一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた3

1話戻る→   目次へ→

 酒の力を借りつつ、恋人が出来たら行きたかった場所やらやってみたかったことやらに探りを入れ、相手の希望を取り入れた次回のデートプランを練っていく。
「夏休みっていつまでだっけ? お前が休みの間に、も一回くらいは泊まりでデート行けたら良いよな」
 休みが調整できないか検討するけど、最悪日帰りでもデートはするぞと宣言すれば、相手は少しばかり目を瞠ったあと、困ったようにへらっと笑った。
「日帰りでもデート、してくれるんですね」
「むしろなんでしないと思うんだよ。確かに今日のはデートしよって誘ったけど、もしお前が他の誘いに乗ってたら、それだって日帰りデートだったろ?」
 恋人と二人で過ごしたらそれはデートだと言ってやれば、相手はどこか腑に落ちない様子を見せながらも、口では「そう、ですね」と返してくる。正直に言ってしまえば、その腑に落ちない感覚こそが正しい。
 だってこちらの都合に合わせろって誘いと、相手の希望に沿うお出かけでは全然違う。違うのがわかっているからこそ、デートしようと誘うことはしなかった。でもデートって単語を使ってでも、3週間も放置せずに会っておくべきだったとも思っているのだ。
 もし日帰りでデートしよって言ってたら、他の撮影にも同行したかもしれないし、お家デートがしたいと誘えば、母に合わせる顔がどうこう言わずに遊びに来たかもしれない。そう、思わずに居られなかった。
 想いのデカさで言えば断然相手が抱える好意の方が大きいのだけれど、恋人関係を持ちかけたのはこちらだということを、恋人となることを了承させるのにあれだけ手間取ったことを、もっと慎重に考えるべきだった。好きな人と会える時間がもっと増えれば良いな、ってだけでまっさらな体を差し出してくるような相手だってことを、もっと肝に銘じておくべきだった。
 恋人なんて関係は望んでなくて、でももっと会いたいとか一緒に過ごす時間が欲しいって気持ちだけはあんなにも強かったのだから、せっかくの夏休みに3週間もお預けされて平気だったわけがないだろう。
「ごめんな」
「え、なんで謝るんですか」
 いきなりの謝罪に、相手はやはり戸惑って見せる。
「せっかくあれこれ誘ってくれたの、全部断っちゃったの俺なのに。なら謝るの、俺の方じゃないですか」
「日帰りデートしよって言って誘わなくて、ごめん。お前とデートしたいからおいで、って誘えば良かったよな」
「で、でも、日帰りデートだとヤれない可能性、高くないですか?」
「ん?」
「今日をデートに指定したの、明日もお休みだからですよね? てことは、翌日仕事で泊まりは避けたいんですよね?」
 朝早かったし結構バタバタと支度して大変そうでしたもんねという指摘には、当然、肯定しか返せない。
「まぁ、そうだな」
「ラブホって、男同士でも問題なく使えるようなとこばっかじゃないんですよね?」
「えっ?」
「おばさん帰ってくるかもって思いながらするよりはラブホのが全然いいんですけど、俺としてもこの前みたいに普通のホテルの方がありがたいし、だからデートするのはお休みが連続してるときだけでも構わないっていうか、ヤれないのに無理して日帰りデートして欲しくないっていうか、あ、でも、男同士でも日中使える、えーと、ご休憩? 出来るホテルに心当たりがあって誘ってくれてるなら、」
「待て待て待て」
 慌てて待ったをかけて相手の口を閉じさせる。酒の力は偉大だが、思考力が鈍っていけない。
 いやまぁ、相手の問題って方が大きそうではあるけれど。素面でも待ったをかけてそうなことを言われた気がするけど。
 むしろ相手に飲ませすぎているだろうか。話のつながりが飛んでいるように感じるのは、相手が酔っているからかも知れない。そこまで酒に強そうって感じでもないのに、口が軽くなればと、今日は途中で取り上げずに飲ませてしまっている。
「よし、お前ちょっとお酒やめてソフトドリンク……よりも、一旦締めて次の店行くか」
 お互い頭を冷やそう。まぁ外に出たところで頭が冷えるような涼しさは期待できそうにないけども。でも外の空気を吸って、すこし頭をすっきりさせたい。
 そんなことを考えながら、取り敢えずこのお冷は飲んどけと、最初に出されたままほぼ手つかずだった自身の水入りグラスを押し付けた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です