罰ゲーム後・先輩受8

1話戻る→   目次へ→

 裸で潜り込んだベッドの中、キスを繰り返しながら互いに相手の勃起ペニスを刺激し合う。
 吐き出すタイミングはなるべく合わせたいけれど、相手の興奮を煽りまくって先にイかせる満足感や、逆に先にイかされてしまう場合の抗いきれない快感に飲み込まれる恍惚感も知っているから、そこまで同時に達することにこだわってはいない。だからもうイキたいと訴えた相手の期待を裏切るように、刺激を与えていた手の動きをピタリと止めてしまうなんて意地悪をするのは初めてだった。
「せんぱい……?」
 あと少しで気持ち良く吐き出せるところを突然阻害された相手は、驚きと苦痛を混ぜ込みながら戸惑っている。
「ねぇ、お前にとってこれって、やっぱセックスではない感じ?」
「は?」
「俺にとってはこの時間も十分恋人とのセックスなんだけど」
「知ってます。てか、誰かに何か言われたんすか?」
 噂を気にするとか珍しいと言われたので、噂じゃなくて友人から心配されただけと返した。
「お前、俺とはセックスしてないって、先輩たちに言ってんの? 事実と違うことを認めたり言ったりした時は知らせてって、言ったよね?」
 でもこれはセックスじゃないって認識なら、セックスしてないという主張こそが彼にとっての事実だ。ただこちらがセックスという認識だと知っているのだから、彼自身がセックスと扱わないのであれば、それも知らせておいてもらわないと困る。
「あー……俺に突っ込むのは絶対ナシってのを先輩がオッケーしたから告白した、てのは言ったっすね」
 告白した日の部活の時にと続けたあと、だからセックスしてないとは言ってない、と訴えた相手の声は申し訳無さそうだった。
「そ、っか。ゴメン。それは確かにお前は事実しか言ってないな」
 自分たちの恋人関係が、突っ込むのはナシな関係だというのをそんな初期に明言してたとは知らなかったが、男同士で恋人になってもそこまで下世話な噂があまりたってないのはそのせいかとも思う。誰も知らせてこないだけで、下衆な勘ぐりで聞くに堪えない系の噂もあるんだろうと思っていた。いや実際どうなのかという部分は不明なままだけれど。
 あとちょっとの所を留めてしまったのを詫びるように、止めていた手をゆるりと動かした。
 落ちた興奮を再度煽ろうとキスを仕掛けていけば、今度は相手がそれを押しとどめる。唇が触れる前にスッと頭を引いて、同時にペニスを弄る手も掴まれ動きを止められてしまう。おかげで、こちらのペニスも放り出されてしまった。
「待って下さい。何、言われたんすか。てか何を心配されたんすか」
 今日反応イマイチなのそのせいですよねと言われて、反論ができない。触ってと言ってベッドに誘い込んだのはこちらなのに、相手の興奮を煽る事ばかり必死になっていた。相手に触れたくてたまらない時は触らせてと誘うし、触ってと誘う時は興奮しきって相手に快楽をねだってしまうことも多いから、いつもと違う様子にオカシイと思うのは当たり前だ。
「お前、俺がお前に本気でメロメロっぽいっての、あいつに聞いて確かめたりした?」
「しました」
「あいつそれ、肯定してたろ?」
「もしかしたら俺より先輩のが本気になってきてるかも、なんてことまで言ってたっすけど、さすがにそれは言いすぎっすよね」
 何も知らずに好き勝手噂する見知らぬ他人の言葉と、友人としてそこそこの付き合いがある第三者の目線からの言葉は違う。当事者に見えていないものが見えている場合もあるだろう。今回の場合で言えば、後輩の本気とこちらの本気度合いは、当初と逆転してしまったように見えているようだ。しかも随分と短期間で。
 もちろん、最初っからこちらこそが本気で、後輩を誑かしてマジ惚れさせて告白までさせたのだというイメージを強めたいこちらの意図に、まんまと嵌ってくれているという見方もできるけれど。でもその辺りもなんとなくわかっててなお、こちらの方が本気になってきてると言われたような気もしている。実際、そういう自覚が自分自身にもあるから、余計にそう思ってしまうのかもしれない。
「俺も言われた。俺のほうが本気になってきてるっぽいって。で、そんな本気で今後もセックス無しで大丈夫なのかって心配されたけど、俺はセックスしてるつもりだし、お前が先輩らにそんなことまで話してるって聞いてなかったから、動揺はしたかな」
「それ、なんて返したんすか?」
「それって?」
「セックス無しで大丈夫かって部分」
「言えないからノーコメントで。って言ったら変なこと聞いてゴメンって謝られて終わりだよ」
 それを聞いた相手は、なんとも言えない表情で思い悩んでいる。
「どうした? お前もあいつに、もっと何か言われた?」
 ああきっと、何か言われている。しかもこちらに伝えるのを迷うような何かを。
 言うかを躊躇う様子の相手に、なるべく柔らかな声が響くようにと意識しながら聞かせてと伝えれば、躊躇いは残したままでそれでも口を開いた。
「先輩が今後もっと本気になって、突っ込みたいって言い出したらどーする? って」
「で、なんて答えたの?」
「俺が振られて終わります、て言ったら、爆笑されましたけど」
 その時を思い出したのか、眉間にしわを寄せている。
「言わないよ。そういう約束だから。お前に突っ込むより、お前と恋人してたいよ」
 大丈夫って気持ちを込めて甘やかに囁いたのに、相手の表情が緩むことはなかった。
「逆も、ないっすよね?」
 こわごわと尋ねられる言葉の意味がわからず、小さく首を傾げてしまう。
「突っ込んで、とも言わないで、欲しい、です」
 なるほど。男同士なら逆だって考えるべきだった。
 突っ込んでも子供が出来る心配はないという部分で、繋がり合うセックスをしてみたい興味は確かにある。抱いていいって言われたら喜んで抱くだろうとも思っていた。でも自分が抱かれる側になるという発想はしたことがなかった。出来るかどうかで言えば、出来ないことはないような気もする。この後輩相手なら、喜んで受け入れてしまうかもしれない。
 でもこの様子だと、抱きたいと言ってくれることはないんだろう。
「突っ込んでって言われたらどーする? とも聞かれたの?」
「はい」
「その場合もお前が振られて終わりになるの?」
「はい」
 躊躇うことなく肯定されて、思いの外胸が痛んだ。
「俺がお前と繋がりたいほどお前を好きになったとしたら、その場合はお前が振られるんじゃなくて、俺が振られるんだよ」
 心の底が冷えるような気がして、ペニスはもう完全に萎えている。
 ごめんと謝って、初めて、抜きあうために触れ合ったのを途中で中断した。

続きました→

 
萌えたらポチッと応援よろしくお願いします。

1話完結作品/コネタ・短編 続き物/ビガぱら短編/シリーズ物一覧

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP