ノックもせずにドアを開く。静かに開いたつもりだったが、可愛らしく喘いでいた兄の声はピタリと止んだ。あっさりバレたなと思いながらも声は掛けないまま、するりと入り込み後ろ手にドアを閉める。
部屋の中は暗かった。どうやら兄は、部屋を分けたからといって、明かりを点けてオナるわけではないらしい。
オナニー真っ最中に弟に踏み込まれて、驚く兄の顔が見れなかったのは残念だ。でもこれはこれで悪くない。部屋を分ける前を思い出してドキドキする。
ドアのすぐ脇にスイッチがあるけれど、明かりは点けずにそのままベッドへ向かっていく。
ベッドの脇に立ち、グッと身を屈めて壁向きに横たわる兄の様子を間近に窺った。上から見下ろす横顔からでも、兄が目を閉じて息を潜めているのがわかる。けれど薄闇に慣れてきた目には、緊張からかフルフルと小刻みに震えるまつ毛が見えている。
「起きてんのわかってんだからな。兄貴がオナってる声、聞こえたぞ」
受験終わったんだしもう週末まで待たないからと一方的に宣言し、問答無用で掛布を剥いでやった。パジャマのズボンに手を突っ込んだ姿を晒して、またその手の上から股間を揉んでやるつもりだった。
「ちょっ、」
「えっ……」
「バカっ、返せよ布団」
随分慌てた様子で、それでも階下の両親を気にしてか声量は控えめに声を上げたものの、兄は膝を抱えるように丸めたまま動かない。もしくは動けない。
その下半身にはパジャマのズボンどころか下着すらなく、つるりとしたお尻がこちらに向かって突き出されている。
「うっわ、やーらしー」
一人部屋になって、脱いでオナるようになったらしい。しかも下だけとか、視覚に訴えるイヤラシサが半端ない。もちろん、まだ寒いこの季節にわざわざ上まで脱ぐ必要がないだけだって事はわかっているし、突然踏み込んだ自分へのサービス要素なんて欠片もないことだってわかっているけれど。
「下だけ脱いでるとか超エロい。ほら、続き手伝ってあげるから、こっち向きなよ」
促すように剥き出しの尻を撫でてやれば、アッと小さく声を上げて体を震わせたから、そのまま柔らかな尻を軽く揉んでやった。
「ァッ、ぁぁ、やぁ」
「あれ? ケツ揉まれても感じるんだ?」
へー。知らなかったなと思いながら、更にモミモミと揉みしだく。手の平を柔らかな弾力が押し返してくるのが楽しくて、つい調子に乗ってユサユサと揺すってしまったら、止めてと訴える兄の声が高くなる。そう言いつつもかなり気持ちよさそうだ。でも慌てているのはわかるし、あまり声を上げさせて親に気づかれるのもかなりマズイ。
「じゃ、ほら早くこっち向きなって」
仕方なく尻を揉む手を外して、今度は膝頭を掴んで強引に体の向きを変えてしまう。
「やぁっ」
「えっ?」
勃起ちんこを隠すように握っているのかと思いきや、兄の片手は股の間のもっと奥へと伸びている。何してるんだと思いながら、足を閉じようと力のこもる膝を、それ以上の力で押し開いて股の間を覗き見た。
運動部はしんどいとか言って高校から文化系の部活に入部して既に三年近く経過している兄と、中学から引き続き運動部に所属している自分とでは力の差は歴然だ。身長だって二つ上の兄とほぼ変わらないくらいあるし、自分はまだまだ伸びているから、兄を追い越すのも時間の問題だろう。
「ちょ、何してんのこれ」
覗き込んだ先、兄の中指が深々と尻の穴に突き刺さっているように見えて焦る。
「ていうか、まさかのアナニー?」
確か、尻穴を使ったオナニーをアナニーって呼ぶはず。極めると、射精しなくても射精以上の絶頂感が味わえるらしい。オナ禁だの男性用貞操帯だの射精管理だのを検索した時に、オマケみたいな感じで目にした気がする情報だ。
「ね、キモチイの?」
いや、そんなの聞くまでもないだろう。だって中指が根本まで埋まってるってことは、昨日今日始めたわけじゃない。
股間を覗き込んでいた顔を上げて、無言を貫く兄の顔に顔を寄せた。薄闇でも顔を赤くしているのがわかる。困ったように視線を彷徨わせるものの、この状況に酷く興奮していることも、手に取るように分かった。
「ああ、もしかして、待ってた?」
聞いたら視線を逸しながら、それでも小さく頷いてみせる。オナニー我慢してってのを無理って言い切って続けてたのは、もっと早くにこの現場に踏み込んで欲しかったからなのか。
「マジか。受験だからって気を遣って我慢してたのバカみたいなんだけど」
「それは知ってた。我慢してくれてありがとな」
やっと目線を合わせてくれながらそう言った兄は、更に言葉を続けていく。
「もし受験終わってもお前が気づかなかったら、自分から、抱かれたいって言うつもりだった」
「えっ? 抱かれたい? てか抱かせてくれるの?」
「うん。そのつもりで、お尻、拡げ始めたのが最初だから」
「もう俺が突っ込めるくらい拡がってんの?」
「えーと……まだ、かな?」
兄の様子から、何か隠している気配がする。それを指摘したら、拡げるより気持ち良くなること優先しちゃってと照れ笑うから、なんかもう納得するしかなかった。
「つまり、お尻弄って気持ち良くなれるのは確定?」
「ん、確定。最近は、お尻弄ってないとなかなかイケなくなったくらい、お尻が気持ちぃ」
そういや抜き合う時、誘うみたいに尻を振られることが増えた気はしてたけれど、あれは誘うみたいではなく、まさしく誘っていたようだ。
「うっわ。そんな理由かよ」
何がと聞かれたので、一緒にする時の反応が鈍ってきたから飽きられた可能性も考えたと言ったら、焦ったようにオカズは昔も今もずっとお前だと教えられた。
「うん、知ってる。さっき名前呼んでくれてたの聞こえてた。それよりさ、手伝わせてよ。俺も、指、入れていい?」
兄貴がキモチぃとこ教えてと言えば、兄の腕が動いて、口からははっきりと甘い吐息がこぼれ落ちる。どうやら埋めていた指を抜いているらしい。
「中指、入れてみて」
言われるまま指先で触れたそこは、温かな何かでグチュグチュにぬかるんでいる。指先に力を込めれば、かすかな肉の抵抗とともにあっさりその場所へ沈んでいった。
グニグニと蠢く兄の中は酷く気持ちが良くて、いつかここにちんこを突っ込み、同じようにグニグニと締め付けてもらえるのだと思うと、どうしようもなく興奮していく。
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