親切なお隣さん38

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 しばらくは対抗するみたいにこちらも必死に相手のペニスを扱いていたけど、結局どんどん動きが緩くなって、与えられるキモチイイに浸ってしまう。さっき即イキしてしまったからかさすがに手加減はされてるみたいだし、こちらも一度出してる余裕があったはずなのに。
 ほぼ握ってるだけになってしまった辺りで、このまま続けたらまた自分だけイってしまうと気づいて、ようやく相手を押し戻しながら身を捩った。
「も、はやく挿れて、ください」
 さっさと突っ込んで相手もちゃんと気持ちよくなって欲しい。そんな気持ちで口にしてみたものの、さすがに慣らし足りていない自覚はある。というか中を綺麗にするくらいしかしていない。
「さすがに気が早すぎない?」
「だってこのままだと俺だけまたイッちゃいそうなんすもん」
「イッていいよ?」
「やだ。てか抱いて欲しいって何回言わせる気すか」
「何回だって言われたいけど。じゃあ、そろそろお尻の準備させてくれる?」
「もちろんいいすけど、その、ローションとかって」
 勢いで出てきてしまったけど、そういや何も用意してなかった。ラブホなら買えそうだけど、どうすればいいんだろう?
 なんて思ったのもつかの間。
「うん、持ってきてるから大丈夫」
「え?」
「君を抱くつもりで出てきたんだから、ちゃんと持ってきてる。もちろんコンドームも」
「いつの間に?」
「君が着替えてる間に」
「なるほど?」
 疑問符が付いたのは、相手だって家を出る前にラフな部屋着から着替えているからだ。でも思い返せば、ササッと着替えたあとで台所と部屋とを往復してたと言うか、何やらウロウロしてたような気もする。
 自分はそういうモロモロを押し入れに置いているけど、お隣さんは風呂場周りにでも置いてるんだろう。台所に用があったんじゃなくて、風呂場に用があったんだと思えば納得しか無い。
「ていうかすでにここに並んでるんだけどね」
 ここって言いながら示されたベッドヘッドには確かに見慣れないボトルと箱とが並んでいるが、そんなとこ全然見えてなかった。
「君が準備してる間におれだって準備してたんだよ」
 言いながら箱から取り出したゴムをスルッと指に装着し、次にはボトルに手を伸ばす。粘性の有りそうな液体が手のひらに垂らされて、間違いなくローションではあるんだろうけど。
「なんか高そう」
「これ? まぁ使う場所考えたら多少お金出しても安全は買っておきたいよね」
 アナル用だよって言われて、へぇと感心してしまう。そういうのがあるって事だけは知っていた。もちろん買おうと思ったことはないし、実物を探してみたことすらない。
「普通のとはやっぱ違うんすか? 自分でも使ってるんすよね?」
 さっき抱かれる側になる可能性も考えて自分の体で試したとかなんとか言ってたはずだ。
「そんなにあれこれ試したわけじゃないけど、これはかなり乾きにくくて良かったやつ」
 手のひらで捏ねられるローションをマジマジとみてしまうが、一体何をしてるんだろう。
「何してんすか?」
「温めてる」
「アタタメテル?」
 言われてもすぐには理解できなくて、疑問符付きで繰り返してしまった。
「ボトルから直でって冷たいでしょ?」
「あー、まぁ、確かに?」
 言われてみれば確かに、ローションをまぶしたディルドを押し当てた時とかに、冷たっ! ってなることはあるけど。でもわざわざ温めてから塗りつけようなんて考えたこともなかった。
「そういうのあんまり気にならない?」
「気にならないってよりは、温めるって発想がなかった、みたいな?」
「そっか。で、そろそろ君の中に触れてみたいんだけど」
「ああ、はい」
 寝転がったほうが弄りやすいかなと思いながらも、さすがにそこまではと座ったまま、膝を立てた足を開いて見せる。
「躊躇いないね」
 寝転がる代わりに、パカッとかなり大きく開脚したせいだろうか。少しでも弄りやすいようにっていう気遣いだったんだけど。
「ほんとに躊躇いなかったら、寝転がって尻穴見せつけるまでしてると思うんすよね」
「確かにそうかも。じゃあ、もうちょっとだけ頑張って。寝転がっておれにお尻の穴、見せつけて?」
 まさかそう来るとは思わなかった。

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親切なお隣さん37

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「初めてで抱かれるのは無理って言ったのにお尻弄られたの?」
「あー……追加でお金出すって言われたのとか、痛かったらすぐ止めるって言われたのとか、この人だけで済むならそっちのがいいなとか、まぁ、いろいろあって」
 全くの初めてだったから触らせてくれるだけでいいよ、みたいな人を選んだけど、その分、提示された値段もかなり安かった。上手く行ったらもう1人くらいは探さないとって思ってた。
 あーでも、そこに付け込まれたって可能性もあるのか。相手にどう見えてたかわからないけど、必要にかられてこんなことしてるってのはわかってたはずだし。
「いろいろって?」
 思い出せる限り細かくぶちまけてしまえ、とか言ってただけはある。いつもなら、濁したことは聞かずに済ませてくれることが多いのに。
「だ、だって、上手かったっつうか気持ちよくしてくれた後だったし、ホントにもっと気持ちよくなれるなら試してもいいかもって思ったつうか、実際それで気持ちよくなったし。お金も結局、言ってたより多く払ってくれたし。相手がその人で良かったってくらいには、今も、感謝してるんすよ」
「それは知ってる。っていうか、嫌な思い出になってないのはわかってるよ」
「顔怖いっす」
「それも自覚ある」
 またむにむにと両頬を揉みだす相手の怒りは、やっぱり会ったこともないパパ活相手に向かっているんだろうか。
「君に対しては、いい人にあたって良かったとか、その人だけで済んで良かったって気持ちが大半。あとは仕方なかったとか、知り合ってなかったその時期に俺が出来ることなんか何もないってわかってての諦念とかだよ。嫌な思い出になってないのは、本当に、良かった」
 どんな顔で相手を見ていたのかわからないけど、そんなフォローっぽいことを言ってくれるくらいには、不安そうに見えたのかも知れない。
「相手に対しては?」
「相手がその人で良かったって言ってるくらいなのに、否定しまくることになるけど」
 聞きたいの? って言われて、一応と返した。
「中学生相手なんて、きっと言いくるめやすかっただろうなぁっていう嫌悪感。でも言いくるめて最後まで抱かなかったってとこだけは評価しても良い、かな。いやでもやっぱ、クズはクズだよ」
 ただ別の相手で嫌な目にあってた可能性とかまで考えたら、否定しきれないのが悔しいとかいい出して、少しだけ笑ってしまう。
「否定しまくれてないじゃないすか」
「そう。だから余計に複雑っていうか」
 顔が怖いとは言ってないのに、また自主的に頬をむにむにしだす。
「前立腺で気持ちよくなれるって知ってなかったら、今こうなってなかったんだから良くないすか」
「そんな割り切れる感情じゃないなぁ。てかそっち考え出すと、今度は嫉妬の気持ちが強くなってくるっていうか」
 俺のこと考えながらしてくれてたのを疑う気はないのにねと困ったように笑うから、仕方のない人だなと思いながら顔を寄せる。過去のパパ活相手なんかに嫉妬する必要なんてないのに。というかさすがにそれは止めてほしい。
「前立腺気持ちよくなれるって知ったからって、それで即アナニーはまったりしてないんすよ。前だけ抜くより色々面倒だし余計な金かかるし。実家にいたときもアンタと知り合った後も、基本、数ヶ月に1回くらいしかお尻なんて使ってなかったし、指だって1本しか挿れたことなかったんすよ」
「それって……」
「俺を変えたのはあんたですよ、って話すね」
 間近に相手の目を見つめながら言い切ってやれば、相手が動揺するのがよくわかった。
「好きって言い合ってキスしてんだから、そのうち抱きたいって言ってくれるかなって思うじゃないすか。なのにあんたがいつまで経ってもそういうの言ってくれないから、自分で自分のお尻弄って慰める羽目になったし、欲求不満で弄る頻度増えたし、あんたに抱かれる想像しながら弄ってたら指1本なんかじゃすぐ物足りなくなったし、俺が、抱かれたことないくせにこんくらいサイズ突っ込まれても絶対気持ちぃばっかの体になってんの、全部、あんたのせいっすよ」
 言いながら相手の股間に手を伸ばしてペニスを掴んだ。一度吐き出してはいるが萎えきってないし、軽く撫で扱いているうちにすぐまた形を変えてくる。
 マックスサイズは持ってるディルドよりちょっとだけ大きい気もするけど、多分誤差の範囲内だ。だから絶対気持ちぃも嘘じゃない。
「顔も思い出せないような男に嫉妬するより、眼の前であんたに抱かれるの待ってる俺のこと、見てくださいよ」
 確かに、という呟きが聞こえたあと、唇が塞がれた。しかもすぐに舌が入り込んできて、気持ちがいいところを擦ってくる。だけでなく、股間をなぞられ再度ペニスを握られた。

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親切なお隣さん36

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 泣いては居ないのに、嫌なこと思い出させてごめんねと謝られながら、目元をそっと撫でられていく。
「泣いてないすよ」
「そうだね、つい」
 思わず手を伸ばすくらい、泣きそうな顔をしているってことなんだろう。そうだろう自覚は残念ながらある。
「そんな君に更に思い出語らせるのは心苦しいんだけど、そのパパ活でどんなことして何されたかも聞かせて貰える?」
「そんなの聞いて、不愉快にならないんすか? てか聞きたいようなものっすか?」
 どうしても聞きたいって言われたら話すのは構わないんだけど、話した結果、機嫌が悪くなったり気まずくなったりは嫌だなと思う。知られたら何が変わるのかわからないけど、自分にとって良い方向に変わるってイメージが持てない。
「でも知っといたほうが良さそうだから」
 否定されなかったし、でもって言ったから、不愉快になるし聞きたいわけでもないらしい。
「なんで?」
「その経験が今の君を作ってるってはっきりわかるから、かな。あと君、隠すのちょっと下手だから」
「えっ!? ……ってまぁ、そうっすよね」
 隠すのが下手と指摘されて思わず驚いたけど、振り返ればそう言いたくなるような失言やらのオンパレードだったので、結局すぐに納得してしまった。
 未成年でパパ活したのも、男相手にエロい経験をしたのも、隠しておくつもりだったのに結局全部バレている。
「そもそも俺に抱かれたくてお尻自分で弄ったっていうのも、その経験があったからじゃないの?」
「そ、すね」
「ちなみに、俺のこと考えながらディルド使ってたことを疑う気はないんだけど、ディルドサイズの参考にしたのってその相手じゃないの、みたいな嫉妬なら既にしてる」
「え、ええ……」
「口でした経験がないのは事実でも、相手の触ったりしなかった?」
「しました。てかそんなのまで既にわかってんすか? わかるようなこと、俺、してました?」
 正直どっからバレたのかさっぱり想像がつかない。
「抱かれたことないのは事実って言いながら目ぇ逸らしてたから、それくらいはしてるかもっていうカマかけ」
「マジか……」
「まぁ抱かれてなくて、口でしたこともなくて、でも口でして貰った、ってだけなら、相手を気持ちよくさせるだけで満足、みたいな相手だった可能性もあったんだけど。でもあっさり認めちゃうんだから、隠し事向いてないと思うよ。てか絶対隠し通さなきゃみたいには思ってないでしょ?」
 だからもういっそ思い出せる限り細かく全部吐いちゃいなよと、優しい笑顔が促してくる。優しいんだけど、でもどこかちょっとゾッとする笑顔だと思った。
「笑顔怖いす」
「まぁ嫉妬はあるからね。あと子供相手に何やってんだっていう、会ったこともない男への憤り。どっちかっていったらそっちのが大きいかも」
 どのみち君に向かってる感情じゃないからあまり気にしないでよと苦笑されたけど。
「俺に向かってなくても、それで機嫌悪くなるならヤですよ」
「そっかぁ」
 言いながら、怖いと指摘した笑顔をどうにかしたいのか、両手で頬を挟んでむにむにと揉んでいる。
「でもやっぱ聞いておきたい気持ちは変わらないかなぁ。君も、勝手に想像される方が嫌じゃない? ディルドサイズなんてまさにって感じだけど、だって疑い出したらキリがないんだよね」
 サイズだけじゃなくて、なんでディルド買おうって思ったのかなってところから、ディルドも使われた経験があるのかも、とか。ディルド使うような相手だったなら、他のオモチャも色々使われてるかも、とか。
 なんて言い出すから、慌てて待ったをかけた。確かに、されてもいないことを、されたって思われるのは嫌だ。
「まままってください。してないてか使われてない、す」
「じゃあなんでディルド買おうなんて思ったの?」
「そ、れは、買い物行った先でちょっと迷い込んだっていうか、たまたま見かけて、そういうのもここで買えんだ、みたいな」
 まぁ迷い込んだってほどわけもわからずアダルトコーナーに踏み込んではいないけど。
「その、ちょっと、指で弄るのじゃ物足りなくなってたっていうか。だからホントに、アンタのサイズを勝手に想像して買ってるし、参考にしたのはどっちかって言ったら自分のちんこっす」
 だってそんなに体格が違わないから、ナニのサイズもそこまで違わないかと思って。
「パパ活の人のも触ったっつうか一応握って扱いたけど、サイズまであんまよく覚えてないっていうか、手ぇ貸しただけに近いっつうか」
 何回かイカされたあとで疲れてたから、だいぶおざなりだった自覚はある。何回もイってくったりしてる姿に興奮してたっぽいし、最後の方はこちらが握る手の上から手を重ねて、自分で扱いてイッていた。
「言われてみたら、気持ちよくするだけで満足、に近いタイプの人だったんじゃないすかね。もともと、初めてだし抱かれたりまでは無理、みたいな条件で探した人だったし。ただ、前立腺教えられて、そこで気持ちよくなれるって知っちゃったのは、パパ活のせいっす」
 オモチャは使われなかったし、指だって1本しか入れられなかったけど。でも、パパ活してなかったらそんな快感とは多分縁がなかった。

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親切なお隣さん35

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「ちょっと!」
 思った通りに、怒ったみたいな焦ったみたいな、少し呆れを含んだ声を掛けられてニヤリと笑った。
「気持ちよかったすか?」
「良かったからこうなってるんでしょ」
 ちょっと棘がある声音に、やっぱ怒ってんのかなと思う。
「最後飲んだの怒ってます?」
「怒ってるっていうか、ちょっと嫌なこと想像しちゃって自己嫌悪してる」
「嫌なことって?」
「したことないって話を信じると、誰かに口でして貰ってめちゃくちゃ気持ちよくなった経験でもあるのかな、みたいな」
「ゲッ」
「ほら、図星」
 口でするのに執着しすぎと指摘されて、なんでそこまで口でしたいのって考えたら思い至ってしまった、らしい。
「引きました?」
「何に?」
「したことないのにされたことはある、って」
「何かしらのパパ活経験あるのはわかってるし、別に引きはしないけど、良く無事で、みたいな気持ちはあるかな」
 抱かれたことないのも本当なんでしょと聞かれて、本当ですと返したけれど。でもはっきりと目が泳いでしまった自覚はあって、それを見逃してくれる相手ではなかった。
「何か後ろめたいこと抱えてるなら、いっそ全部話してみる?」
「え?」
「パパ活やってたの大学入学前でしょ。家庭の事情とか色々あるのわかってるし、好奇心で試したってよりお金に困って仕方なくだと思ってるし、さっきも言ったけど、君がパパ活経験してなかったら君に恋愛感情持ったりしなかった可能性高いし、エロいサービスって単語が出た時点で一緒に御飯食べるだけ〜みたいな健全寄りなパパ活じゃなかった可能性は高いって思ってたし、だから今更、それを理由に君への気持ちが無しになるわけじゃないからさ」
 話したくないだろうから聞かなくていいと思ってたけど、いっそ全部ぶちまけたほうが気が楽になるんじゃないの。どんなパパ活してて、どんなことして、どんなことされたの。
 なんて畳み掛けるように聞かれて言葉に詰まる。
「そ、れは……」
「嫌だったのに無理やり何かされた、みたいな嫌な思い出にはなってないよね? でも正直に言ったら多分俺が引くようなことは何かしてるんだよね?」
「え、ええ……?」
 指摘されてもさすがにそんな認識はなくて戸惑った。いい人にあたったと思ってるし嫌な思い出になってないのは事実だけど、言ったら引かれるような何か凄いことをされたって記憶はない。
 というかそもそも、パパ活でエロい経験したことあるって部分が、知られたら引かれるはずの隠したいことだったはずだ。
「や、その、パパ活経験済みでエロいサービスもしたことある、なんて知られたらもうそこでドン引きなんじゃ? だって未成年だったんすよ」
 そういうのは絶対嫌いだと思って口にすれば、未成年だってわかってて手を出す大人は総じてクズだと思うし周りの大人は何やってんだって思うけど、止めてくれる大人が周りにいなかった君を責める理由はないよねと言われて、なんだか少し胸が痛い。
「ああ、後ろめたいのはそこか」
「え?」
「パパ活しないで済む方法があったら、周りに助けてくれる大人がいたら。パパ活なんて本当はしたくなかったよね」
「そ、な、」
 胸の痛みが増して息苦しい。混乱が頭どころか体の中を駆け巡ってるみたいで、目眩までしてきた。どこか他人事みたいに、ベッドに座った状態で良かった、なんて思ってしまう。
「初めてパパ活したのって幾つの時?」
「初めて……っていうか、一回だけしか」
 優しい声に促されるまま口を開いた。
「一回だけ? 何にお金が必要だったの?」
「修学旅行」
「もしかして中学の?」
「高校はバイト、できたから」
「ああ、うん。そうだね」
 中学時代!? って驚かれるかと思ってたのに、やっぱり穏やかな声がただただ肯定してくるから、そのまま当時に思いを馳せていく。
「積立はさすがに親が払ってたけど、お小遣いとかはなくて、自由行動の日とかあってそれとは別にお金は持ってかなきゃいけなくて。小学生の時はまだそこまで貧乏じゃなくて、お土産用のお小遣いとかあったから、そういうのも持ってくものだと思ってて」
 でもお土産なんか買って帰ったらどこから出たお金か追求されるって気づいたのは旅先だった。だからせっかく手にしたお金は修学旅行先では殆ど使わなかったけど、でもなんだかんだ自由に使えるお金はありがたくて、気づいたらなくなってた。ような気がする。
 なくなってホッとしたくらいには、手元に置いておくのが苦しいお金だった。
 あんな真似までして手にしたのに、結局無駄に消費しただけに終わったから。
「だから一回だけなんだ」
 つらつらと話すのを黙って聞いていた相手が納得した様子で頷くのを見て、その通りだなと思う。結局無駄になったから、二度目なんか考えなかった。
 いつの間にか、そう悪い経験じゃなかったとか、いい人にあたってお金を手に入れたって部分だけ、記憶に残していたらしい。
 ずっと、無駄にしたってことをなるべく思い出さないようにしてたのに。でも、久々に思い出してしまった。

続きました→

 
 
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親切なお隣さん34

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「いや気持ちはいいんだけど。なんていうか奇妙な気分?」
「奇妙って?」
 気持ちいいならそのまま続けてって言ってくれればいいのに。そう思いながらも相手の言葉を拾って聞き返す。
「だって君、興奮してないよね? それどころか、なんか味を確かめられてるみたいな、味について何か考えてる、みたいな」
 ものすごく変な言い方だけど、初めての食材を味わってるようにも見える、なんて言われてさすがに笑ってしまった。
「あー、まぁ、すごく独特な味だけど、慣れたら不味いとか思わなくなんのか、とか、逆にこれが癖になるとかも有り得るのか、とかは考えてたかも?」
「そういうの真剣に考えながらするような行為じゃなくない? そもそも、美味しいとか思うようになる必要、全く無いからね?」
「んー、でも、美味しいってむしゃぶりつかれた方が興奮する的な」
 少なくとも自分はそれで興奮したわけで。
「普段どんなオカズ使ってんのか知らないけど、そういうの基本フィクションって思ってたほうがいいと思うよ?」
 そう言われてしまうと、実体験ですとか絶対言えない。いやまぁ、された経験ならある、を知らせるつもりは一切ないんだけど。
「俺が美味いってむしゃぶりついても、興奮しないすか?」
「そういうこと言ってんじゃなくて、美味しいってむしゃぶりつく、なんていうのは演技だったり演出だったりが殆どだから、出来るようになろうとしなくていいよって話」
 確かに、あれが演技だったり演出だったりには思えなかったけど、どこまで本気で美味しいと思ってたかも結局のところわからない。マジに味覚が狂ってる可能性もあるし、互いの興奮を煽るために言ってただけって可能性もある。
 大事なのは、美味しいかどうかじゃなくて、それによってどれだけ興奮するかだ。つい、初めて口にした味に、意識が持っていかれてたけど。
 そう思うと、興奮してるとは言い難い顔で、奇妙な気分だと言われてしまったのも納得だった。
「でもアンタに興奮してほしいし、気持ちよくしたいし、早くイクとこ見せて欲しいんすけど」
 だから、最初の目的は間違いなくそれ。という部分を改めて訴えてみた。
「その気持ちだけで充分だから、手で握ってくれる?」
「それ、やっぱ下手だったってことっすよね?」
「ちゃんと気持ちよかったよ。てか反応してたのわかってるでしょ」
 独特な味って思ったんでしょ、不味かったんでしょ、と言葉を重ねられて、そうだけど、だからって止めたかったわけじゃないのにと思う。でももう、させてはくれないのかも知れない。
 失敗した。
 しかしどうやらそんな不満や落胆が、相手にも伝わっていたらしい。
「やっぱり口でしたいの?」
「したい、す」
「じゃあ手でしながら、口も使って。深くまで咥えなくていいし、先走りは飲み込まないで擦り付けて。それとこれが一番大事なんだけど」
 なるべくおれを見て、と言われながら顎を取られて視線を合わせられる。
「興奮してって思うなら、おれが興奮できてるか、ちゃんと確かめながらして。気持ちよくしたいって思うなら、おれがどうすると気持ちいいか、おれを見ながら探って」
 わかった? と念押しされて、コクコクと首を縦に振った。なぜか言葉は出なかった。
 そうして再開したフェラは、フェラと言うよりも手で扱く方がメインになったけど、それでも間違いなく、互いにさっきより断然興奮できていた。
 一人でするのと違って相手がいる行為で、相手任せの受け身じゃなくて自分が相手を喜ばせたいんだから、どうすると相手が興奮するのか気持ちがいいのか、確かめながらしなきゃダメだったらしい。
 それに相手が興奮しているとわかるのはこちらの興奮も煽られる。ちゃんと自分を見ていろという相手の訴えは正しかった。というか多分それが一番効いた。
 たしかに、一番大事なことと念を押されただけはある。
「ん、そろそろ」
 イきそうだという訴えに少しだけ迷って、最後の最後に、相手の言いつけを破って深くまで咥えに行った。
「あっ、」
 驚いた様子で腰をひこうとしたけれど、それを許さず追いかけて、吐き出されてくるものを口の中で受け止める。だけでなく、勢い任せに飲み下した。
「ぅう゛ぇっっ」
 喉の奥に粘つく感じが引っかかって、鼻に青臭さが抜けて、不味い以前になんとも気持ちが悪い。なのに、飲んでやった、という達成感に気持ちが高揚する。

続きました→

 
 
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親切なお隣さん33

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 したことはないがされたことはあるので、どうすると気持ちがいいかは一応この身を持って知っている。ついでにいえば、相手のサイズを勝手に想像して買った例のディルドを、口に咥えてみたこともある。というか、端的に言うとそういう練習も一応していた。
 いきなり抱いてはくれはさすがに無理かも、と思っていたのもある。その気がない相手をその気にさせるには、やっぱり気持ちよくさせるのが手っ取り早いだろうし、口を使った奉仕に大概の男は興奮する。はずだ。
 だから今は絶好のチャンスで、練習の成果を試すとき!
 そんな意気込みで相手から下着を剥ぎ取って、反応はしてるがガチガチに張り詰めてるってほどではないソレに向かって口を寄せていく。なのに。
「待って待って待って」
 焦った声とともに頭を掴まれてしまって、物理的に阻止された。
「ちょっ、なんで」
「なんではこっちのセリフだよ!」
「だって俺もアンタをイカセていいんじゃ……?」
「言ったけど。でもあの流れだったら、君も手でしてくれるつもりって思うでしょ」
 いきなり咥えようとしてくるとか思わないでしょ、なんて言われても困る。
 手でするより気持ちいいはずだ、というだけの判断だ。早く相手にも気持ちょくなって欲しいし、早く相手がイクところを見たいってだけだ。急ぎ過ぎと言われたら、まぁ、そうかもしれないけど。
「なら、舐めちゃダメなんすか」
「ダメっていうか、いや、ダメじゃないけど」
「え、どっち?」
「ダメじゃないよ。けどそこまでしなくていいっていうか、君が触ってくれるなら手でも充分に嬉しいし絶対気持ちいいから、口でしようなんて思わなくていいよっていうか、無理はしないで欲しいっていうか」
「別に無理は……」
「本気で言ってる? 抵抗ないの?」
 本気で疑っているらしい目を向けられたから、普通は抵抗があるものなのかも知れない。普通なんてよくわからないけど、言われてみれば、中学時代のパパ活相手には無理だと言って断ったことを思い出す。あのときは好きに弄られ何回かイカされたあと、相手のは最後に手でして終わりだった。
 じゃあなんでこの人相手には出来ると思ったんだろう?
 してもらって気持ちよかったのを覚えてるから、その気にさせるには口でするのも一つの手、くらいの気持ちだったけど。でもディルドを咥えて練習してるとき、相手がそれで興奮してくれる想像に自分自身が興奮したし、楽しんでいた面は間違いなくあった。
「どっちかっていったら、けっこう楽しかった……?」
「楽しかった!?」
 盛大に驚かれた後、今度は何かを考え出してしまう。深刻そうな顔をどうしようかと見守ってしまえば、「パパ活?」という呟きが口から漏れて相手の誤解に気づいた。
「や、誰かにしたことあるってわけじゃなくて!」
 されたことならあるけど、なんてことはもちろん言わない。
「アンタが興奮してくれる想像しながらディルドしゃぶってたときは、けっこう楽しかったっつー」
「ちょっと!」
「えっ」
「反則がすぎる」
「ええ……」
「抵抗ないのはわかったし、してみたいのもわかったから、もう止めないけど。でもホント、無理はしなくていいから。思ってたのと違うって思ったら止めていいからね」
 言っとくけど絶対美味しいようなものじゃないよ、という謎の忠告は、実際に咥えてみて少し経ったところで実感した。
 確かに美味しいどころか普通に不味いというか、苦しょっぱいような変な味だ。自分の先走りやら精液やらを舐めてみたことはないから皆こんな味なのかはわからないが、多分そこまで大きな差はないと思うから、美味しいって言いながら人のちんこを舐め啜って、吐き出した白濁もあっさり飲んでいたあのパパ活相手は間違いなくかなり味覚が狂っている。
 いやでも吐き出したいほど不味いかっていうと、唾液に絡めて誤魔化せば飲み下せているから、慣れればそこまで不味いとは感じなくなるのかもしれない?
 むしろこの変な味が癖になるとか?
「もしかして、あんま良くない、すか?」
 ふと視線を感じて目線を上げたら、興奮してるとは言い難い顔が心配気にこちらを見下ろしていた。
 下着を下ろした最初に比べたら硬度は増してるし、はっきり不味いと感じるくらいには先走りをこぼしてて、しっかり興奮してくれてるんだと思ってたのに。

続きました→

 
 
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