兄は疲れ切っているのその後の二人を兄側視点で書いています。
弟と恋人という関係になってから先、抱かれる頻度は半分くらいに減った。体だけでも繋いでおかないと不安だった、というのが、恋人という立場を得て安定したせいらしい。
まぁ、ホテル直行だったのがデートという手順を踏むようになったのと、一回のチェックインで数回イカされるようになったのとで、金銭的にはそこまで変わらないし、肉体的にはむしろマイナスって気もするけど。でも精神的には確かにこちらも、かなり安定してはいた。
兄弟で恋人ということも男同士でデートすることも、全くと言っていいほど気にしていない相手に、躊躇もなく愛情を注がれながらデートし抱かれるのは、正直クセになるほどイイ。
デートと言ったって、初回が映画と食事だったわけで、毎回デートスポットやらを探して巡ってやっているわけではなく、むしろ食事だけってことも多いんだけど。でも一緒に食事をして、あれが美味しいこれが美味しいと言い合って、愛しげに見つめられる中で差し出される、スプーンに乗った相手のデザートを前に口を開ける頃には、すっかり気持ちが昂ぶっている。
それを更にどろどろに甘やかされつつ抱かれるのだから、イイのは当然だと思う。特に、すっかり開発されきったお尻や胸への刺激だけでトコロテンするのが、たまらなく気持ちいい。
体はその先があることを知っているけれど、さすがに吐精無しでイッたのは恋人として初めて抱かれた日くらいだ。玉が空っぽの状態じゃなくてもそうなることがある、らしいのは知っているけれど、今のところそこまでは至っていないし、玉が空になるほど何度となくイカされるような抱き方もされないからだ。でも奥を突かれた時に、痛いよりも気持ちいいが勝るときが増えているから、いずれは吐精無しでイケるようになるのかも知れない。
そんな日々が大きく変わったのはやはり弟が大学を卒業して就職してからだろうか。いや、自分との関わりに影響が出たのが卒業後というだけで、変化はもう少し前から起きていた。
ずっと熱心に続けていたスポーツを社会人になっても続けるのかと思いきや、あっさり引退して家から通える範囲の職場を探した辺りで、もっと真剣に話し合いをするべきだったのかも知れない。自分との関係を今後どうするつもりでいるのか、実のところ聞けていない。
自分の実力はわかってるし、元々大学卒業までと思ってた。という弟の言葉を疑う気はないが、弟の進路に自分が影響した可能性を考えずにいられない。
まず大きく変わったのは金銭面の負担割合で、それはまぁ、とくに不思議なことではないのだけど。でも割り勘という形ではなく、交互に支払いがいいと言い出したのも、その日のデート先を支払い側が決めようと言い出したのも、ただただその方が楽しいから的な理由ではなさそうだ。
なぜなら、弟に連れて行かれる先が、こちらがメインで支払っていた頃とかなり違う。メインで支払っていた頃だって、弟が提案してきた店やら場所やらを拒んだことはほぼないのに。
最近弟が選ぶデート先は、あえて大きな駅を避けているように感じる。今までは降りたことがないような小さな駅にある、特別有名ってわけでもなさそうな店に入ることが多い。
それなりに調べてはいるようで、それらの店に不満があるわけじゃないんだけど。でも、なんで? と思わずにいられない。だって、そんな小さな駅前にラブホがあるわけもなく、結局、そのあと大きめの駅に移動している。
それと、デートをしない休日に、何をやっているかさっぱりわからない。今までは彼がいない週末=部活絡みの何かとはっきりしていたけれど、別に試合を見に行ってるだとか、後輩指導で母校を訪れているだとか、そんなわけでもないらしい。
特に、何してたと聞いても、ちょっと色々と濁されるのが、とにかくめちゃくちゃ怪しかった。
絶対に何か企んでるっぽいけど、そのうちちゃんと話すから待っててと言われてしまうと、追求もし難い。そしてそんな悶々とする日々は、なんと、もう1年近くも続いている。
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