親切なお隣さん3

1話戻る→   目次へ→

 結局、エアコンが新しいものと交換されるまでに5日ほどかかる事になり、お隣さんの合鍵が無ければ結構詰んでた気がする。
 しかも電気代を全く気にしていないお隣さんの部屋の中はかなり快適だ。というか戻った瞬間の部屋の暑さがなく、汗だくになりながら部屋の温度が下がるのを待たなくて良い生活が、こんなに快適だとは思っていなかった。
 いつかは自分も、そんな生活が出来るようになりたい。
 お隣さんは夜が遅いぶん朝が少しゆっくりで、冷蔵庫は大きいのに飲み物くらいしか入ってなくて、基本3食全て外食か中食だと言う。自炊に時間をかけたくないとかなんとか。
 朝はコンビニでパンかおにぎりを買って会社で食べるなんて言うから、初日の朝、泊めてもらった上に合鍵まで借りて、まだ数日はお世話になることが決定しているお礼にと、自宅からなけなしの食材を集めて朝食を振る舞ってしまった。
 それがすべての始まりで、まっすぐ帰宅すればもうちょっと早く帰れるから、朝と夜に食事を作ってくれないかと頼まれた。食費は自分の分も含めて相手持ちでいいと言われたら、そんなの引き受けるに決まってる。
 ただ、さっと差し出された3枚の万札には驚きを隠せなかった。思わず何日分ですかと確認したら、1週間分くらい? と疑問符付きで返されて、自炊をしないから相場が全くわからないらしいと気づく。もしくは、自身の1週間分の朝と夜の食費を、単純に2倍にした可能性。
 一応、夕飯にはビール必須だとか、肉はお安い海外産とか鶏豚禁止で国産牛とかを希望してるのか確認したあと、平日は飲まないし肉への拘りもないと言われて、取り敢えず1枚は返却した。あと、大したものは作れないと念も押しておく。
 外食と中食三昧な人の口に合うものが作れる自信はまったくなかったけれど、ありあわせで作った朝食を食べた後で言い出しているのだから、まぁ、なんとかなるだろう。
 実家にいたころも家族の分を作ることは結構あったし、不味いと言われて残されたことはない。
 そんなこんなで1日2食を共にする生活を5日も続ければ、相手とも大分打ち解けて、口調なんかは相手もかなり砕けてきた気がする。
 ただ、子供の頃もここに住んでいたという相手の昔話を聞くことはあっても、自分の子供時代の話を出すことは出来なかった。胸の中で色んな感情が絡まっていて、人に話せる懐かしい思い出話なんて思いつかない。
 相手も何かを察して聞いてくることはないけれど、でも察しているからこそ、構いたがるんだという事にも気づいてしまった。
 恩返しがしたいから合鍵を受け取れの意味も、もう、わかっていると思う。
 美味しいと言って食べてくれる朝と夜の食事だって、多分、こちらの経済事情をわかっていて助けてくれている分が大きいんだろう。だって本当に凄く助かっている。でも本当は、一緒に食事なんかしなくても、今まで通り外食と中食続きだって、構わないはずだ。
 稼ぎはあるのに好んでここに住んでいる彼は異質で、ここに住んでいるという時点で、基本は経済的に余裕なんてないのだ。母子家庭だった小学生時代の彼も当然そうだったわけで、子どもの彼が周りの大人達のさり気ない気遣いであれこれと助けられていたように、彼自身も困った子供の手助けがしたい。それを恩返しと呼ぶんだろう。
 小学生の子供なんかじゃないんだけど。でも年下で、まだ、学生だから。それで彼の支援対象になっているんだと思う。
 子供じゃないのにいいのかなぁと思う気持ちはあるが、今現在、このアパートに子連れの入居者は居ないし、本当に助かっているし、エアコンの工事が終わるまでは甘えてしまおうと割り切って、快適な日々を享受してしまった。
 部屋が涼しいのも、食費がタダになるのも嬉しいけど、宣言通り本当に大したものは作れていない日々の食事を、美味しいって褒めてくれるのもかなり嬉しい。不味いと言われたことも、残されたこともないけれど、美味しいと褒められた記憶は、そういえば殆どなかった。
 たまにリクエストは貰ったけれど、美味しかったからまた作って欲しい、なんていう頼まれ方はしていない。基本、食べたいから作って、としか言われなかったけど、それでもリクエストを貰うのは嬉しかった。
 それどころか、作ってくれて助かるって言葉すら、最後に聞いたのが何年前か思い出せない。いつの間にか、親が用意できない時は自分で作って当たり前になっていたし、家族の分も一緒に作っておけばちゃんと食べて貰えるってだけになっていたなと思う。
 気づいてちょっと凹んだけれど、だからこそ、大学入学を期にあの家から逃げ出したのは正解だった。親兄弟がなんと言おうと、自分の選択は間違っていない。絶対後悔なんかしない。
 これから先も、そんな正解を見つけては積み上げながら生きていくんだと強く思いながら、最後の夕飯を用意していく。
 明日の日中、自宅のエアコンが新しくなる。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

親切なお隣さん2

1話戻る→   目次へ→

 涼しいよの言葉通り、玄関をくぐったその先は外より数段気温が低い。なんでかと思ったら、部屋のエアコンが既に稼働していた。
 しかも部屋に入るなりリモコンを手にしたかと思うと、ピッピッと何度か音がなって、そのエアコンから更に涼しい風が勢いよく吹き出してくる。どうやら設定温度を下げたらしい。
「もしかして1日中点けっぱなし?」
「うん。さすがにこの時期はね」
 金持ってんだなと思って、いやでも働いてるなら当然かと思い直す。スーツを着てるし、こんな時間まで働いてる生活なら、エアコンを点けっぱなしにする電気代を気にせずすむんだろう。
 こっちなんて、暑い日中はなるべくバイトを入れまくったり、図書館やら金をかけずに涼めるような場所をうろついたりと、自宅滞在時間を極力減らす努力をしてると言うのに。
 自分だって、バイトだけしてればいい生活なら、可能だとは思うけど。でもこの生活が出来るのは長期休暇中だけだ。休暇が終わったあとのことを考えたら、少しでも貯めておきたい。
「あー……家空けてる時間考えたら切ったほうがいいのはわかってるんですけど、まぁ、ちょっとした贅沢という自覚はあるかな。でもほら、さっきもちょっと言ったけど、うちのエアコン去年新しくなってるんですよね。だから長時間稼働してても電気代は安いんですよ。先月の電気代、去年よりかなり安かったから間違いない」
「別に何も言ってないのに」
「だって目が金持ちって言ってるから」
「あーでももし家もエアコン新しくして貰えるなら、電気代安くなるかもなのか」
 それは嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。頬が緩むのが自覚できるくらいに嬉しい。修理じゃなくて交換になってくれと願わずにはいられない。
「そういや明日の予定は? どうなってます?」
「朝から夜までバイトですけど」
「休憩時間は流石にありますよね? とりあえず大家さんには電話で相談して、なるべく早く修理なり交換なりしてもらえるようお願いするとして、早くても数日はエアコン使えないと思うんですけど」
「あー……」
「てわけでハイこれ」
 めちゃくちゃ気軽に差し出されたのは銀色に光る金属で、見慣れたその形から言っても、間違いなくこの部屋の合鍵なんだろう。
「は?」
「おれ、帰宅は毎晩これくらいになるので。そっちのエアコン直るまで、うち、使ってていいですよ」
「いやいやいや。てかアンタほんと、頭大丈夫すか?」
「酷いなぁ。悪い子じゃないんでしょう? それに盗まれて困るようなものは置いてないですし」
 でも壊されたら困るものは置いてあるので部屋の中のものは丁寧に扱って欲しい、らしい。いや、そんな話を聞きたいわけではないんだけど。
「悪い子じゃないって言い切らないでくださいよ」
 子供扱いされるほど小さくないし、相手との年齢差だってそこまであるようには思えないのに。
「なら君は、おれが居ない間に家探しとかしたいと思うの? たいした現金なんて置いてないし、中古ショップ持ち込んだところで値がつくようなものも多分ないから、したければしたって構わないですけど」
「しないですけど。てか家探ししてもいいってなんなんすか」
「取っ掛かりがつかめるかな、と思って」
「取っ掛かり?」
「んー……君に深入りする、取っ掛かり?」
 疑問符が見えそうな語尾の上がりっぷりだった。てかやっぱり何を言っているのかイマイチわからない。この人の口から出てくる言葉は突拍子もないものが多すぎる。
「俺ら、今日初めて顔合わせましたよね?」
「そうだね。でも君の話はちょいちょい聞いてたから」
 階下の老人と大家からってことだろうか。その二人にだって、語れるほどの何を知られているのか全く検討もつかないくらい、接点なんてないはずなんだけど。
 いやでも階下の老人には、こっちの事情も多少話した気もするか。親の躾がどうのと言われて、思わず言い返しただけではあるが。
「どんな話聞いてんのかしりませんけど、プライバシーの侵害? とか個人情報保護なんたらとか、どうなってんすか」
「世間話の範疇ってことで。というかお節介な大人たちが心配してくれてるんですよね。君だけじゃなく、おれのことも」
「アンタのことも?」
「そう。おれ、小学生の頃もここに住んでてね。その時色々お世話になったのが忘れられなくて、戻ってきちゃったの」
 恩返しがしたいんだよね、と言ったあと、なぜか再度鍵を差し出されて、だから受け取ってよと続いて、やっぱり意味がわからなかった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

親切なお隣さん1

目次へ→

 連日熱帯夜が続く日々の中、調子が可笑しいと思っていたエアコンがどうやらとうとう壊れたらしい。
 部屋の窓を全開にしたところで風はなく、とても寝ていられないと、とうとう部屋を飛び出し廊下の手すり壁にぐったりと寄りかかる。
 部屋に風は入ってこなかったが、無風というわけではなかったらしいのが救いだ。
 横から流れてくる風に当たりながら、部屋にいるよりはマシだなと思うものの、この状況はかなり最悪だった。明日もバイトが詰まっているし、このまま眠れないのは結構困る。
 寝不足で倒れてなんかいられない。
 というか、多分エアコンの買い替えが必要だが、買いに行く時間の捻出と費用の捻出もどうしよう。確実に数万は飛ぶんだろうと思うと、ため息しか出てこない。
 けっこうカツカツな生活で、そんな金銭的余裕、全然ないのに。
 スマホを取り出し登録された連絡先を上から眺めてみるが、もちろんそこに助けを求められるような相手なんていない。
 再度ため息を吐いたところで階段を登ってくる足音が聞こえたが、ご近所さんの目を気にする気力なんてものも当然なかった。こんな場所に住み、こんな時間まで働いてるような相手にだって、きっと他人を気にする余裕はない。はずだ。
 引越しの挨拶なんてしたこともされたこともなく、この古いアパートの他の住人なんて、斜め下に住む高齢の男性くらいしか知らない。見かければ挨拶くらいはするが、それだって無視したら絡まれて面倒だからという理由が一番大きく、できれば会わずにいたい相手だった。
 だから今階段を登ってきている誰かにも会ったことはないし、わざわざ振り向いたりこちらから挨拶したりしなければ、相手もそのままスルーして通り過ぎてくれると思っていたのだけれど。
「あ、こんばんは」
 階段を登りきったらしい相手が、こちらの存在を認識したのとほぼ同時に、声をかけてきた。挨拶されてはさすがに無視できない。いやこれは階下の老人の影響で、以前の自分なら、関わりたくないオーラ全開で無視していたかもしれないが。
「あー……ども」
「そこの部屋の人ですか? こんな時間にこんな場所で何を?」
「あー……エアコン壊れちゃって」
「え、大変だ。もしかして眠れなくてここに? それなら、うち、来ます?」
「は?」
 何を言われたかわからなくて呆然と相手を見返してしまう。
「おれ、隣の住人なんですけど」
 そう言っていきなり自己紹介を始めた相手を、やっぱり呆気にとられながら見ていたら、最後に名刺まで渡されて意味がわからない。
「え、えと……」
「あー、つまり、怪しい者ではありませんよ、的な」
「あー、はい、それはわかりました。けど……」
「部屋の構造一緒なんで、お客用の別室を用意したりは無理ですけど、もう一組布団敷くくらいのスペースはありますから、うちに来ませんか?」
 マジで言ってんのかとようやく理解はするものの、当然、じゃあお世話になります。なんて言えるわけがなかった。
「いやいやいやいや」
「そんなに嫌ですか? ここで一晩過ごすほうがマシ?」
「じゃなくて! 頭、大丈夫すか? 俺のこと少しは怪しんだ方がいいんじゃないすか」
 こっちは自己紹介をしたわけではないのに、いきなり自宅に招こうとする理由がわからない。警戒心てものがないんだろうか。
「あそこの大学の学生さんで、世間知らずっぽいとこは多いけど悪い子ではなさそう。って聞いてるから大丈夫」
「は? 誰に?」
 相手が告げた名前の二人のうち、一人は階下のご老人だが、もう一人がわからない。
「え、誰?」
「大家さんだけど。あれ? 契約書に名前あるよね?」
「あー……そうだった、かも?」
「え、じゃあ、もしかして大家さんと直接あったことない?」
「逆に、会うようなことってあります?」
 家賃は銀行口座からの引き落としだし、間に不動産屋だって入っているのだから、大家と直接会うというのがよくわからない。
「時々様子見に来てるし、それこそエアコンの不調の相談とか。近いし、不動産屋挟むより話早いし、俺がエアコンの調子悪くなったときは直接押しかけちゃったけど」
「え、エアコンの調子を大家さんに相談するんすか?」
「だってここ、エアコン付き物件だし。故障したら貸主負担でしょ?」
「マジすか。じゃあ大家に言えば直して貰えるんすか」
「ああうん、そう。てか知らなかったのか」
 買い替え費用とか掛からないから大丈夫だよと言われて、安心のあまり目の前が滲む。
「てわけで、再度のお誘いになるけど、今日のところはうちにおいでよ」
 取って食ったりしないし涼しいよと言われて、とうとう頷いてしまった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

今年もブログ開設日をあっさりスルー(雑記)

そういや9周年過ぎてた、というのを思い出したのが7月のお休み中で、更新再開前に何か雑記書こうと思ってたのに、それをまた忘れて更新再開しちゃってました。

というわけで、ブログを開設してから9年と2ヶ月くらいが経過しました!
よくまぁこんなにと思う気持ちと、結局ブログって形が自分に合ってるんだろうなって気持ちと、この状況が代わらず今後も続けられればいいなって気持ちが大きいですかね。
なので10年目の残りも特に何か変わることなく、時々休みを入れつつ、思いつきと勢いで書き続けていくつもりです。

昨年は思い立ってリクエスト募集&過去作の続き希望も可とした結果、思った以上にたくさんのリクエストを頂き、本当にありがとうございました。
リクエストを下さったご本人からだけでなく、この話の続き読みたかったと言って貰えることもあり、過去作続きのリクエストでもいいよって言ってみてよかったなって思ってます。
昨日エンド付けた酔った弟に乗られた話は厳密にはリクエストではなかったんですが、やっと全てのリクエストを消化できまして、今は明日から何書こう状態です。
ほんと、何書こう。
半年以上、次に書くものが決まってたのは正直とても楽でした。笑。
また急に思い立ってリクエスト募集した際には、ぜひまた、気軽に参加してもらえると嬉しいです。

最後に恒例ではありますが、いつも閲覧どうもありがとうございます。
見てくださってる人がいる、自分が書いたものを楽しんでくれてる人がいる、というのは本当に励みになってます。
まだしばらくは書き続けられそうなので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

酔った弟に乗られた話4(終)

1話戻る→   最初から読む→

「は、はいったぁ」
 へにょっと嬉しげに笑う顔に、こちらも安堵の息を吐く。
「うへへ」
 ちんぽかたぁい、などとヘラヘラ笑う顔に興奮が煽られる。痛いと泣かれて若干萎えていたペニスが、硬度と質量を増していくのがわかる。
「俺んなか、気持ちぃ?」
 気持ちぃよと返せばやっぱり嬉しそうにフニャフニャと笑ってから、深呼吸を一つ。それから意を決したように、ゆっくり腰を持ち上げていく。
「んんんっっ」
「おいっ、痛いなら無理すんなよ」
「へー、き」
 痛くないよーと間延びした声で返しながら、今度はゆっくりと腰を落としてくる。
 そうして何度か往復するのを若干ハラハラと見守っていたけれど、確かに、痛いと漏らすこともなければ、痛そうに呻くこともなかった。
 ならいいかと、こちらも与えられる快楽に気持ちを集中させる。今度こそこのままイッても良いはずだ。
「はぁ……」
 自身の口からこぼれる息が熱い。
「気持ちぃ?」
「ん、いい」
 再度聞かれて頷けば、良かったぁとはっきりいわれた後で、だんだん腰を上下させるスピードがあがっていく。
「もっと、もっと、俺で、きもちくなってぇ」
「ぁっ、……ぅんっ……」
 必死で頷き快感を追った。
 多分弟自身はこの行為で快感を得られているわけじゃなく、痛みはなくともそこそこ苦しさが伴っているんだろうとは思う。こちらを見下ろし嬉しそうに笑うことはあるが、基本、息遣いにも表情にも甘さはほとんどない。気持ちよさそうに蕩ける様子はないし、開かれた股間で揺れる弟のペニスはとっくに硬さを失い垂れている。
 こっちに主導権があれば、一緒に気持ちよくなれただろうか。
 自分ばかりが気持ちいい現状に申し訳ないような残念なような気持ちはあるが、でもそれを今、どうこうしようとするのは無駄だ。というか無理だ。だったら、さっさと気持ちよく果ててしまう方がいい。
 少なくとも、こちらがイッたら弟も一度動きを止めるだろう。口でしてやれるかはわからないが、手でなら自分だって弟のペニスを握って扱いてやれるはずだから、とりあえず一度終わらせてから弟のことも気持ちよくしてやればいいかと思う。
「ぁ、あっ、も、いきそぉ」
「ん、イッて、イッて、あああっっ」
 ますます激しく上下される腰に合わせて、こちらも少しばかり下から突き上げてしまったけれど。辛そうな声を上げさせてしまったけれど。
「出るっ」
 その宣言に合わせてぎゅっと落とした腰を押し付けてきた弟の中に、すべての熱を吐き出した。
「はぁ、あにきのちんぽ、ドクドクしてるぅ」
 やたら満たされた顔で、お腹ン中あつぅい、などと言っているが、それを聞いてザッと血の気が引いていく。良かったなと悠長に思えないのは、コンドームというものの存在をすっかり失念していたせいだ。
 つまりは、弟に中出しした、という事実を今更認識して焦っていた。
「ちょ、おまっ、中出しなんかして大丈夫なのか?」
 確か腹を壊すんじゃなかっただろうか。けれど弟にはピンときてないらしい。
「え〜めっちゃ嬉しいけど」
 兄貴に種付けしてもらったぁ、などとヘラヘラ笑われて、これでは埒が明かないと思う。
「お前ちょっと一回降りろ」
「え〜」
「えーじゃない。早めに掻き出した方が絶対いいだろ」
 ほら早く尻を上げろと、下からペチペチと尻を叩いてやれば、不満そうにしながらも腰を上げて繋がりを解いていく。
「あ、出ちゃう」
「ばか。出ちゃうじゃなくて出すんだよ」
 尻の中から垂れてくる白濁を押し止めるためか、股の間に差し込まれた弟の手を取り引き剥がした。
「あ、あっ、出ちゃう〜汚しちゃう〜」
 足の間からたらりと垂れたものがラグを汚すが、そんなことに構っていられない。
「いいからそのまま全部出せ。つか指突っ込んで掻き出すか?」
「やだぁ。もったいない〜」
「もったいないじゃないだろ。てか腹壊すんじゃないのかよ」
「お腹べつに痛くないよ?」
「後でそうなるかもって話だろ」
 などと言い合っているうちに、どうやら重力に従い全て流れ出たようだ。しばらく待ってこれ以上垂れてこないのを確認してから、やっと掴んでいた弟の手を放した。
 とりあえず早急にラグの汚れを落とした方がいいだろう。放置した結果の買い替えなどは絶対避けたい。
 そしてこちらの意識がラグに向かっている間に、弟はあっさり寝落ちしていた。
 まぁ掃除を手伝わせなかった時点で、この結果は見えてたけども。というよりも、既に半分寝かけていて、手伝えと言えなかったが正しい。
「あー、もう、気持ちよさそうに寝やがって」
 横向きに寝ていたので、一応確認しておくかと尻肉を割って弟のアナルを晒した。赤く腫れぼったくなってはいるが、傷がついている様子はない。流れ出た白濁にも赤色は混じってなかったから、多分、中を傷つけたりもしていないはずだ。
 ホッと安堵の息を吐いてから、脱ぎ散らかしたボトムスをどうにか履かせてやり、その後一度リビングを出て弟の部屋に掛布を取りに行く。逆ならどうかわからないが、抱き上げて運ぶなんて選択肢はないし、叩き起こすのも躊躇われる。かといってあのままリビングに放置というわけにもいかないだろう。
 寒い時期ではないけどせめて何かかけてやりたい。
 ベッドの上には、弟が使ったのだろうローションのボトルが転がっていて、近くにはコンドームの箱もある。
「あいつ……」
 襲いに来るならこれも持参してこいよとため息を吐きだしたが、後の祭りもいいところだ。
 色々溜め込んでたのが飲みすぎて爆発したって感じだったし、弟もそこまで頭がまわってなかった……いや、あの中出しの喜びっぷりを考えたら、わざとって可能性もた高そうか。
 弟の気持ちを察しながらも放置していたこちらにも多少の責任はあるだろうし、こちらも反省する点は多々有りそうだけれど、とりあえず、明日起きたら一言言ってやらないと、と思う。とても一言で済みそうにはないけども。

<終>

とりあえず前夜にどんなことがあったのかを兄視点で書いてみました。
弟、かなり記憶飛ばしてますね。笑。
酒無し&兄が主導権握ったセックスも、気にはなってます。いつかまた機会があれば。

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

酔った弟に乗られた話3

1話戻る→   最初から読む→

 2個下の弟が同じ大学に通うことが決まり、親の負担を少しでも減らす目的で同居生活を始めておよそ2年半。弟の中にいつから自分へ向かう気持ちがあったのかは知らないが、弟が同じ大学を受験したということが、もう、そういうことなんだろうとは思っていたから、少なくとも2年半以上は気持ちを抱えたまま黙って一緒に暮らしていたことになる。
 こんな好都合としか言えない二人暮らし中、もし抱きたいという欲求だったなら、もっと早く口に出すなり態度で見せるなりしてたんじゃないだろうか。
 なるほど。なんて内心の分析をよそに、弟は着々と勃起ペニスに向かって腰を落としていく。
 部屋でたっぷりローションを仕込んできたというのは本当らしく、尻の間にペニスの先端が擦れただけで、そこが濡れて滑っていることがわかってしまった。
「はぁ……」
 やがて先端が尻の穴に導かれて、弟がうっとりと熱い息を吐く。その姿にペニスの硬度と質量がわずかに増すくらいには、なんとも色っぽかったのだけど。
 そんなうっとりとした表情は一瞬だけで、すぐに眉間にシワを寄せた苦悩顔になってしまった。
「ううっ……」
「おい、やっぱ無理なんじゃ」
「んーん、へーき」
 いや平気じゃないだろとは思うものの、弟の尻穴の中にゆっくりとペニスが飲み込まれているのも事実ではある。
 キツキツではあるが痛いほどではなく、仕込まれたローションの滑りは間違いなく気持ちがいい。苦しげな姿に若干萎えてはいるものの、しっかり硬度を保っている程度には、間違いなく期待していた。
「いたい〜」
 そんな泣き言と共にとうとうグスッと鼻を鳴らしたのは、3分の2ほど飲み込んだあたりだろうか。
「やめる?」
 辛そうな姿を見せられてもやめさせずにいたくらいには期待しているが、さすがに泣かれてまで頑張れとは言いにくい。
「やだぁ」
「なら代わる?」
 何を言われたかわかってないらしい弟に、一度抜いてくれたら俺が抱くけどと言ってみた。
 自分より体格が良い相手に腰を跨がれて乗られていては、こちらからどうこうするのは絶対に無理だ。この体勢をクルッとひっくり返してやれる筋力も技量もないのだから、下手に動いたら抵抗してると思われる可能性のが高い。
 こちらは極力動かず好きにさせるのが、一番相手を傷つけずに済むだろうと思っていたが、もし主導権を明け渡して貰えるなら、こんなに苦しそうな顔をさせずとも望みを叶えてやれそうなのに。
 しかしそこまで言っても、いまいち理解してなさそうな顔は変わらない。
「んー……抜きたくない、し、もちょっとだから」
 どうやら、一度抜いてと言った「抜いて」部分しか届かなかったらしい。
 酒のせいか、必死過ぎるのか。多分そのどちらもだし、もしかしたら相乗効果で、ただでさえ若干脳筋気味なのに、いっそう思考が滞って一途で頑固になっている可能性もある。
「ダイジョブ」
 そう言ってさらに腰をジリジリと落とそうとするくせに、やはり痛みがあるのか、苦しそうに浅い息を繰り返す。
「わかったから一旦落ち着け」
 体を起こしている弟の頭には手が届かないので、代わりに尻を支えるように両手を回して、なだめるみたいに優しく撫でてやる。
「ぁ……」
「痛いのにねじ込もうとすんなよ。痛くなくなるまでじっとしてろ」
「でもぉ」
 ちんぽおっきいうちに早く挿れないと、などと言われて、萎えるならとっくに萎えてるはずだろと言い返す。
「大丈夫だから。深呼吸して。落ち着いたら力の抜き方も思い出すだろ」
 ほら息吸って、と促せば、素直に息を吸っていく。
「はい吐いて」
 そうやって呼吸を促しながら、手の中の尻肉を撫で揉んだ。
「ぁっ……んっ……」
 やがて甘やかな吐息が溢れてくるのに合わせて、呼吸の声かけをやめてしばらく様子を伺ってみる。痛みで強張っていた尻肉も、しつこく撫で揉むうちに柔らかにほぐれ、甘い息を吐くたびに小さく震えていた。
 そろそろいいかと谷の合間に穴の縁ギリギリまで親指以外を潜り込ませながら、尻肉をぐっと掴み穴ごと広げるイメージで左右に押し開く。
「ゃぁんっ、な、なにっ?」
 ビクッと体を跳ねさせて戸惑うものの、声の甘さは変わっていないので大丈夫だろう。
「も、痛くないんだろ? 穴、広げててやるから降りといで」
 言いながら、掴んだ尻肉を下方に引き下げるように力を掛ければ、何をしろと言われたか察した様子で弟も腰を落としてくる。
「あああっっ」
 快感の声とは言い難いものの、苦痛とは違った様子の声を上げながら、先程までより断然スムーズに残りも全て熱に包まれた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁