お尻の中をグチュグチュにかき回され、頭の中が何度も白く爆ぜる。疲れ切っているはずなのに、ヒンヒン喘ぎ泣き散らす自分の、限りなく悲鳴に近い声が部屋に響いていた。
こちらが何度上り詰めても容赦なく突かれ続けて、既に気持ちよいのか苦しいのかも曖昧になって涙が溢れているのに、心だけは変わらず喜びと幸せで満たされている。肌を撫でていく指先から、なんとか瞼を持ち上げた時に映る顔から、好きだ可愛い愛しいと繰り返してくれる甘い声から、彼の想いを感じることが出来るからだ。間違いなく彼に、強く求められているのだと思い知る。
何度か飛ばした意識は、すぐにより強い刺激で半ばむりやり呼び戻された。そんな真似をされるのは初めてだったけれど、この時間を記憶に残さないのは許さないと言われているみたいで、それすら嬉しさで心が満たされる。
さすがに彼の五度目の射精を受け止めながら飛ばした意識は、むりやりに引き戻されることはなく、次に意識が戻ったのは朝というよりは昼に近い時間だった。正確には、部屋に一人放置して出かけるわけに行かないからと、彼によって起こされた。
「取り敢えず上体だけでも起こせるか?」
まだぼんやりとしながらも頷いて、ひたすらダルい体になんとか力を込めて起き上がろうとしたら、アチコチ軋んで思い切り眉を寄せて呻く。
「痛っっ……」
「やり過ぎた自覚はある。悪かったな。でも半分はお前の自業自得だぞ?」
苦笑とともに身を屈めた相手に助けられて、痛みを堪えながらもなんとかベッドの上に座る形で身を起こした。
「わかってます、よ。後悔はない、です」
吐き出す声は、あれだけ泣き散らせば当然かも知れないけれど、掠れてガラガラだ。喉に引っかかって少し咳き込んだら、宥めるように背を擦ってくれた。
「後悔がないならいい。それより大丈夫か?」
「はい」
「じゃあ取り敢えず幾つか薬飲んで」
水の入ったペットボトルと共に渡されたのは、痛み止めと整腸剤らしい。受け取ったそれを躊躇いなく飲み下して、ついでに乾ききった喉を潤す。ほぼ一息に半分以上を飲み干して、一旦蓋を締めて脇においた。
一息つくのを待っていたようで、それを見ていた彼がまた口を開く。
「後始末はそれなりにしておいたが、中出しだったのに最後意識飛ばしたまま眠らせたのと、かなり奥深くに注いじまったから、多分この後腹壊すと思う。酷いようならすぐ医者に連れてくから、黙ってないで言えよ。それ以外も、何か少しでも体調おかしいと思ったらまず俺に言え」
何度も中出しして長時間繋がったままのセックスは、さすがにリスクが高いようだ。わかったかと念を押す顔が真剣だったので、こちらも神妙に頷いてみせた。
「後、お前の携帯さっきから何度も鳴ってる。多分学校関係だろ。早めに折り返してやりな」
そう言って差し出されたのは、ズボンのポケットに突っ込んでいた携帯で、服はやはり畳まれて近くのスツールの上に乗っている。
「ありがとうございます」
受け取ってちらりと確認すれば、確かにゼミ仲間から幾つかメッセージが届いていて、電話も何度か掛かっているようだった。
「それと最後に、俺はもう少ししたら出掛けなきゃならないから、これをお前に渡しておく」
そう言って差し出されたのは、何も付いていないシンプルな剥き出しの鍵が一つ。
「これ……って」
「うちの合鍵」
そうだろうとは思ったけれど、実際にそれを肯定されると途端に動揺する。ありがとうございますと、簡単に受け取ってしまって良いものなのかわからない。
「えっ、……でも……」
「お前は俺のものになったし、俺も、もうお前のものだろう?」
「そ、れは……そう、なんです、けど……」
「まぁ今はまだ、そんな重く考えなくていい。体調も悪そうだし、今日はこれを使わず俺が帰ってくるのを待っててもいいが、俺の帰りをお前の意思で待つのと、俺が帰るまでこの家から出ることが出来ないってのは違うだろ?」
だから持っててと言われれば、受け取るしかない。ついでに言えば、今日は彼の帰りをこの家で待つのもほぼ決定だ。どうせこの体調では大学に行けそうにないし、だったら自分の意志で、彼の帰りをこの家で待っていたい。
その後、ベッドを降りれそうにないなら簡単に食べれるものを運んでおくという提案を断り、アチコチ痛む体を誤魔化しながらベッドを降りた。手伝ってもらってなんとか服を着て、一緒にリビングのドア前までたどり着いた辺りで、いよいよ彼が家を出る時間が迫っているようだ。
そのまま玄関へ直行し靴を履いた後も、くれぐれも無理はするなだとか、家の中のものは好きにしていいだとか、まだ何か言い忘れはないかと探す彼の袖を引いて、せっかくだからいってらっしゃいのキスがしたいと言ってみた。そんなこちらの仕草と言葉に一瞬固まり、目を少しばかり瞠られたけれど、驚かれるのはまぁ想定内。
「だめ?」
「なわけないだろ」
それでも声が少し上ずっている。彼にとっては知識としてのみ存在する行為だろうことは想像がついた。それなのに咄嗟に応じてくれる優しさが、やはり嬉しくてたまらない。
「じゃ、少し屈んで?」
頼んだ通りに身を屈めてくれた相手の唇にチョンと唇を触れさせて、まだどこか少し浮ついた幸せの中、いってらっしゃいと笑ってやった。胸に湧き続けているこの幸せは、彼にも伝わっているだろうか。彼にはニヤリと笑い返されたけれど、戸惑いや照れくささをそうやって誤魔化したようにも見えた。
「随分可愛いキスだな」
「だってこれから出掛けちゃうのに、エッチな気分になったら困るし」
「そりゃそうだ。じゃあ、仕方ないな」
その言葉とともに、彼からも軽く触れるだけの優しいキスを貰う。そうしてから、行ってきますと柔らかな声音を残して出ていく背中を見送った。
<終>
今回で終わりにしたくて大遅刻。最後の最後ですみません。
END直後の、相手の気持ちに任せて抱かれた視点の主が見たいというリクエスト、どうもありがとうございました〜
本編は長くなったしもういいやでエンド付けてしまったので、今回、あの後のエッチと、更には合鍵渡す所まで書けて良かったです(^^♪
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トロトロ甘々が、きゅぅっと、音がするほど愉しくて楽しい~です♪
「おかえりー」には、どんな顔でどんな返事になるのかなぁ~?
む腐腐、春からの新生活を妄想中(‘-^*)ok
るるさん、今回のトロ甘な二人も楽しんで下さってありがとうございます(´∀`*)ウフフ
彼はきっと視点の主が心配で、どうしてもずらせない予定終えたら速攻で帰ってきそうですよね(笑)
帰宅後も、春からの新生活も、どうぞ色々妄想してやって下さい〜(^^♪
とても、とてもとても素敵な作品でした!
半泣きです(笑)見つけて読み始めたのが大体1年ほど前で、少しずつ見ていたのですがもう言葉にできないくらい萌えました(°о°)
また1話から読み直そうかな(小声)
さぬきまる。さん、コメントありがとうございます。
途中で投げ出さずに最後まで読んで貰えて嬉しいです。萌えて貰えて良かった〜
ぜひまた読み返してやってください!
そしてもし隙間埋めのプレイ話が未読でしたら、そちらもぜひ読んでやってくださいませ〜
レイさんはじめまして。
pixivで「雷が怖いので」を読んで以来、レイさんのファンです。
「雷が怖いので」はもうめちゃくちゃ大好きで、毎日読んでました。
スパダリでありながらどこか気持ちに穴が空いてしまっているような彼も、戸惑いつつも徐々に彼の気持ちを確信していく視点の主くんも素敵すぎます…
特にこのEND直後は視点の主くんが本当に幸せそうでいつ読んでも私が幸せな気持ちでいっぱいになります。
ほかにも「兄の親友で親友の兄」なども大好きです。
レイさんのお話の、視点の主くんの切ない思いが募っていってそれがはちきれそうになったところで、スパダリの攻めくんが救い上げてくれる…という展開が本当にツボすぎて…!
いつも素敵なお話、本当にありがとうございます。日々の癒しです。
季節の変わり目ですが、どうかご無理されないようにご自愛ください!
クロさんはじめまして。
pixivからブログにまで来てくださってありがとうございます。
「雷が怖いので」を毎日読んで下さるくらい楽しんで貰えていたようでとても嬉しいです。
やはり、叶わないと思っていた想いが膨らんだ先で、報われて幸せ噛みしめるような展開はいいですよね!
大人の余裕だとかずるさだとかも持ちつつ、相手を甘やかして受け止めてくれる年上の男が好きなので、スパダリ攻めがすくい上げてくれる展開がツボだという方に見つけて読んでいただけて良かったです(´∀`*)
もう少しでブログ開設から7年目に突入するのですが、それを機にもう少し頻繁に更新していきたいつもりでいるので、ぜひまた覗きに来てやってくださいませ〜