「これから俺が、どう育つかもわからないのに……」
今はまだ、一応はちゃんと抱きたい気持ちがあったって、高校を卒業するまでそれが継続するかはわからない。魅力や価値があがるという言葉が信じられないし、本気で言ってるっぽいとは思うけれど、なぜそんな確信めいて口にできるのかは欠片も理解できそうにない。
もし魅力や価値が今より上がらなかったら、どうするんだろう。でも本当に上がるかどうかわからない魅力や価値を信じられないと言って、今の価値でいいから抱いてくれって言ったって、受け入れてくれないこともわかっている。中学生どころか高校生相手にも、随分と頑なに手は出さないと決めてしまっているらしい。
途方に暮れて項垂れ、はぁあと大きくため息を吐けば、大丈夫だよと、これまた全く根拠のない言葉が告げられた。いや全然大丈夫って気にはなれないんだけど。むしろ卒業までの時間を思って憂鬱でしか無いんだけど。
視線を下げたことで相手の性器が目に入って、再度零れそうになったため息をどうにか飲み込む。膨張率にもよるんだろうけど、少なくとも、小さくはなさそうだ。一応時々指で慣らしてはいるけれど、今の状態でも辛いだろうと思っているのだから、高校卒業まで待ってたらこちらの体の負担はもっと増すのが確実なのに。体の負担的にも今抱かれたいのだと言ったはずだけれど、どうやらその件は流されてしまったようだ。
「こーら。またジロジロ見て」
正面に立っていた相手が、そんな事を言いながらスルッと背後に回ってくる。湯船に浸かるんじゃないのかと、振り向いて相手の顔と湯の張られたバスタブを何度か交互に見てしまえば、短く交代と告げられる。
「交代?」
「そ。背中洗ってやるよ。あと、頭も」
「いや、もう洗い終わってるし。てか一回風呂入った後だし」
「知ってる。けど一緒に風呂なんてなかなか機会無いし、さっき洗ってもらって気持ちよかったから、俺もお前にしてやりたい」
ほら座ってと促されて、なんだかもう抗う気もなく大人しくバスチェアに腰を下ろせば、躊躇いのない手付きでさっき彼が使っていたのとは別のボディタオルを手にとった。もちろん、普段自分が使っているものだ。
さっき彼にしたのと同じように、泡立てたタオルが背中と腕をゴシゴシとこすっていく。強すぎると抗議すればすぐに気持ちがいいなと思うくらいの力加減になったけれど、もし普段あのくらいの強さで体を洗っているなら、さっきのは物足りなかったんじゃないだろうか?
わざわざ聞いたりはしないけれど、もしまた背中を洗うような機会があれば、もっと強くこすってやろうとは思った。
背中と腕だけなのに結構丁寧に時間を掛けてゴシゴシされたあと、一度泡を洗い流して、今度は頭だ。こちらもけっこうな力強さでガシガシ頭皮を指の腹ですられたけれど、こちらはほどよい強さで痛いと声を上げることはなかった。というか気持ち良かった。
そして何より、相手の機嫌が良くて、なんだか随分と楽しそうなのがいい。無理やり押しかけて無理難題を押し付けていた自覚はあるし、そこまでしてもなお、こちらの要望をどれもこれもきっぱりお断りされた気まずさもあったから、ホッとせずにはいられなかった。
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