弟に欲情しています2

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 一人だけの静かで暗い部屋の中、ベッドに転がり弟の名を呼びながら自慰行為に耽る。
 姉が家を出たのは半年ほど前で、それを期に自分ひとりの部屋を手に入れた。それまで同じ部屋で過ごしていた弟が、姉が使っていた隣の部屋に移動したからだ。
 模様替えの際、弟主導で壁を挟んで隣り合うようにベッドを配置したので、この壁の向こう側には今日も弟が寝ている。
 眠る前、おやすみとでも言うようにコンコンと二回壁を叩く真似を始めたのは弟で、今日も一時間近く前にその音が響いていた。わざわざ叩き返したりはしないけれど、自分も寝る間際に一度だけ壁を叩くようにはなっている。
 壁を叩く音はそれなりに響くし、姉が隣りにいた頃は、煩いからもう少し静かにしてと怒鳴り込まれたことが何度もあったので、部屋と部屋を分ける壁はそこまで厚くない。けれど弟は眠りが深い方だし、二段ベッドの上下という近さならともかく、自慰行為で多少声を漏らした所で、それに気づかれることはないだろう。
 わかっていても、考えずにはいられない。願わずにはいられない。
 漏らした声が壁の向こうの弟にまで届けばいいのに。声を聞きつけて、こんなイヤラシイことまでしてたのかと、またこちらの秘密を暴いて欲しい。
 そう思いながら、ワセリンを纏わせた指先を股の間に差し入れて、奥の方で密やかにヒク付いているアナルをそっと撫でた。
 精通したばかりの子供の頃から、オナニーのおかずはずっと弟だった。それを弟も、多分どこかで気付いていただろう。
 二段ベッドの上に眠る弟が、オナニーに気付いて何してんのと降りてきて、勃起したペニスを弄ってくれる。という妄想で抜いていたから、それが現実になればいいという期待半分、気づかれて気持ちが悪いと罵られて避けられれば、こんな妄想は終わりにできるのじゃないかという期待半分で、あまり隠すことをしていなかったせいだ。
 弟は気付いていたが、手を出してくることもなく、罵ってくることもなかった。
 何も気づかないふりでやり過ごすことにしたのだろう。そう思ったから、こちらがオナニーを終えて証拠隠滅の後始末をするために部屋を抜け出すその間に、いつからか弟もオナニーするようになったことには気づいたが、それの意味する所を聞くことは出来ないままだった。
 進むことも戻ることも出来ない中で、半ばヤケクソでオナニーを続ける日々は、それなりに長く続いていたが、転機はやはり半年前の姉の自立だ。
 部屋を分ける前の最後の夜、長年続けた妄想は、現実になった。ベッドを降りてきた弟に捕まって、躊躇いなくキスされて、促されるまま弟相手にどんな妄想をしていたか吐いてしまえば、弟は笑ってそれを実行してくれた。
 現実は妄想よりもずっと甘美で、弟の指も舌も想像以上に気持ちが良い。イヤラシクて可愛いと興奮の滲んだ声で囁かれるだけで、何度だってペニスは硬く勃ち上がってしまう。
 一緒に気持ちよくなろうという提案通り、自分も求められるまま弟のを握って擦って舐めてやったし、その関係はあの夜以降もしっかりと続いている。
 けれど部屋は別れてしまったし、こちらは受験生だ。というよりも、受験を気にして姉が家を出てくれたのに、せっかく部屋を分けたにも関わらず、頻繁に弟を引き入れて、受験勉強そっちのけで相互に抜き合っている場合じゃない。
 弟はもっと早くに手を出してればよかったと大層悔しがっていたけれど、それでも、抜き合うのは親が家に居ない週末の昼間だけというこちらの条件を守ってくれている。
 喧嘩して騒いでいたって、姉が怒鳴り込んでくることはあっても親が部屋を覗きに来ることはほとんどなかったから、そこまで心配するようなことではないのかもしれないが、なんせあまり防音の行き届いた家じゃない。弟に触れられるのは気持ちが良すぎて、ついついオナニー時とは比較にならないほど声を漏らしてしまうし、幸い両親はアウトドアな趣味で出会っただけあって二人揃って週末に出かけていくことが多いから、だったら二人きりの時に触れ合いたい。
 まぁ、当然親が出かけない週末もあるし、平日の夜にだってムラムラしてしまうことは多々あるわけで、相変わらず弟をオカズにしたオナニーも止められずに居る。
 ただ、今までの妄想が現実となったからか、妄想は更に進化した。要するに、弟に抱かれることを、考えるようになってしまった。
 もちろん、抱かれてみたいと口に出したことはない。誘えば乗ってきそうな気はしているが、もう暫く黙っていようと思う。
 だって、たまらなく、ドキドキするのだ。
「んっ……んんっ、はぁ」
 アナルの浅い場所をクチュクチュとかき回しながら、熱い息を吐きだした。
 俺に抱かれたくて、自分で弄って拡げて待ってるとか、ホントどこまでもヤラシイねと、興奮した弟の声が聞こえる気がする。
 そこがキモチイイの? でもそんなんじゃ俺の入んないよ。もうちょっと奥まで入れてみようよ。
 そんな妄想の中の弟の声に促されながら、指先に力を込めていく。
「はっ、は、入っ、た……」
 中にキモチイとこあるんだって。自分で探せる? 俺が探そうか?
 ねぇ、早く俺を呼びなよと誘う自分の中の弟に首を振って、ゆっくりと中に埋めた指をグニグニと動かした。キモチイイとこはまだ良くわからないけれど、それでも、確実に興奮は増して行く。どうしようもなくイキたくなるまで、音のない弟の声をアレコレ聞きながら自分を追い詰めて、最後に、前を同時に握って扱いて吐き出した。
 頭の中の弟は、少し残念そうな顔をしている。こんなに早くイキたくなっちゃうなんて、我慢が効かないって言いたげだ。
 頭の中の弟は、さっさと指の本数を増やして、もっと拡げて、早く本物の弟を呼んで誘えと言う。まだ指一本だけしか入らないけれど、いつか三本入って気持ちよくなれたら、抱いてって自分から言うつもりだった。でもそれより早く弟がこのことに気付いてくれたらいいなと思ってもいる。
 妄想通り、抱かれたくてこんなイヤラシイことしてたのって言ってくれる日が、もしかしたらまた、現実になるかもしれない。

続きました→

 
 
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