一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた4

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 やはり飲ませすぎていたらしい。確かに緊張してるという自己申告はあったし、料理類にあまり箸が伸びていないのは見ていたけれど、まさか昨夜からほとんど食事が喉を通らなかったなんてのは想定外過ぎだったというのもある。空きっ腹にアルコールばかり入れたなら、そりゃ酔いが回って当然だ。
 とても次の店へという状態ではなさそうだったので、元々今日のデートは動画撮影がメインではないのだしと思って、さっさと予約済みのホテルにチェックインしてしまったが、むしろ落ち着いて話をするには丁度いいのかも知れない。
 でも予定通りに店が回れないことに責任を感じているのか、相手は酷く申し訳無さそうに、さっきから何度もごめんなさいを繰り返している。
 飲み慣れていないのはわかっていて飲ませたのはこちらだし、泊まりが確定してたから酔っても構わないと思っていたというか、前回ほど相手が酔うことに注意を向けていなかったし、今日のデートは元々相手の希望に合わせる予定でいたのだから撮影が中断しようと問題はない。
 謝られるたびに言葉を変えて、相手に責任がないことを伝えているが、それを素直に信じて、なら良かったと安心してくれるような相手じゃないのは明白だ。
「なぁ、俺がデートって単語使って誘った意味、お前ちゃんとわかってたろ」
 それならばと、言外に今日のメインはセックスと匂わせてみれば、相手はコクコクと2度ほど頷いたあと。
「セックス、ですよね」
「そうだ。だから、」
「わかりました。準備、してきます」
「ってそうじゃなくて!」
 バスルームへ向かおうとする相手を慌てて引き止めて、もう少し落ち着けという意味を込めて抱きしめた。
「ひえっ」
 腕の中で小さな悲鳴があがって、体が緊張でこわばるのを感じながら、やはり3週間も開けたのは失敗だったよなと思う。ゲスな発想なのは認めるが、さっさと2度目を抱いておけば良かった。
 せめてセックス抜きでももう少し頻繁に会っておけば、いざ2度目でも、ここまで意識されなかっただろうか。なんて思ってしまうくらいに、妙に意識されすぎている。
 何をするのか、どんなことをされるのか、知ってしまった後の初めて。と考えれば、その緊張やら意識しすぎたオカシナ態度にも納得、と言えなくもないのだけれど。
 準備してきますね、なんて言葉がスルリと出るくらいには相手にもその気はあるようだけれど、前回同様に手伝ってやると申し出たら絶対に断られそうな雰囲気がある。
 セックスは一緒に楽しむもので、体を使ったコミュニケーションで、こちらだけが一方的に欲を発散させるセックスにはあまり興味がない。それを前回も実践したはずだけれど、夢にされかけたくらいだし、どこまで覚えているかはかなり微妙そうだ。むしろ相手がこちらを誘うきっかけになった、飲み屋での会話の方が記憶されているんだろう。
 ヤりたいから付き合うクズでデート代を出し渋るケチ、辺りの情報ばかりが強く印象に残っている気配が強い。でもヤれそうになかったら割り勘とは言った記憶があるけど、ヤれないならデートする意味がないとまでは言ってないはずなんだけど。
 さっきの店での最後の方の会話からすると、ヤれないならデートしないと思われている可能性が高い気もする。その辺をちゃんと確かめて、しっかり訂正しておきたい。
「も少し落ち着けよ。セックスするのはお前の酒がもうちょっと抜けた後。てかヤルより先にすることもしたいことも色々あるから」
「したいこと、ですか?」
「そう。まず一番最初にするのは昼寝」
「昼寝?」
「うん、昼寝。少し眠って酒抜こう」
 酔ったままの相手といくら会話を重ねたところで、どこまで覚えててくれるか怪しいから。とまでは言わずに、近くにあるベッドへと一緒に転がってしまう。
「えっ? えっ?」
「良い子だから目ぇ閉じて」
 エアコンが効いてるけど寒いほどではないし、くっついて眠るにはむしろちょうどいい。
「ん、いい子。じゃあゆっくり深く呼吸して。吸って……吐いて……」
 指示を出せば素直に従うので、相手が口を挟めないように吸って吐いてを言葉にして繰り返しつつ、時々、上手と褒めてやる。相手の体から少しずつ緊張が抜けていき、やがて穏やかな寝息になったことを確認した後、そのまま自身も目を閉じた。

続きました→

 
 
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