、その気がなかったら、今日ここ来てないですよね?」
 何を今更、と思ってしまったけれど、どうやらそうでもないらしい。
「俺を試して欲しいとか、このデートで今後どうするかを判断して欲しいみたいなことは何度も言ってるけど、君がそうしてくれる気でここに来てるのかは聞いてないから」
「えっ?」
「最初で最後の思い出づくり、という可能性はあると思ってたんだけど。最後に一度だけセックスしてってお願いにお預け食らわせたのは事実だから、仕方なく付き合ってくれてるのかなと」
 随分と赤裸々にセックスしたいと口にするのも、別れるつもりだからかと思ってたと言われて驚いた。
「え、ええぇ……」
 そういや彼の試してだとか判断して欲しいだとかの申し出に、わかりましたとはっきり返してはいなかったかも知れない。
「ああ、いや、いいよ。もうわかったから」
 ありがとう頑張るよと、いつになく柔らかに笑われて恥ずかしい。そしてこちらがあたふたしている間に、相手の顔がまた寄せられる。しかし唇には軽く触れただけで深くはならず、そのまま頬を滑って耳に触れたかと思うと、耳朶を甘噛まれてヒャンと変な声を上げてしまう。
 クスリと笑われた気配にますます恥ずかしいと思いながらも、ゾワゾワと走る快感から逃げ出さないよう、ぎゅっと手の平に触れた布を握って息を詰めた。

続きました→

 
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