親友の兄貴がヤバイ1

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 絶対に自分を見てくれることなどないと思っていた初恋相手が、親友の多大な協力によって恋人となってくれて数ヶ月。告白すらせずに縛ってフェラチオしたあげく抱かせろと迫ったり、自分の手で気持ち良くなってくれる姿が見たいとねだって手コキでイカせたりなどを経て恋人になった割に、関係はそれ以上まったく進んでいなかった。
 部活を引退して受験一直線となるはずのこの時期に、愛だ恋だセックスだなどと言っていられる余裕がないのは確かで、同級生の親友を弟に持つ相手もそれはわかっている。というよりも、相手はより身近な弟を基準に大学受験を考えているだろう。
 余裕があるとは言わないが、親友ほどには切羽詰まってはいないのだけれど、おかげで休日に彼と一緒に遊びに出かけることもままならない。デートなんて受験が終わってからいくらでも付き合うからと言われて、外で会えても食事かお茶をして数時間程度で帰されてしまう。
 ただ、むちゃくちゃな始まり方だった事を考えれば、随分と穏やかで落ち着いたお付き合いが出来ている、とも思う。テーマパークやらへのお出かけデートは出来ていないが、決して恋人っぽいやりとりがないわけではなかった。
 ラインでの文字による他愛ない会話やスタンプの応酬がメインではあるが、たまに電話越しに声を聞かせてくれるし、受験勉強という名目で親友の家にお邪魔した時に相手も在宅中なら、隙を見つけて軽いキスをくれたりもする。
 動揺や喜びが顔に出にくいタイプで良かった。でも本当に誤魔化せているのは、実のところ彼らの両親だけだ。
 親友には最初からこちらの慌てぶりも浮かれっぷりもバレバレだったせいで、彼の兄がこっそりキスしてくれる瞬間を見られたわけではないらしいのに、何をされたかまでほぼ察知されたし、恋人本人も反応が薄いと口を尖らせたのは最初の一回だけで、相変わらずたいした反応を見せずとも、満足気で柔らかな笑みを浮かべている事が多い。
 親友は元々協力者なのだから、彼らの両親にさえ知られなければ問題ないのかも知れないが、それでもふいに掠め取られていくキスは心臓に悪い。
 日曜の今日は朝から親友宅へ呼ばれて一緒に受験勉強ということになっていて、彼も普通に仕事休みで家にいることはわかっていた。でも、玄関が開いた直後に、いらっしゃいの言葉とともにキスされるなんて想定外も甚だしい。
「ちょっ、なんでっ」
「大丈夫、誰も居ないよ」
 慌てて背後を確認する自分に掛けられたその言葉を、どこまで信用していいかわからない。あの一瞬で周りを確かめる余裕なんて相手にあったとは思えない。
「怖い顔してないで早く入りな。あいつも待ってる」
 動揺や喜びがわかりやすく顔に出ることは少ないが、困ったり驚いたり考え事をしている時は、まるで怒ったような顔になるらしい。人に指摘されたこともあるし、自覚もないわけじゃない。でもまぁ今のは多少、本当に怒ってもいい場面という気もするけれど。
 せっかく奇跡的に手に入れた恋人を、迂闊な行動で手放す目にはあいたくなかった。親友があまりに協力的で忘れがちだが、世間的にどう見られる関係なのかはわかっているつもりだ。
 誰のせいだと言ってやりたいのをこらえて、お邪魔しますと告げつつ、ここ最近ですっかり通い慣れてしまった家の中に上がった。

続きました→

 
 
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「親友の兄貴がヤバイ1」への2件のフィードバック

  1. レイ様こんにちは〜!
    は、はじまりましたね!他にもコメントしたいものが多々あるのですが、嬉しくてまずこちらから〜!
    あのお兄さんが軽いキスするのに感動しています〜(*^^*)
    ラブラブ見たかったので、あのお兄さんがねえ、とにやにやしました。
    ここから今回はどうなるのだろうと楽しみです〜。こんなにすぐ続きが読めるなんて幸せです。

  2. 睡魔さん、さっそく読んで下さってありがとうございます!
    予定外に雷の話が長引いてしまいましたが、元々雷の後は蔵書の続き、その後がこれと予定していたので、かなりいいタイミングで前の話を読んで頂いたなぁと思います。
    お兄さんは弟守ってガルガルしてなければ、普通に恋人は甘やかしたいタイプの彼氏力高い人なんですけど、でも親友くん側も甘やかされたいわけじゃないというか多分こっちも基本は甘やかしタイプ(弟くんの様子から感じるに)なので、そのへんの摺り合わせをしつつラブラブ初エッチが迎えられたらいいなぁと考えています。
    この二人で書きたいことがそこそこあるので、どこまで書けるか、どの程度の長さになるかなどはまだまだ未定ですが、よろしくお付き合いくださいませ〜(´∀`*)

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