追いかけて追いかけて9

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 好きだって言ってくれたのに。触れるだけのキスはあんなにも気持ちが良かったのに。付き合ってって言ってくれたのに。
 選べなかった。選びたくなかった。彼の将来のために、そうした方がいいと思った。女も選べる男相手に、男の自分が与えられるものなんてたかが知れている。でも選びたかった。もっと触れて欲しかった。
「そんな男の名前呼んだって、無意味っすよ」
 フンと鼻で笑われて、どうやら無意識に彼の名を呼んでいたらしいと知る。
「それとも、名前呼んで、そいつに抱かれてるつもりにでもなってんですか」
「違うっっ」
「そうすよね」
「うぁっ、やめっ」
 クスクスと笑う声にすら苛立ちが募るのに、無遠慮にアナルを弄られる痛みと不快感に呻きながら、僅かに身をよじる事しか出来ない。
「今、先輩のケツ穴可愛がってんの、俺の指っすからね。そいつをどんなに好きだって、あんた抱くのは俺ですよ。抱いてもくれない男呼んでないで、呼ぶなら俺の名前呼んで下さいよ」
 再度名前を告げられ、ほら呼んでと促されるが、もちろん従うつもりはなかった。名前など絶対に呼んでやるものかと、キュッと唇を引き結ぶ。
「ねぇ、ほら、呼んでってば」
「んぐっ……ぅ……」
 意地悪くアナルに埋まった指を突き上げ揺すられて、引き結んだ唇からくぐもった音が漏れた。
「何が何でも呼ぶもんかって感じすか」
 やっぱりクスクスと笑われて、相手の余裕が本当に腹立たしい。悔しさにギュッと瞼に力を込めれば、また一つ、ボロリと涙がこぼれていった。
「案外強情というか、諦めが悪いというか、ホント……」
 呆れたような声音は一度そこで途切れ、後ろから回された腕に顎を捕らわれ、強引に顔を捻られる。
「ぅうっ……」
 強い視線に晒されて、嫌々ながらも瞼を上げて見返した相手は、ギラつく欲望を隠すこと無く下卑た笑いを浮かべていた。そのニヤけた口元が寄せられて、必死で頭を引こうとするものの、ガッチリと顎を掴んだ手に為す術がない。
「ははっ、泣いちゃってかーわい」
「ひっ……」
 涙を舐め取られ、頬をゾロリと這った舌の感触に怖気立って悲鳴を上げた。そんなこちらの態度すら相手は楽しいらしく、ニヤニヤクスクス笑っていて気味が悪い。
「いじめ甲斐があっていいっすね。もっと、泣かしたくなる」
「さいっ、てー、ぅぐっ」
 思わず相手を罵れば、開いた口の中に指先がねじ込まれた。口内の指に噛みつかれないようにするためか、顎を掴む力は緩むどころか、より一層強い力で両頬を挟みあげる。更には、口内の指に舌を押さえつけられ、喉が開くように首の角度を変えられた。
 その状態でアナルをグジュグジュとかき回されて捏ねられれば、噛み殺すことも飲み下すことも出来ないあられもない声が喉の奥から迸る。
「ぁあ、あああ、ゃあ゛あ゛」
 背後から伸し掛かるように押さえつけてくる相手と玄関扉に挟まれて、ほとんど身動きが出来ない上半身を必死で捩った。無駄ですよと嘲る声は聞こえていたが、無駄だからで抵抗しないなんて選択肢はない。
 背後の男に、このまま好き勝手突っ込まれるのなんて絶対に嫌だった。藻掻いて叫んで、辛うじて自由な手を目の前の扉に強く打ち付ける。近くにいる誰でもいい。異変を感じて通報なりしてくれれば、助かる可能性はまだ数パーセントくらい残されているかもしれない。
 しかしさすがに騒ぎ過ぎだと思われたのか、口の中に突っ込まれていた指が引き抜かれて、今度は口を覆うように塞がれてしまう。しかも玄関扉に押し付けられていた体も引き剥がされて、後ろへ引きずるように歩かれる。

続きました→

 
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