まるで呪いのような4

1話戻る→   目次へ→

 もう待てないんだと訴えれば、やっぱり相手は意味がわからないという顔をする。そりゃそうだろう。恋人になって、好きだと言って、キスもする関係になっている上に、今まさに、キス以上の行為にも及ぼうとしている。そんな積極性を見せてなお、恋人からもう待てないって言われたら、一体何をと思うのは当然だ。
 そして根本的な自分たちのズレを、言って相手が理解できるのかも正直怪しい。そもそも相手に自覚があるのかさえわからない。実のところ、恋人と定めた以上、彼の中では執着心を恋愛感情と認識している可能性もあった。
「お前にして欲しいことなら、最初からずっと言ってる。俺を、恋愛感情で好きになって、って」
 いろんな想いが溢れかけて、声が震えて喉に詰まる。しかもそれを聞いた相手が、酷く気まずそうな顔をしたから、どうやらちゃんと自覚があったらしいことにも気づいてしまった。
「何度も、好きだって言ってる」
「うん」
 苦々しげに吐き出されてくる声に、こちらもそれを肯定するように頷いてみせる。
「でも、お前が好きなの、幼なじみで親友な俺、だろ」
「なんで、それじゃダメ、なんだよ。恋人になったし、キスだって何度もしてる。キス以上のことだって、お前相手なら多分出来るよ?」
「だってお前、俺に抱かれたいって思ったことある?」
 俺はあるよ、なんてもちろん言わない。言えるわけがない。そして相手ももちろん、肯定なんて返してこない。
「逆でもいいよ。俺を抱きたいって思う?」
「考えたことなら、ある」
 渋々と吐き出されてくる声に、正直だなと思う。そしてそう思ったまま、それは口からこぼれ出た。
「正直だね。つまりしたいって思ったことはない、って事でしょ」
「いやだから、考えたって言ってんだろ」
「だからそれ、出来るかどうか考えた結果出来るって思っただけで、別にしたいと思ってるわけじゃないだろ」
「あー……お前で抜いた事あるけど、って話、だけど。つうか俺のおかず、今はほぼヒャクパーお前なんだけど」
「うぇっ!?」
 嘘でしょって言ったら、嘘じゃねぇと即答されたけど、さすがに恥ずかしいのか今度は相手が顔を背けてしまった。
「ただ、恋人いんのに恋人以外で抜くのどうなんだって気持ちでつーか、お前脳内でいじくり回しながらイケるのと、恋愛感情とは多分別な気がするっつーか、んなことしといてこんなこと言うのどうかとも思うけど、好きってやっぱよくわかんねぇって思ってる部分は確かに、ある」
 なんとも気まずい沈黙が降りた。
 お前で抜いてるなんて告白をうっかり喜んでしまうほど、自分は彼の想いに飢えているのに、恋人以外で抜くのは悪いって気持ちからしてるだけみたいに取れる発言や、やっぱり好きって気持ちはわからないと認める発言に、気持ちが落ち着かなく揺れている。
「それに、お前で抜いてるけど、だからってお前の体を実際にいじり回したいとか思ってるわけじゃないし」
 沈黙に耐えかねたのか、顔は背けたまま、ボソボソとした彼の声がさらに続いた。
「えっ、えっ……なんで?」
 そこまでしといて現実の自分は対象外とか意味がわからない。
「なんでってなんだよ。つかお前こそどうなんだよ。俺で抜いたりしねぇの?」
「そりゃ、もちろんお前で抜くけど……」
「じゃ一緒だろ。お前だって俺で抜いてたって、実際には俺に触りたいとか弄らせろとか言ってこないんだから」
「言わないだけで、思ってないわけじゃない」
「じゃあ言えよ。なんで言わないんだよ」
 だってそんなの、言ったらしてあげるって返ってくるのがわかりきっているからだ。
「なんで、わかんないんだよ。お前が今、実際に俺を弄り回したいとは思ってないって、言ったんじゃないか。お前は俺に触りたいなんて思ってないのに、俺だけお前に触られたいって思ってんだよ? そんなお前に、お願いして触って貰って、俺が惨めじゃないとでも思うの?」
 ああダメだ。泣いてしまう。
 下ろしていた足をベッドの上に引き上げて、抱え込んだ膝に顔を埋めるようにして背を丸めた。

続きました→

 
萌えたらポチッと応援よろしくお願いします。

1話完結作品/コネタ・短編 続き物/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP