酔った弟に乗られた話4(終)

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「は、はいったぁ」
 へにょっと嬉しげに笑う顔に、こちらも安堵の息を吐く。
「うへへ」
 ちんぽかたぁい、などとヘラヘラ笑う顔に興奮が煽られる。痛いと泣かれて若干萎えていたペニスが、硬度と質量を増していくのがわかる。
「俺んなか、気持ちぃ?」
 気持ちぃよと返せばやっぱり嬉しそうにフニャフニャと笑ってから、深呼吸を一つ。それから意を決したように、ゆっくり腰を持ち上げていく。
「んんんっっ」
「おいっ、痛いなら無理すんなよ」
「へー、き」
 痛くないよーと間延びした声で返しながら、今度はゆっくりと腰を落としてくる。
 そうして何度か往復するのを若干ハラハラと見守っていたけれど、確かに、痛いと漏らすこともなければ、痛そうに呻くこともなかった。
 ならいいかと、こちらも与えられる快楽に気持ちを集中させる。今度こそこのままイッても良いはずだ。
「はぁ……」
 自身の口からこぼれる息が熱い。
「気持ちぃ?」
「ん、いい」
 再度聞かれて頷けば、良かったぁとはっきりいわれた後で、だんだん腰を上下させるスピードがあがっていく。
「もっと、もっと、俺で、きもちくなってぇ」
「ぁっ、……ぅんっ……」
 必死で頷き快感を追った。
 多分弟自身はこの行為で快感を得られているわけじゃなく、痛みはなくともそこそこ苦しさが伴っているんだろうとは思う。こちらを見下ろし嬉しそうに笑うことはあるが、基本、息遣いにも表情にも甘さはほとんどない。気持ちよさそうに蕩ける様子はないし、開かれた股間で揺れる弟のペニスはとっくに硬さを失い垂れている。
 こっちに主導権があれば、一緒に気持ちよくなれただろうか。
 自分ばかりが気持ちいい現状に申し訳ないような残念なような気持ちはあるが、でもそれを今、どうこうしようとするのは無駄だ。というか無理だ。だったら、さっさと気持ちよく果ててしまう方がいい。
 少なくとも、こちらがイッたら弟も一度動きを止めるだろう。口でしてやれるかはわからないが、手でなら自分だって弟のペニスを握って扱いてやれるはずだから、とりあえず一度終わらせてから弟のことも気持ちよくしてやればいいかと思う。
「ぁ、あっ、も、いきそぉ」
「ん、イッて、イッて、あああっっ」
 ますます激しく上下される腰に合わせて、こちらも少しばかり下から突き上げてしまったけれど。辛そうな声を上げさせてしまったけれど。
「出るっ」
 その宣言に合わせてぎゅっと落とした腰を押し付けてきた弟の中に、すべての熱を吐き出した。
「はぁ、あにきのちんぽ、ドクドクしてるぅ」
 やたら満たされた顔で、お腹ン中あつぅい、などと言っているが、それを聞いてザッと血の気が引いていく。良かったなと悠長に思えないのは、コンドームというものの存在をすっかり失念していたせいだ。
 つまりは、弟に中出しした、という事実を今更認識して焦っていた。
「ちょ、おまっ、中出しなんかして大丈夫なのか?」
 確か腹を壊すんじゃなかっただろうか。けれど弟にはピンときてないらしい。
「え〜めっちゃ嬉しいけど」
 兄貴に種付けしてもらったぁ、などとヘラヘラ笑われて、これでは埒が明かないと思う。
「お前ちょっと一回降りろ」
「え〜」
「えーじゃない。早めに掻き出した方が絶対いいだろ」
 ほら早く尻を上げろと、下からペチペチと尻を叩いてやれば、不満そうにしながらも腰を上げて繋がりを解いていく。
「あ、出ちゃう」
「ばか。出ちゃうじゃなくて出すんだよ」
 尻の中から垂れてくる白濁を押し止めるためか、股の間に差し込まれた弟の手を取り引き剥がした。
「あ、あっ、出ちゃう〜汚しちゃう〜」
 足の間からたらりと垂れたものがラグを汚すが、そんなことに構っていられない。
「いいからそのまま全部出せ。つか指突っ込んで掻き出すか?」
「やだぁ。もったいない〜」
「もったいないじゃないだろ。てか腹壊すんじゃないのかよ」
「お腹べつに痛くないよ?」
「後でそうなるかもって話だろ」
 などと言い合っているうちに、どうやら重力に従い全て流れ出たようだ。しばらく待ってこれ以上垂れてこないのを確認してから、やっと掴んでいた弟の手を放した。
 とりあえず早急にラグの汚れを落とした方がいいだろう。放置した結果の買い替えなどは絶対避けたい。
 そしてこちらの意識がラグに向かっている間に、弟はあっさり寝落ちしていた。
 まぁ掃除を手伝わせなかった時点で、この結果は見えてたけども。というよりも、既に半分寝かけていて、手伝えと言えなかったが正しい。
「あー、もう、気持ちよさそうに寝やがって」
 横向きに寝ていたので、一応確認しておくかと尻肉を割って弟のアナルを晒した。赤く腫れぼったくなってはいるが、傷がついている様子はない。流れ出た白濁にも赤色は混じってなかったから、多分、中を傷つけたりもしていないはずだ。
 ホッと安堵の息を吐いてから、脱ぎ散らかしたボトムスをどうにか履かせてやり、その後一度リビングを出て弟の部屋に掛布を取りに行く。逆ならどうかわからないが、抱き上げて運ぶなんて選択肢はないし、叩き起こすのも躊躇われる。かといってあのままリビングに放置というわけにもいかないだろう。
 寒い時期ではないけどせめて何かかけてやりたい。
 ベッドの上には、弟が使ったのだろうローションのボトルが転がっていて、近くにはコンドームの箱もある。
「あいつ……」
 襲いに来るならこれも持参してこいよとため息を吐きだしたが、後の祭りもいいところだ。
 色々溜め込んでたのが飲みすぎて爆発したって感じだったし、弟もそこまで頭がまわってなかった……いや、あの中出しの喜びっぷりを考えたら、わざとって可能性もた高そうか。
 弟の気持ちを察しながらも放置していたこちらにも多少の責任はあるだろうし、こちらも反省する点は多々有りそうだけれど、とりあえず、明日起きたら一言言ってやらないと、と思う。とても一言で済みそうにはないけども。

<終>

とりあえず前夜にどんなことがあったのかを兄視点で書いてみました。
弟、かなり記憶飛ばしてますね。笑。
酒無し&兄が主導権握ったセックスも、気にはなってます。いつかまた機会があれば。

 
 
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酔った弟に乗られた話3

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 2個下の弟が同じ大学に通うことが決まり、親の負担を少しでも減らす目的で同居生活を始めておよそ2年半。弟の中にいつから自分へ向かう気持ちがあったのかは知らないが、弟が同じ大学を受験したということが、もう、そういうことなんだろうとは思っていたから、少なくとも2年半以上は気持ちを抱えたまま黙って一緒に暮らしていたことになる。
 こんな好都合としか言えない二人暮らし中、もし抱きたいという欲求だったなら、もっと早く口に出すなり態度で見せるなりしてたんじゃないだろうか。
 なるほど。なんて内心の分析をよそに、弟は着々と勃起ペニスに向かって腰を落としていく。
 部屋でたっぷりローションを仕込んできたというのは本当らしく、尻の間にペニスの先端が擦れただけで、そこが濡れて滑っていることがわかってしまった。
「はぁ……」
 やがて先端が尻の穴に導かれて、弟がうっとりと熱い息を吐く。その姿にペニスの硬度と質量がわずかに増すくらいには、なんとも色っぽかったのだけど。
 そんなうっとりとした表情は一瞬だけで、すぐに眉間にシワを寄せた苦悩顔になってしまった。
「ううっ……」
「おい、やっぱ無理なんじゃ」
「んーん、へーき」
 いや平気じゃないだろとは思うものの、弟の尻穴の中にゆっくりとペニスが飲み込まれているのも事実ではある。
 キツキツではあるが痛いほどではなく、仕込まれたローションの滑りは間違いなく気持ちがいい。苦しげな姿に若干萎えてはいるものの、しっかり硬度を保っている程度には、間違いなく期待していた。
「いたい〜」
 そんな泣き言と共にとうとうグスッと鼻を鳴らしたのは、3分の2ほど飲み込んだあたりだろうか。
「やめる?」
 辛そうな姿を見せられてもやめさせずにいたくらいには期待しているが、さすがに泣かれてまで頑張れとは言いにくい。
「やだぁ」
「なら代わる?」
 何を言われたかわかってないらしい弟に、一度抜いてくれたら俺が抱くけどと言ってみた。
 自分より体格が良い相手に腰を跨がれて乗られていては、こちらからどうこうするのは絶対に無理だ。この体勢をクルッとひっくり返してやれる筋力も技量もないのだから、下手に動いたら抵抗してると思われる可能性のが高い。
 こちらは極力動かず好きにさせるのが、一番相手を傷つけずに済むだろうと思っていたが、もし主導権を明け渡して貰えるなら、こんなに苦しそうな顔をさせずとも望みを叶えてやれそうなのに。
 しかしそこまで言っても、いまいち理解してなさそうな顔は変わらない。
「んー……抜きたくない、し、もちょっとだから」
 どうやら、一度抜いてと言った「抜いて」部分しか届かなかったらしい。
 酒のせいか、必死過ぎるのか。多分そのどちらもだし、もしかしたら相乗効果で、ただでさえ若干脳筋気味なのに、いっそう思考が滞って一途で頑固になっている可能性もある。
「ダイジョブ」
 そう言ってさらに腰をジリジリと落とそうとするくせに、やはり痛みがあるのか、苦しそうに浅い息を繰り返す。
「わかったから一旦落ち着け」
 体を起こしている弟の頭には手が届かないので、代わりに尻を支えるように両手を回して、なだめるみたいに優しく撫でてやる。
「ぁ……」
「痛いのにねじ込もうとすんなよ。痛くなくなるまでじっとしてろ」
「でもぉ」
 ちんぽおっきいうちに早く挿れないと、などと言われて、萎えるならとっくに萎えてるはずだろと言い返す。
「大丈夫だから。深呼吸して。落ち着いたら力の抜き方も思い出すだろ」
 ほら息吸って、と促せば、素直に息を吸っていく。
「はい吐いて」
 そうやって呼吸を促しながら、手の中の尻肉を撫で揉んだ。
「ぁっ……んっ……」
 やがて甘やかな吐息が溢れてくるのに合わせて、呼吸の声かけをやめてしばらく様子を伺ってみる。痛みで強張っていた尻肉も、しつこく撫で揉むうちに柔らかにほぐれ、甘い息を吐くたびに小さく震えていた。
 そろそろいいかと谷の合間に穴の縁ギリギリまで親指以外を潜り込ませながら、尻肉をぐっと掴み穴ごと広げるイメージで左右に押し開く。
「ゃぁんっ、な、なにっ?」
 ビクッと体を跳ねさせて戸惑うものの、声の甘さは変わっていないので大丈夫だろう。
「も、痛くないんだろ? 穴、広げててやるから降りといで」
 言いながら、掴んだ尻肉を下方に引き下げるように力を掛ければ、何をしろと言われたか察した様子で弟も腰を落としてくる。
「あああっっ」
 快感の声とは言い難いものの、苦痛とは違った様子の声を上げながら、先程までより断然スムーズに残りも全て熱に包まれた。

続きました→

 
 
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酔った弟に乗られた話2

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 拙いキスと股間ばかりを撫でさする手に、慣れてなさを感じてなんだか嬉しい。
 過去に恋人がいた様子はなかったから、当然という気もするけど。もしこれで妙に慣れた様子を見せられていたら、きっと焦ったり疑ったりしてしまうから、この予想通りとも言えるぎこちなさに安心していた。
 ただ、安心はするけど興奮が煽られるかというと、そこはやっぱり微妙ではある。もちろん、それを正直に言えるわけではないんだけど。
「あんま、きもちくない?」
「そんなことないけど」
「でも」
「酒のせいだろ。俺も結構飲んでるからだって」
「俺に触られるの、イヤじゃない?」
「嫌だったら触らせてない」
「そか……」
 本当に気持ちいいよと言いながら、ほんのりしょぼくれた弟の頭を優しく撫でる。気持ちがいいのは事実で、ただただ気持ちが良いだけ、って部分を言わないだけだから嘘じゃない。酒のせい、ってのも多分ある程度は事実で嘘じゃない。
 興奮が足りないんだよね、とか言ったところで何が出来るのか。何をされるのか。わからないことに踏み込むより、このままじわじわとした気持ちよさに揺蕩っていたかった。
 でも弟はどうやらそうじゃない。こちらの反応の薄さに明らかに焦れていた。
「舐めても、いい?」
「ん?」
「アニキのこれ、舐めたい」
 手の中のペニスをきゅっと握りながら、熱い視線が許可を求めて見つめてくるから困る。
 マジか、と思う気持ちと、そういうのも込みか、と納得する気持ちが、胸の中で交錯した。
「あ……っ」
 弟が小さな声を漏らす。こちらの股間を握っているのだから、気づくのは当然なんだけど。
 つまり、いいよと言うより先に、反応したのは股間の方だった。弟の大きな口に包まれる想像に、あっさり興奮したせいだ。
「いい? よね?」
「ああ」
 再度許可を求められて素直に頷けば、いそいそと下着ごとボトムスを抜き取られ、顕になった下半身に弟の頭が落ちていく。
「んっ……」
 気持ちの良さに鼻から息が抜けて、弟が微かに笑うのがわかった。はっきりと反応があって嬉しいんだろう。
 やっぱり慣れてはなさそうで、じれったい刺激ではあったけれど、でも間違いなく先程よりも興奮が煽られた。今度はしっかりとペニスに芯が通って勃ち上がっていく。
「勃った」
 ガチガチと嬉しそうに笑われて、満足そうで良かったとは思うものの、いやこれここで放置されんの? と思ってしまうのも仕方がないと思う。口の中でイカセてとまでは言わないが、ちゃんと反応してるんだからもうちょっと続けて欲しかったというか、つまるところ最後は手でもいいけどこっちがイクとこまで頑張って欲しかった。
 というかここで一旦放されるってことは、こっちを好きに弄り回してイカせれば満足。というわけではないらしいってことだ。
「で、このあと、どーすんの?」
 弟の股間はずっとけっこうな膨らみを保っているから、こちらにそれを握らせて、互いに互いの勃起ペニスを扱きあおうとでも言うんだろうか。
 なんて思っていたのに、弟の口からは全く想像もつかない言葉が飛び出てきた。
「んー、……乗る?」
「は?」
「あにきのちんぽ勃ったら、俺のお尻で気持ちよくしてあげたいなって」
「は? え?」
「挿れていいでしょ?」
 兄貴は痛くないからいいよねと言われて、絶対痛くしないってそういう意味かとやっと理解が追いついてくる。
「まじ、か……」
 さすがに驚きすぎて声に出た。
「つかそんなすんなり入るもんじゃないだろ」
「慣らしてきたからダイジョブ。多分」
「おまっ、トイレ長いと思ったら、そんなことしてたわけ!?」
「トイレで中洗ってるし、部屋でローションたっぷりいれてきたから、たぶん、ちゃんと気持ちくできると思う」
 だからいいでしょと言われて言葉に詰まっているうちに、弟もあっさり自身のボトムスを下着ごと脱ぎ去ってしまう。それどころか、素早くこちらの腰を跨いでくる。
 弟の体格で腰をまたがれたら正直そこでもう詰みだった。いやまぁ、マジかと驚く気持ちはあるものの、抵抗する気自体はあまりないので構わないんだけど。
 それに妙に納得している部分もあった。抱きたいのではなく抱かれたい、というのが弟の本音だったなら、あれだけ気持ちをダダ漏れにさせながらも手を出してこなかった事にも頷けてしまうのだ。

続きました→

 
 
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酔った弟に乗られた話1

酔った勢いで兄に乗ってしまった話の兄視点です。兄×弟(騎乗位)。

 トイレと言ってリビングを出ていった弟が戻ってこない。ということに意識が向いたのは、弟が消えてから既に結構な時間が経ってからだった。
 なんとなくで点けっぱなしになっているテレビをぼんやりと見続けてしまったせいだ。
 自分もそれなりに酔っている自覚はある。
 もしかしてトイレで潰れているのだろうか。今日は二人して気分良く飲みまくってしまったから、その可能性は高い。
 様子を見に行ったほうが良さそうだと腰を浮かしかけたその時、リビングのドアが開いて弟が戻ってきた。
「大丈夫か?」
 ちょうど様子を見に行こうと思ってたとこだと告げれば、弟は曖昧に頷いて見せる。やはり相当酔っているのか、どこかぼんやりとしているし顔も赤い。
「大丈夫じゃなさそうだな。簡単な片付けは俺がやっとくから、お前もう、自分の部屋行っていいぞ」
「やだ」
「やだじゃなくて。お前にこれ以上飲ませられないって」
「飲まなくていいよ。けどもっと兄貴と一緒にいたい」
「なんだよ甘ったれモードなの?」
 酔って自制が効いてないのか、ずいぶん素直にもっと一緒にいたいなんて言われたら、どうしたって嬉しい。
 くすっと笑って、じゃあおいでと隣のスペースをペシペシ叩いた。さきほどまでは向かい合って座っていたのだから、どうやら酔って自制が効いてないのはお互い様だ。
 まぁ酒のせいってことでいいかと、嬉しそうな顔でそそくさとやってきて隣に腰を落とす弟を、こちらもニコニコと迎えいれる。
「酒はまじでナシな」
「ん、わかってる」
「お茶か水飲むか? 取ってきてやろうか?」
「いらない。それよりさ」
 じっとこちらを見つめる視線に気づいて振り向けば、熱に浮かされたみたいな、少し潤んだ瞳とかちあった。酒のせいで全体的に赤みを増した顔に潤んだ瞳で見つめられて、ドキリと心臓が跳ねる。
 あ、ヤバいかも。
 頭の片隅でそんなことを考えるも、既にあとの祭りだった。
「おれが欲しいの、兄貴、なんだけど」
 そんな言葉が耳に届くと同時に、体はラグの上に押し倒されていた。
「や、ちょ、欲しいとか言われても……」
 やばいやばいと心臓が跳ねまくって、酔いがいっきに冷めていく。しかし幾分冷静になったところで、この場を逃げ出せるわけじゃない。
 そもそも酔ってなくたって、自分より背も高く体格もいいこの弟に押し倒されたら、その時点で詰みでしかないんだけど。
 いつかこんな日が来るかも、という予想はあったのに、油断しすぎていた。
「兄貴が痛いようなことは絶対しない、から」
 どうしようと焦るこちらに何を思ったのか、弟が泣きそうな顔で見下ろしてくる。その顔に、緊張で固まっていた体から力を抜いた。
 いつかこんな日が来るかも、と思う程度には弟の気持ちは日々ダダ漏れだったのに、酔わなきゃ言い出せない程度には自制できてたわけだし、酔って口に出してしまうくらいには追い詰められても居るんだろう。
 だったら酒のせいってことにして、ちょっとくらいなら応じてしまってもいいんじゃないか。絶対痛くしないって言い切るってことは、尻の穴に突っ込もうとまでは考えてないのだろうし。
「あにき……?」
 力を抜いたのが不思議だったのか、不安げに呼びかけられて、じっと弟の目を見つめ返す。
「ホントだな?」
「う、うん?」
 頷くものの語尾に疑問符が見えてしまったので、再度確認するように言葉を重ねる。
「痛いの、絶対ナシだからな」
「うん!」
 勢いよく頷く弟の顔は嬉しそうに綻んでいて、思わず伸ばした手でその頭をくしゃくしゃっと撫でてしまう。
「大好き」
 ますます嬉しそうに笑った弟から、ほろりと溢れてきた好きには、胸の中が暖かくなる。言われて嬉しく思ってしまうくらいには、自分も、いつかこうなる日を待ち望んでいたのかもしれない。
「俺も好きだよ、お前のこと」
「じゃ、じゃあ、ちゅー、していぃ?」
 緊張気味に聞かれて思わず笑ってしまえば、嬉しげだった顔があっさり曇ってしまうから、ますます笑いながら弟へ向かって両手を伸ばした。
「いーよ」
 言いながら、掴んだ肩を引き寄せるようにして、自分からも顔を寄せていく。

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酔った勢いで兄に乗ってしまった話

※ 兄×弟です。乗った=騎乗位。

 食欲をそそるいい香りに意識が浮上する。なんで自室じゃなくリビングで寝てたんだと思いながら体を起こせば、ローテーブルの向こう側、味噌汁椀と箸とを手にした兄とバッチリ目があい、一瞬で昨夜何があったかを思い出す。
「ぅ、あっ、痛っ」
 声を詰まらせながらも慌てて立ち上がろうとして、でも叶わなかった。腰に響いた痛みに呻いて眉を寄せる。
 腰というか、腿というか、尻の穴と言うか、つまりは昨夜のヤラカシの影響が思いっきり体に残っていた。
「大丈夫か?」
 心配そうに声をかけてくる兄の声はいつも通りだ。
 まさか、こちらと違って昨夜の記憶がないのだろうか。昨夜は兄も相当飲んでたはずだから、可能性はゼロじゃないけど。
 だったら、痛いのは頭で、二日酔いが酷くて、辺りで誤魔化せるだろうか。なんて思ったのもつかの間。
「お前、昨日結構むちゃしてたし、あんま無理すんなよ。で、切れてはなさそうだったけど、痛いのはやっぱ尻の穴なの?」
「むちゃ、って、てか、切れてない、とか、えっ、なんで」
 尻の穴、なんて単語が出た以上、兄にも昨夜の記憶はばっちり残っているようだけれど、言われた言葉が理解できない。というよりは多分、したくない。
「昨日、終わった後一応確認した。お前、爆睡してて起きなかったけど」
「な、なんでっ、そんなこと」
「いやだってお前、けっこう強引にねじ込んだろう?」
 痛いって泣いたじゃんと言われて、そうだっけ? と思う。どうやら自身の記憶のほうが一部飛んでいる。
「もしかして、覚えてない? てかどこまで覚えてる?」
 言われて昨夜に記憶を馳せる。はっきりと思い出せるのは、自分の下で色っぽく喘ぐ、兄の可愛い顔ばかりだった。それと、ずっと焦がれていた兄のちんぽが、ちゃんと勃起して自分の体の中にあるという充足感。
 尻穴で兄のちんぽを擦り立てるのに必死で、自分の動きに合わせて兄がアンアン気持ちよさそうにするのが嬉しくて、その瞬間に自分の体が痛かったかなんてのは全然覚えてなかった。
「まさか、俺に乗っかって腰振ったことも記憶にないの?」
「それはさすがに……てか、言い方ぁ」
 見た目だけの話で言えば、童顔かわいい系の兄のが断然女役にふさわしい、はずだ。兄弟だからそこまで顔のつくりに大きな差はないんだけど、なんせ、こちらは長年体育会系に所属してガッツリ作り込んだ筋肉をまとっているので。背だって5センチは兄より高いので。
 でも乗ったは乗ったでも騎乗位で、可愛い兄のことをずっと性的に見ていたのは事実でも、抱きたいのではなく抱かれたい側だった。強引にだろうと初めての体に兄のちんぽを受け入れられたのだって、兄に抱かれる妄想で、尻穴をいじるオナニーをしていたせいだ。
「まぁ突っ込んでたのはこっちだけど、でも、そうとしか言えないだろ。てか一応言っとくと、俺、怒ってないわけじゃないからな?」
「それは、ごめんなさい」
 お前が寝落ちた後大変だったんだぞと、多大な呆れを含んだ声で言われて、そこは素直に謝った。
 兄をイカセて満足した後、後始末もなにもないまま寝落ちただろうことはわかる。だって片付けをした記憶が全くないし、でも満たされて目を閉じた方の記憶はちゃんとある。
「お前しばらく酒禁止な。まぁ、俺だけ飲んだりもしないけど」
「はい」
「あと、体治ったらでいいから、もっかいちゃんと抱かせて」
「は、えっ!? なんで???」
 素直にハイと言いかけて、慌てて飲み込み疑問の声をあげた。
「てかさ、お前がさ、俺追っかけて同じ大学に来た辺りから、お前の気持ちにはなんとなく気付いてたんだよね」
「えっ」
「あと、お前が同じ大学通うなら借りる部屋一箇所にしたら出費抑えられる、って、お前の合格聞いたときに、実は俺も親にそれ提案したんだよね。お前が既に、そういう方向で親説済みだったけど」
「え、と、それは、どういう……?」
「最初は、俺が一緒だったら家事とか押し付けられて楽できそう。みたいな下心かと思ってたけど、でもお前、けっこう家事もしっかりやるし、重たい物欲しい時の買い出しとかは率先してやってくれるから、むしろ俺のが得してるし。とか考えると、わざわざ兄貴と一緒にくらしたい理由って何よと思ってさ。だってお前、親の金の心配するようなタイプじゃないだろ。たださ、」
 そこで一回口を閉じた兄の視線が、頭から腹のあたりまでを上から下へ向かって降りていく。
「ただ、なに?」
「お前が抱かれたい側、ってのは、考えてなかった」
 いつか押し倒される可能性は考えてたけど、酒の勢いで突っ込まされるとは思ってなかった、らしい。
「だろうね」
「けどまぁ、考えてなかっただけで、違和感はないんだよな」
「なにそれ」
「お前けっこう甘ったれなとこあるし、体はデカくなっても、2個しか違わないおにーちゃんにすごいなーとか、えらいなーとか、ありがとーって、頭ヨシヨシされて素直に喜んじゃうタイプだし。だから、実は俺に抱かれたいって言われても、あんまり違和感はないなって」
 そこまであからさまに甘えてたつもりは無いし、本音を言えば、もっともっと構われたいくらいなんだけど。だって、そんな甘えたな自分を前にして、兄が嫌な顔をする事が殆どない。呆れたような顔をする事はあるけど、でもそれも、形だけって感じだし。
「それ言ったら兄貴は2個しか違わない弟相手に、ニコニコしながらヨシヨシすんじゃん」
「それな。だからさ、お前が俺の上で必死に腰振って、すげー苦しそうなのに、俺が気持ちぃって喘ぐたびに満たされてますみたいな顔してんの見たらさ、お前のこと、気持ちぃって喘がせながら抱いてやりたいな、って」
 思っちゃったんだよね、と兄が優しい顔で笑いかけてくる。
「あんまり甘やかすのはお前のためにならないかと思って自制してたけど、でも抱く相手、ってことなら、セックス中なら、もっとデロデロに甘やかしても許されそう」
 そんな事を言われてしまったら、今すぐにでも抱いてくれないかなって思ってしまう。まぁ、思うだけでなく口から出ちゃったんだけど。
「それはダメ。体が治ってからだって言ってるだろ」
「はーい」
 でしょうね、と思いながら、そこは素直に頷いておいたけど。でも、体が治れば。多分、そう遠くないうちに。
 兄に思いっきり甘やかされつつ抱いて貰えるのだと思うと、その日が楽しみで仕方がない。

リクエストは「弟を構いたいけどお互いいい年なので自制している童顔な兄×めちゃくちゃお兄ちゃんに甘えたいけど素直になれないガチムチ系弟の二人が酒に酔ってやらかす話」でした。リクエストありがとうございました〜

 
 
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自棄になってても接触なんてするべきじゃなかった

 夜の相手が欲しい時に利用するその店には、あまり顔を合わせたくない人物も出入りしていて、普段ならその姿が見えた段階で回れ右して別の店を利用するか諦めるかするのだけれど、その日はどうにも自暴自棄になっていて、わざわざ相手の目に留まる様に行動し、そのまま相手を引っ掛けた。
 その段階では、わかってて自分の誘いに乗ったのか覚えていないのか判断がつかなかったけれど、多分、相手は覚えていない。まぁ彼とのいざこざがあったのはもう10年ほど前の話で、あの頃は互いに学生でもあったし、相手はともかく自分の方は減量に成功して見た目もそれなりに変わったから、気づかれなくても納得ではある。
 連れ込んだホテルの一室で、酷くして欲しいと頼んでみたら、相手は平然とした顔で、どういう方向でと問うてくる。罵って欲しいのか、肉体的に痛めつけて欲しいのか、オナホみたいに扱って欲しいのか、それとも快楽責めでもしてあげようか、と。
 この相手に優しくされたくなかっただけで、好きに扱ってくれという意味での酷くして、だったから、一番近いのはきっとオナホ扱いだった。なのにちょっとした好奇心で、快楽責めなんて出来るのかと聞いてしまった。
 興味あるんだ? と意地悪そうに笑う顔に、昔の記憶がチラついてイライラする。だから、そんな自信あるんだ? と煽り気味に返してやった。
 フフンと笑いながらその体で思い知ればと返されて、せいぜい楽しませてくれよと応じたときは、まさか、こんなことになるとは思っていなかった。
 せっかくラブホだしと、室内に置かれたアダルトグッズの自販機から次々と玩具を取り出した相手に、結局そういったものに頼るのかと鼻で笑ってられたのは最初だけだ。結局の所、そんな無機物相手にどこまで感じられるかは、使い手の技量に掛かっている。
 自慰行為に玩具を利用することはあったが、自分の意志で動かすのと、他者の手で使われるのはあまりに違った。酷くしてと頼んで始めた快楽責め、というのも大きいのだろうけれど、弱い場所を的確に探られて、執拗に責め立てられるとどうしようもない。
 最初のうちは比較的緩やかな刺激で何度かイカされ、こんなもんかと思っていたのに。どうやら、こちらの体力がある程度削られるのを、そうして待っていただけらしい。
 強い刺激に逃げ出したくなったころには、相手にがっちりホールドされて、そこからが多分、本当の意味での快楽責めの始まりだった。
「ぁ、ぁ゛あ゛っ、や゛ぁ」
「いいよ、イキなよ」
「も゛、やだぁ、む゛り、ぁ゛、むりぃ」
「だいじょぶだいじょぶ」
 射精できなくなってからが本番だよと笑う相手の手には貫通型のオナホが握られていて、もちろん自身のペニスがそれを貫いている。お尻に突き刺さっているバイブも、相手の手によってしっかり固定され、ウネウネとした動きが前立腺を抉り続けていた。
「ぁ、ぁ゛、ああ゛っ」
 ブルブルと体が痙攣し、絶頂する。お尻の穴もギュウギュウとバイブを締め付けているのに、前立腺を抉る動きはそのままだから、イッても終わらない快感に、いい加減おかしくなりそうだった。

 いつ意識を手放してしまったのかわからない。気づいた時には部屋の中は明かりが落とされていて、相手が隣ですこやかな寝息を立てていた。
 体を起こすとあちこちが痛い。普段使わない筋肉を酷使したせいでの、いわゆる筋肉痛だ。
 どうにかベッドから抜け出してシャワーを浴びに行く。意識を手放した後放置されはしなかったのか、ある程度後始末は済んでそこまでベタついてはいなかったが、だからってそのまま服を着込むのは躊躇われた。
 そうしてバスルームから戻ると、部屋の明かりがついていて、相手がベッドの上にあぐらをかいて座っていた。
「満足できた?」
 こちらの姿を認めるなり掛けられた言葉がそれで、ムッとしながらもおかげさまでと返しておく。想像以上の行為で望み通りなんかではなかったが、相手の言葉通り、快楽責めというものをこの体で思い知ることは出来た。
「じゃあ、俺と付き合う?」
「意味がわからない」
 即答で返せば、だって俺昨日イッてないんだよねと返されて、どうやら昨夜は玩具以外突っ込まれなかったらしい。
「途中で意識飛ばしたのは悪かった。けど、抱かなかったのはそっちの意志だし、お前となんか二度とゴメンだ」
「酷っ。満足したって言ったのに。てか酷くしてっていったのそっちなのに」
 あんなに頑張ったのにと言われたって、もともと一夜限りの相手を探していたのだ。じゃなきゃ、こいつを誘ったりするわけがない。
「お前と恋人とかありえない」
「それってもしかして、昔のこと、まだ引きずってるから?」
「は?」
 認識されていないと思っていたから、突然昔のことと言われて焦った。
「避けられてるなとは思ってたけど、じゃあなんで、昨日は俺を誘ったの?」
「覚えて……ってか俺ってわかってたのか……」
「そりゃあ、好きな子、忘れたりしないだろ」
「は?」
「好きだったんだよ、お前のこと。でも素直にそれを認められなくて、お前にキツくあたってたのは認める」
「はぁ? 好きだったからいじめた、なんてのが通用するわけ無いだろ。俺はお前が大っ嫌いなんだけど」
「だよね! 知ってる!」
 だから今まで声掛けたりしなかったのに、でも昨日は誘ってくれたから期待しちゃったんだよと嘆く相手に、なんとも言えない気持ちになる。
 そして結局、チャンスを頂戴と食い下がる相手に絆された。といっても連絡先を交換しただけだけれど。
 ちょっと仕事で嫌なことが続いて自棄になってたからって、やっぱり誘うべきじゃなかったんだろう。今更知りたくなかった事実と、相手の押しの強さに辟易する。なのに、筋肉痛という副作用はあるものの、意識が落ちるほど強引にイカされまくった体と心は、随分とスッキリしているから困る。

有坂レイへの今夜のお題は『鳴かせる / 大人の玩具 / 唐突な告白』です。https://shindanmaker.com/464476

 
 
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