相手は当然こちらのそんな動きをわかっていて、強く擦れて達してしまわないようにと、上手いこと躱して加減してくれているんだろうけれど、それがまたなんとも恥ずかしい。
イヤラシイ体だと、呆れられてなければいいけど。なんて思いながら、確認するみたいに相手を見てしまったのは失敗だった。今の彼から感情なんか読み取れないってわかっていたのに。
「ん? イキたくなった?」
真顔で問われて、慌てて首を横に振った。
「そう? 体はだいぶ辛そうだけど」
熱は孕んでいなくても声音は優しい。単にいつも通りというだけなんだけど。ただ、お尻の穴に三本も指を突っ込んで、グチュグチュかき回して相手をアンアン善がらせている男の、顔や声や態度ではないよなと思う。
こんなのどう考えたって完全に相手のテクのせいなのに、自分だけが興奮しているみたいでいたたまれない。
こちらが今、恥ずかしくてたまらない思いをしていることに、相手は気付いているんだろうか。こちらのキモチイイを的確に見抜いてくる人が、気付いてないってことはなさそうなんだけど。
けれど余計なことは考えたらダメだよとでも言うみたいに、また少し強めに良い場所を捏ねてくるから、気持ちがいいのとイキたいのとイキたくないのとで、頭の中がいっぱいになってしまう。はしたないと思っていても、恥ずかしくてたまらなくても、腰が揺れてしまうのを止められない。気持ちよさに嬌声を上げてしまうのだって、抑えられない。
「善すぎて辛いって感じの声っぽのにねぇ」
イカせてって言わないんだねと苦笑されて、じわりと涙が滲んでしまう。
自分一人が乱されて、痴態を晒して、それを冷静に観察されている。さすがにこの状況を興奮に変えられる嗜癖はないから、こんなに気持ちがいいのに、これを楽しいと思うのはやっぱり難しい。
一緒に気持ちよくなって欲しい。もっと興奮した姿を見せて欲しい。一人で善がっているのは辛すぎる。
けれどそれを口に出すのはどうしたって躊躇ってしまう。それが過去の彼女たちと同じ要求なのだとわかっている。それが出来る人じゃないから、彼は恋人を作ることをしなくなって、そんな彼だからこそ、スルリと恋人という立場を得られたのだと知っている。
「ああ、ごめん。ちょっと意地悪だったね」
イカされまくるの怖いんだもんねと深くなった苦笑が近づいて、目元にチュッと唇が落とされた。
「ぐちゃぐちゃに感じさせて欲しいのにイカされるのは怖いとか言われて、少し意地になってたかな。つい、イカせてって言わせようとしてたみたいだ」
お尻の穴からぬるると指が引き抜かれていく。
「んあぁっ、ぁの、ほんと、に?」
「ほんとって、何が?」
「ほんとに、意地になってた、の? 俺に、イカせてって言わせたくて?」
「そうだよ。だって指三本挿れられてても、もうちゃんと気持ちよくなれてたでしょ。なのにいつまでも指挿れたまま弄り回してたの、お願いだからもうイカせてって言わせたかったからだよ」
「な、んで……?」
「なんで、って、可愛いだろうなと思った、から?」
「か、かわいい……?」
「どうしようもなくイキたくなって、怖いのに、それでもイカせてってお願いする君はきっとすごく可愛いよ?」
そんな事を考えているなんて、ちっともわからなかった。呆然と見つめてしまえば、本当に可愛いって思ってるよと、言い訳するみたいに繰り返すから、彼の想いが全くこちらに伝わって居なかったことを、彼自身わかっているようだった。
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