竜人はご飯だったはずなのに17

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 結果から言うと、プロポーズ云々はひとまず棚上げされてしまったものの、彼の寝室がこの部屋になった。つまり、一日の終りに彼は毎回この部屋を訪れ、同じベッドに入って眠っていくわけだ。
 それなりに忙しいのか、カーテンが閉められて随分経過してから戻ってくることも多かったし、何の連絡もなく一晩中姿を見せない日もなくはない。でもそういう時は謝ってくれるし、お詫びの名のもとに甘やかして構ってくれるから正直どうでもいい。というか、ほぼ毎日会えるってことが以前の生活と違いすぎて、たまに会えない日があるのなんてホントどうでもいい。
 もちろん、世話係の彼も相変わらずこの部屋には出入りしていて、朝と夜にカーテンの開閉と共に食事の液体を運んでくるし、日中のほとんどを彼と過ごす。口直しのキスは貰わなくなったし、誘惑しまくることもなくなったけれど、そんな自分の変化を、食事担当の彼と上手くいっているからだと言う理由で喜んでくれている。
 ただ、食事としてのセックスは、あれ以来一度もしていない。生きるためのエネルギーは朝晩の液体で補えたし、味の改良は着々と進んでいるし、口直しとしてではないキスをたくさん食事担当の彼が与えてくれるから、体の奥が疼きまくって精液を搾り取りたいって欲求が湧かなくなった。精神的な満足というのはやはり大事らしい。
 強い薬で体を発情させなければならないと知ってしまったし、そんな負担をかけてまでセックスで食事をする必要なんてない。というのも、大きな理由の一つだ。
 もの凄く正直に言ってしまえば、大きなペニスで奥を突かれることで得る快感はやっぱりあったし、結局一度きりになってしまった、竜人姿の彼の勃起ペニスへの未練もある。でも、あの日こちらが望んだとおりに、食事目的じゃないイヤラシイことを重ねるうちに、ペニスに貫かれなくたって十分気持ちよくイけるようになった。
 当初望んでいた以上の生活に激変して、こちらとしては大満足なのだけれど、少しだけ問題があるとすれば、あの日勃ちかけたペニスがあれ以降結局無反応という辺りだろうか。
 もちろん自分的にはどうだっていいんだけど、彼らがどうでも良くないらしいというか、人としての機能を取り戻させたがっているというか。多分、モンスターの餌食になって肉体改造までされてしまった人間たちを、もとの体に戻してまた人間界で生活できるようにしたいっぽい計画な気がしている。
 体の機能が完全に戻ったって、今更人間界へ戻ろうなんて欠片も思えないだろう。けれど、同じような目にあって元の生活に戻れるなら戻りたいってヤツのために、モルモットを続けるのは構わない。あんな目にあって精神が壊れること無く生き続けていること自体が、そうとう稀なケースで、自分自身が彼らにとって超貴重なサンプルだってのも、わかっているつもりだ。
 竜人本来の彼のペニスで絶頂した、という部分が引き金の可能性があるから、いずれ食事目的ではなくこちらの勃起を促す目的で、セックスをする日が来るかもしれない。ただ、今のところは様子見だそうだ。
 食事目的ではない彼との行為で、もっと深く感じるようになれば、反応する可能性があること。もしかしたらもっと効力の弱い低リスクな薬が出来るかもしれないこと。世話係の彼の繁殖期の周期が2年程度なこと。最悪10年待てば食事担当の彼の繁殖期が来ること。
 なんて聞かされて、長命種族ゆえののん気さってのは、やっぱりあるのかもしれないと思った。後、世話係の彼とのセックスが計画に組み込まれていたのは驚きだった。だったら先に、繁殖期中のそこらの竜人とセックスしてみるのが手っ取り早そうなのに。
 ただこれは、世話係の彼も食事担当の彼も揃って酷く言葉を濁すので、気づくのに時間がかかったけれど、つまりは雌ならまだしも雄の人間なんかとセックスできるわけねーだろ、と多くの竜人が思っているということだった。繁殖期であれば肉体は発情しているから、仕事として割り切って応じてくれる相手を探すことは可能かもしれないけれど、どう考えてもそんな事務的なセックスに感じて勃起するタイプじゃないからただの無駄だという判断は、多分正しい。
 さらってきた人間を開放しようという動きはそこそこあるものの、モンスターの餌食になって肉体改造までされた人間を、保護して生かして元の生活に戻れるようにしようなんて活動はかなり細々としたものらしいから、見つけてくれたのが彼らだった自分は、間違いなく相当運がいい。元々、保護した以上は最後まで責任持って世話してくれる気でいたらしいけれど、さすがにこんな関係になるとは思っていなかったと言った彼は、濃厚な唾液をたっぷり口内に流してくれた後で、でもこの生活も悪くはないと笑った。

続きました→

 
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