竜人はご飯だったはずなのに16

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 ベッドの上で広げた足の間に、頭というか口先を突っ込まれ、伸ばされた舌で尻穴に唾液を送り込んでもらう。人の姿のときとはやっぱり全然違う。舌の長さや厚みが違うのは当然だが、鼻も口先も押し付けられていないのに、人のときよりも奥まで舌が届いているのがわかる。
 たまらなく、気持ちがイイ。
 本当はもっと竜の頭を肌で感じられたらいいんだけど。でももっと奥にと頼んだって、これ以上顔を寄せてはくれないだろうし、何かを察した彼によって足を押さえられているので、足を閉じて彼の頭を挟んでやることも出来ない。
 それでも、気持ちが良いと喘いで、もっと奥まで欲しいとねだり、キツく押さえられているわけではないから腰を揺すってみせる。
 あまり暴れるなと掛けられる言葉を無視して腰を揺すり続ければ、だんだん押さえつける力も強くなっていく。気をつけてくれているのだろうけれど、たまに爪の先が肌に刺さる痛みにゾクゾクする。痛めつけられたい被虐趣味なんてないけれど、本当の姿で触れて貰っているのだとわかるのがたまらない。
 ただ、こちらがどれだけこの行為を喜び、快楽に体を震わせたって、彼からすれば食事の疑似行為でただの奉仕で、なによりこの体を傷つける事は禁忌だった。
 唐突に、突き放されるようにして彼の舌も手も気配も遠ざかっていく。ビックリして身を起こせば、彼がこちらの腿を凝視しながら固まっていた。
 その視線をたどるように自分の脚へと目を向けて気づく。彼の爪によって裂かれたらしきところから、わずかに血が滲んでいた。
「あー……こんなの気にしなくていい。っつってもやっぱ無駄、だよな」
「すまない」
「いや多分、謝るのこっちの方。お前が押さえつけてくるの嬉しくて、かなりお前煽った自覚ある」
「押さえつけられるのが、嬉しい? のか?」
 酷く困惑させている。さんざん重ねた食事タイムは、基本的には優しさと楽しさと気持ち良さで満たされていて、無理やりされたいなんて様子を見せたことはなかった。
「というかお前の爪が肌に当たってチクってするのが、人じゃないお前が触れてくれるんだって思えて、凄く嬉しかった。お前の頭挟ませてくれないし、もっと奥にってどんだけ言っても、ケツ穴に口先押し付けてもくれないから」
「私の硬い皮膚が擦れたら、お前の肌に傷がつく」
「それはわかってるんだけど。わかってるつもりだったけど」
 でも調子に乗って爪を立てさせて、結果あっさり放り出されたことを思うと、やっぱり考えなしだったかもしれない。
「やっぱ、もう二度としない、とか言い出す感じ?」
「なぜ、私、なんだ」
 ああこれ、また世話係の彼に頼めって言われるパターンだ。でも世話係の彼とは、性的な方面で深い関係になるつもりはなかった。少なくとも、目の前の男が、自分よりも彼をと勧めてくるうちは。
「そんなの、お前がいいから以外の理由があるかよ」
「食事とセックスがセットになっているから、いやらしい事を頼むのは私にと、思い込んでいるだけじゃないのか。あの子に舐めてもらった事はまだないんだろう?」
「あいつのが上手に舐めれて、俺を傷つけること無く、もっと気持ち良くしてくれるはずだって、そう言いたいわけ?」
「まぁ……そうだ、な」
 聞けばやはり、少し躊躇ったあとで肯定された。
 そりゃ確かに、彼に頼んだらもっと気持ち良くなれる可能性はある。ただしそれは今ではなく、将来的に、というやつだ。彼なら、こちらがどうすればより気持ち良くなれるかを、一緒に探ってくれるはずだからだ。
「俺さ、風呂入った時に、あいつに体洗ってもらうのめちゃくちゃ好きなんだけど、それ知ってる?」
「お前の体を、直接手の平で擦って洗っている、という話は聞いているが、それが何か?」
「俺の体に傷つけたら大変なのはあいつも一緒どころか、多分、あいつの方が問題になるよな。でも、あいつは俺のお願いに折れて、ゆっくり俺への触り方を覚えてくれただけなんだよ。お前みたいに魔法で人の姿になるって逃げが出来ないから、最初の頃はホントおっかなびっくりで、ちっとも気持ち良くなんかなかった」
 一度言葉を切って、何が言いたいかわかるかと聞いてみる。相手は渋々ながら頷いているから、多分、ちゃんと伝わっているだろう。
「俺は、アイツじゃなくてお前に、尻穴舐められるだけでイケるくらい上手になって欲しい。ついでに言うなら、繁殖期じゃないお前を性的に気持ちよく出来る方法があるなら、それを知りたいし実践したい。食事目的じゃなく、もっとお前といやらしいことがしたい。人の姿じゃない、そのままのお前と、したい」
「まるで……」
 戸惑う相手の顔に、ゆっくりと朱がさしていく。竜人は表情が読みにくいと思っていたこともあるけれど、とっくに慣れたし、慣れれば簡単にわかってしまう。
「プロポーズを受けているような気分だ」
 さすがに飛躍しすぎだと思ったけれど、それは人の常識で考えてしまうからなんだろう。彼らの繁殖に関する話は詳しく聞けていないし、そもそも結婚という概念があるらしいことすら今知ったのだけど、それならそれでいいかなと思ってしまう気持ちもある。
「プロポーズだっつったら、受けてくれんの? でもって俺と一緒に、この部屋で新婚生活とかしてくれんの?」
 言いながら、それってかなり理想的な生活なのではと思う。もしそうだってなら、本気で結婚してくれと頼み込みたいくらいだ。
 しかし相手は酷く狼狽えてしまって、なかなか次の言葉が出ないようだった。

続きました→

 
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