家には弟がいるし、男二人でしかも片方は高校生でと考えたらラブホなんてもってのほかで、結局近くのビジネスホテルのツインルームにチェックインした。
なんでこんな所に来たかといえば、考えた末に出された彼の答えが、もう一度触れてみたいだったからだ。酷くしなければ本当に反応してくれるのか確かめたいそうだ。
受け止めて応じる気があるなんて言葉を重ねるよりも、確かに手っ取り早くてわかりやすい。反応しないという事実に打ちのめされていた彼には、反応するという事実を突きつけてやるほうがきっといい。そう思ったから、良いよと返して連れてきた。
もう一度触れたいと口にした彼も、まさか即座にビジネスホテルに連れ込まれるとは思ってなかっただろう。黙って後ろをついてきているが、背中に彼の緊張がはっきりと感じ取れる。
部屋に入ってからは、交互にシャワーを使った。彼の手でイきさえすれば良いのかもしれないが、また口でされてしまう展開も多少は意識していたからだ。
潔癖というほどではないと思うけれど、そんな場所を口にするのに綺麗に越したことはない。男が男のという部分で、行為に自分自身を重ねてしまいがちだからだろうか。萎えたら困るこの状況で、心理的な抵抗感は少なければ少ないほうが良かった。
ホテル備え付けの簡易な寝間着を揃いで着て、片方のベッドに二人して潜り込むと、状況の異様さになんだか笑いたくなってくる。緊張すると笑ってしまうタイプなので、多分これは自分も相当緊張している。
「さっきからニヤニヤして気持ち悪いんですけど」
そう思った矢先に、不機嫌な声が掛けられて苦笑するしかない。
「酷っ。緊張してんだよ、これでも」
緊張すると笑っちゃう系なんだと言ったら、緊張すると怒ったみたいになる系ですと返ってきたから、今度は本気で笑ってしまった。ますますムッとした顔になったが、多分そっちも、ますます緊張したわけではないだろう。
「ごめん。可愛いなって、思った。後、おかげで少し、緊張ほぐれた」
「可愛い、ですか?」
「うん、可愛いよ」
不信気な顔と声に、躊躇うことなく可愛いと返してやった。
「というわけで、キス、しようか」
「えっ?」
本気で驚いた顔をするから、ますます可愛いなと思う。まぁ若干自己暗示的な部分もあるけれど。でも可愛いという気持ちが間違いなく湧いたことに安堵していた。
「俺が反応するの、確かめたいんだろ?」
「キス、で……?」
「正確には、君の想いに、反応する」
「想い……」
「復讐してやる、じゃなくてさ。できれば、俺を好きになっちゃった方の気持ちで、キスして欲しいかな」
どう? と聞いたら、少し困ったような顔をされたけれど、そのままその顔が近づいてゆっくりと唇が触れた。
「もっと。全然足りない。もう一回」
軽く触れただけであっさり離れていく唇に向かって、誘いをかける。
その後もこちらが誘えば、誘った分だけ律儀にキスを繰り返してくれた。けれど一向に深くなる気配はない。そんな所に、相手の躊躇いや困惑や恐れや初心さを感じずにはいられない。
それでも繰り返した分だけ、少しづつ変化は起こる。こわごわと掠めて行くキスが、柔らかに押し付けられるものになって、やがて離れ難いと言わんばかりに最後軽く吸われるようになった。
その焦れったいまでの緩やかな変化に、こちらもゆっくりと煽られていく。きざし始めた股間に相手の手をそっと導いてやれば、躊躇いながらもぎこちない指先が、変えた形をたどり始める。
性感を煽ろうとする意志よりも、何かを確かめたがるような、その手の動きがもどかしい。
はぁ、と熱い息を吐き出せば、ようやく誘う前に口が塞がれ、相手の舌が口内に伸びてきた。
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まずは第一段階~♪
その方が理性が保てる??
年齢と裸の付き合い(?)の差か、今はお兄さんがリード。少しづつお互いが理解ってきたようですね・・(気分は母。笑)。
頑張れ性少年たち!
mさん、こめんとありがとうございます~(^O^)
親友くん、色々拗らせて確実に童貞ですからね!(笑)
ここは歳相応の経験持ちな主のリードで、あんまり拗らせ部分を刺激しないまま、丸く収まって貰えたらなと思ってます。