寝ている友人を襲ってしまった

 尿意で目覚めてしまった早朝、さっさとトイレを済ませて二度寝しようと思ったはずが、トイレから戻る時に目にしてしまったソレが気になって、ベッドに入っても再度眠気がやってくることはない。
 早朝とは言え、起きた時に部屋は既に薄明るかった。ベッドの横に敷いた布団には、昨夜泊めた友人が気持ちよさそうに寝息を立てていたのだが、夜中に暑かったのか掛布は脇に押しやられた上、シャツがめくれて腹が見えていた。
 余計なお世話かもと思いながらも、家に泊めたせいで風邪でも引かれたら申し訳ないので、取り敢えずでシャツを引き下ろし腹を隠してやったが、今にして思えば余計な親切心など出さずにいれば良かった。
 その時、意図せずして友人の股間に手の甲が軽く掠ってしまったのだ。
 んっ、と漏れた吐息にドキリと心臓が跳ねたのは一瞬で、友人は起きる気配もなく健やかに眠り続けていたから、鼓動が早くなっていくのを感じながら、探るように見つめていた友人の顔から視線をそっとずらしていった。
 ほんの一瞬、それも手の甲に触れただけでも、友人の股間が硬く膨張しているのはわかっていた。いわゆるアサダチというやつだ。
 視線を移動した先、ラフでゆったりめの部屋着なのに、股間部分だけはっきりと盛り上がっていた。
 大っきそう。
 そう思ったらますます鼓動が早くなって、体の熱が上がった気がする。
 そこそこ長い付き合いなので、合宿やら旅行やらで一緒に風呂に入ったことはある。さすがにそうジロジロと見たりはしなかったが、通常時でも自分に比べたら断然立派だったのだから、大っきそうではなく事実大きいんだろう。
 見てみたいという衝動をどうにか堪えてベッドに潜り込んだが、そんなわけで、二度寝どころじゃなくなってしまった。
 ソワソワするような、モヤモヤが腰に溜まるような、とある場所がなんとなく切なくキュンとなってしまう、その理由ははっきりわかっている。
 好奇心から尻穴を弄る遊びを始めたのはもう随分と前で、最近では気分と体調によっては尻穴を玩具で擦って絶頂を決めれる程度に自己開発済みだ。
 別にホモってわけじゃないから男と付き合ったことはないし、付き合いたい気もサラサラないけれど、無機物じゃない本物のペニスで尻穴をズコズコされる想像を、したことがないとは言えない。というよりも最近はかなり興味がそちらへ傾いている。
 布団の中、もぞもぞと動いてズボンと下着を脱ぎ去った。どうにも我慢ができない。
 ベッド脇の棚の引き出しをそっと開けて、ローションボトルを取り出した。極力アチコチ汚さないようにと考えた結果、蓋を開けたそれを直接アナルへ押し当て、アナルを意識的に拡げながら中身を押し出していく。
(あっ、あっ、入って、く……)
 声は噛んだが、ローションを強制的に流し込む初めての感覚にゾワゾワと肌が粟立った。
 邪魔でしかない掛布を外せないまま弄るのも、感じても声を出してしまわないよう飲み込むのも、もちろん初めての経験だ。
 ベッドと布団とで多少の段差はあるものの、もし途中で友人が起きてしまったら、異変に気づかれずにすむはずがない。なのに、不自由さも友人に気づかれるかもしれない危険も、快感を倍増させていくばかりだ。
「……っは、ぁ、……ぁんっ、んんっ」
 少しずつ吐き出す息が荒くなり、堪えきれずに時折音を乗せてしまっても、未だ友人が動き出す気配がない。
 さきほど見た股間の膨らみを思い浮かべ、友人の朝勃ちペニスを引きずり出してハメたらどれほど気持ちがいいんだろう、なんてことを考えながら弄り続けたせいか、あまりに起きない友人に少しずつ大胆になる。
 まるで、友人に気づかせたいみたいだと思った所で、小さな笑いが零れ落ちた。
 気づかれたらもう友人では居られないだろう。それを残念に思う気持ちはあるが、このままだといつかまったく知らない男とアナルセックスを経験する日が来るだろうことを思えば、初めてはこいつが良いなと思ってしまっているらしい。
 そっとベッドを降りて、覚悟を決めて眠る友人のズボンと下着とを引きずり下ろした。
 少し身じろがれたが、大きな反応はなく、友人の目は閉じたままだ。
(ああ、これは……)
 もしかしなくても起きてるんじゃと思ったが、起きていて止めないのなら、それはもう合意ってことで良いんじゃないだろうか?
 勝手すぎかなと思いながらも、少しだけ勇気だか希望だかを貰ってしまったのも事実だった。
 そのまま友人を跨いで腰を落としていけば、堪えきれずに漏れる声が二種類。
「あ、ぁあっ、ぃいっっ」
「くぅっ、ぁ……」
 もちろん一つは自分ので、もう一つは友人のものだ。
「ね、全部入った、けど」
 尻が完全に相手の腰の上に乗った所で一息ついて、今更だけどようやく声を掛ければ、見下ろす先で友人の目が気まずそうに開いていく。
「おはよ」
「はよ……って、おいコラ。これ、のんきに挨拶交わせるような状況じゃなくね?」
「いつ起きたか知らないけど、起きてて止めなかったんだから同罪でしょ」
「それは、まぁ……つか、お前、これ、いつから? 普通に女好きだったよな?」
 そこそこ付き合いが長いので、実は互いの彼女を交えてのダブルデート、なんてことをした過去もある。
「あー……それは後で説明するから、取り敢えず、俺が動くかお前が動いてくれるか、どっちか選んで欲しいんだけど」
 このまま話してて萎えられたら残念すぎるという、それこそ残念すぎな思考で続きを急かした。
「え、てっきりこのまま逆レイプ的にお前が腰振るのかと思ってたけど、俺が動くのもありなの?」
「あり。ていうか、してくれるなら、されたい」
 本物チンコは初めてだから、と言ったら驚いた様子で目を瞠った後、上体を起こしてきた相手に体勢を入れ替えるように押し倒された。
「色々聞きたいことありまくりだけど、取り敢えず、いいんだな?」
「うん。あ、でも、出来れば俺も一緒に気持ちよくなれるようにやって、欲しいかも?」
 言えば、何を言っているんだとでも言いたげな顔で当たり前だろと返ってきたから、寝ている友人を襲ってしまってホント良かったと思った。

お題箱から <尻穴をいじるのはまっていたら寝てる友人のあさだちに我慢できずについついそれを拝借してしまう話>

 
 
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