ゆっくりとぎりぎり抜けきらない所まで指を引き抜き、またゆっくりと押し込んでいく作業を繰り返す。
「ん、……ふっ、ぅ……んっ……んっっ」
だんだんと兄のこぼす音のある吐息が増えているが、それでもまだ、意識は夢の中をさまよっているらしい。
「ふぁ……ぁ、……ぁっ」
声の色が変わって、どうやらイイトコロに触れているようだ。これが噂の前立腺かなと思いながら、今はまだそこを覚えるだけにして、一度指を引き抜いた。
あまり強く刺激を送ってしまって、目覚められたら困る。目覚めるのは後戻りなんて出来ないくらい拡げてしまってからがいい。
ローションを足して指を二本に増やし、またゆっくりと馴染ませるように時間を掛けて抜き差しを繰り返す。だんだんと拡がるように、少しずつ指を開いて行くのも忘れない。
兄を起こしてしまわないように、けれどある程度は良し悪しがわかるように。なんでこんな真剣に兄の尻穴と向き合っているんだと思わなくもないものの、そんな思考をすぐさま頭の隅に押しやれるくらいは、実兄のアナルを弄り回して拡げているという事実に興奮できている。
女との合意あるセックスしか経験のない自分が、男を酔い潰して相手の了承もないまま抱こうとしている。しかもその男は血の繋がりのある兄だ。そんないくつも重なる背徳感のどこに興奮しているのかははっきりしないが、うっとりと雄っぱいを撫で揉んでいたあの兄を、とうとう抱くのだという期待による興奮が一番大きいのは間違いない。
指を三本まで増やしてそれが充分馴染むのを待ってから、あまり触れずに居たイイトコロを狙って、そこばかりを重点的に弄っていく。
「ぁ、アッ、ぁあっ」
兄の声がひっきりなしに漏れ出るのが楽しくてたまらない。
「んっ、ぁっ、あぁ、っえ……?」
初めて戸惑うような声音に、前立腺と思われる膨らみをグッと指先で押してやった。
「んぁああっ????」
最初は完全に驚きで上がった声だったが、それを気にせず、ぐっぐと何度も押してやる。
「っえ? ちょ、なに? なにっ? ぁ、ぁあっ、ひぁ」
だんだんと意識がはっきりしてきたらしく、たどたどしいながらも現状を把握しようとしているらしい。
「ここ、押されるの気持ちよくね?」
「は、ちょ、ぁ、何、言って、ぁあっ、てか、なにしてっ」
「んー、多分、前立腺マッサージ?」
ここが兄貴の前立腺だと思うんだよねと言いながら、押すのではなく指先でくるくると撫でてやった。
「ふぁあっ、ちょっ」
「ほら、気持ちよさそ」
「たぶん、て、おまっ、ぜんりつせん、て」
慌てたような声に、さすがに何をされているのか理解し始めたようだと思う。
「そろそろわかった? 兄貴のケツ穴、もう三本も俺の指飲み込んでんだぜ」
「うっそ」
「嘘なもんか」
嘘じゃないとわかるように、埋めた指を軽く前後左右に揺すってやる。
「んうぅっっ」
驚いたように息を詰めるから、きゅっと指がしめつけられて気持ちがいい。
「ほら、どんくらい拡がってるか自覚できたか?」
「や、もっ、なんで、こんな」
「なんで? そんなの兄貴を抱くために決まってんだろ」
「うっそ、だろ……」
呆然とこぼれた言葉に、再度嘘なもんかと返しながら笑ってやった。
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