憧れを拗らせた後輩にキスを迫られたので2(終)

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 気持ち悪いですよねと続いた言葉に、そんな事ないとは返せなかった。目の前の相手に恋愛感情を抱かれていることが、気持ちが悪かったわけではない。むしろそう言われて、確実に心臓は喜びで跳ねたのだ。
 けれどそれを認めてしまうのは怖かった。相手は全くと言っていいほど知らない後輩で、しかも男なのに、この教室から投げかけられた視線だけで、あっさり告白が嬉しいレベルで意識しているなんて。
 なんと返せば良いのかわからないまま黙り込んでしまえば、相手はこちらの視線から逃れるように、立ったままのこちらを見上げるように上向けていた顔を少し下げた。
「すみません。もう、貴方を追いかけるのは止めます。だから、あの、気持ち悪いのは承知で、お願いします。最後に一度だけ、キス、して貰えませんか?」
 唐突な内容のお願いに、またしても反応ができない。頭が下がって俯いて、フッと小さな溜息を吐かれて、なぜか酷く動揺した。
「おかしな事言って、本当に、すみません。今の言葉も、俺のことも、どうか忘れて下さい」
 机の脇に掛かっていた鞄を手に立ち上がった相手は、やはり俯いたまま、帰るので失礼しますと言って歩き出す。脇を通り抜けようとする。
 とっさに腕を掴んで引き寄せて、その勢いのまま相手の顎を捉えて唇を重ねた。
 もちろん触れたのは一瞬で、すぐに顔を離したけれど、今度は相手が驚きの顔のまま硬直している。心臓が痛いほどに跳ねていて、その顔を見ていられない。なのに、触れた唇が熱くて、もう一度触れたい欲求が湧いていた。
 その欲求に抗えず、もう一度その唇を奪ってから、相手の体を抱きしめる。抱きしめてしまえば、相手の顔を見ずに済むから。などというのはやはり言い訳で、それも結局は自分自身の、相手に触れたい欲求なんだろう。
 しかし、咄嗟に動いてしまったものの、この後どうすれば良いのかわからない。抱き合うまま互いに動けず、口を開くことも出来ず、ただ闇雲に時間だけが過ぎていく。
「あの……」
 やがて、腕の中から小さな声が聞こえてきた。
「ご、ゴメン」
「あ、いえ……」
 思わず謝ってしまったが、結局また沈黙が降りてしまう。もちろん抱きしめる腕はそのままで、体もくっついたままだった。
「期待、しますよ?」
 どうしようどうしようとグルグル巡る思考の中、再度腕の中から小さな声が聞こえてくる。
「俺に期待されても、いいんですか?」
 それは多分、腕を離して開放しろという意味なんだろう。けれどここで離してしまったら、彼に諦められてしまう。追いかけるのを止められてしまう。
 なんで視線一つでここまで相手を意識して受け入れてしまうのかなんてわからないけれど、元々考えるということが苦手な筋肉脳なので、答えの出ない問題に悩むくらいなら、自分の感覚を信じて突き進んでしまえと思った。
「う、うん。……いい、よ」
 覚悟を決めて頷けば、彼の腕がそっと背中に回されるのがわかった。

有坂レイさんにオススメのキス題。シチュ:教室、表情:「無表情(or驚いた顔)」、ポイント:「抱き締める」、「相手にキスを迫られている姿」です。 shindanmaker.com/19329

 
 
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「憧れを拗らせた後輩にキスを迫られたので2(終)」への2件のフィードバック

  1. おおおー、これは私が初めて見るパターンです!

    腕グイ・顎クイ・ファーストちゅっ(*´ε`*)。。 というやつで・・・(ごめんなさい、頭がお花畑になっちゃってます)!!

    うん、これからゆっくりお話ししてね~~。

  2. mさん、コメント有難うございます(*^_^*)

    私も、
    腕グイ・顎クイ・ファーストちゅっ(*´ε`*)
    という展開を書いたのは初めてでした~

    感覚信じて突っ走っちゃってますけど、視点の主は早く自分の気持を把握して、相手の期待に応えてあげて欲しいです。

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