聞きたいことは色々57

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 意識が浮上して隣に横たわる熱に擦り寄れば、少し待たされたあとで抱き抱えるように腕が回されて、「起きた? わけじゃないのか?」という声が聞こえてきて、あれ? と思う。と同時に、昨夜何があったかを思い出す。
 どうやら寝ぼけて擦り寄る相手を間違えた。だって寝起きに彼が同じベッドに居たことなんてほぼなかったから。でもってお兄さんはこっちが起きるまでベッドでダラダラしてる人だから。場合によっては自分が先に目覚めることもあるくらいだから。
 というかお兄さんの方はもう目覚めてるんだろうか。だとしたらこの状況を見て何かしら反応がありそうだけど。とすると、まだ寝ている可能性が高いのか。
 さて、どうしよう。
 このままもう暫く寝たふりを続けて、この腕の中を堪能するのもありだろうか。昨夜は疲れ切ってて結局あっさり再度寝落ちたから、彼に抱っこされながら寝た実感があまりない。
 でもそれなりに嫌そうな顔をしてたんだよな、とも思う。今だって、どんな顔をしているのやら。
 そもそもなんで抱きかかえてくれてるんだろう。今までは起きたらさっさとリビングに移動してたはずなのに。なんでベッドに居るんだろう。
「なぁ、起きてるだろう?」
「はい」
 そんな言葉を掛けられてしまったら、諦めて肯定を返すしかない。
「このまままだ寝るつもりでいるのか?」
「あー……まだ寝てたい気もするし、起きたい気もしてます」
 お腹減ったんでと言えば、だろうなと返ってきたから、もしかしなくても結構遅い時間なんじゃないだろうか。
「いまって何時ですか?」
「9時半」
 思ったより遅くなかった。
「昨日て何時に終わったんです?」
「22時ごろ?」
 始めたの早かったしと言われて、確かになと思う。
 車から降りた後、まっすぐ寝室に向かうのかと思ったら抱き潰しそうだから先に軽くなにか食べておこうって言われて、寝室に入ったのは18時前だった気がする。とすると、4時間位はやってた計算になるのか。
「そんなもんなんですね。なんかもっと長かったような」
「車で散々弄った後だったからだろ」
「ああ、それでか」
 体が出来上がってたから、前戯というか慣らす時間が短かったせいだ。
「それで、どうする?」
「どうする?」
「朝食」
 食べに行くかまだ寝るかと聞かれて、食べますと返せば、体を包んでいた腕が離れていく。
 相手が体を起こすのに合わせて自分も起き上がれば、なぜかまた肩を抱かれて引き寄せられて、チュッチュと軽い音を立てながら顔のあちこちにキスの雨が落ちた。
「ひぇっ」
「どういう反応なんだ、それ」
「や、だって何して、てか、今までこんなことしてくれたことないじゃないすか」
「されたいと思ってなかった。というか事実、されたくなかったんだろ?」
 好きになっちゃうもんなと言われれば、そうですよと返すしかないんだけど。でもそれは答えになってないというか、今それをする理由にはなってない。だってして欲しいなんて頼んでない。
「今も別にされたいわけでは」
「あいつにはされて喜んでるらしいから」
 同じように喜べとまでは言わないけど嫌だとかするなとかは言うなよ、と続いた声はどことなく懇願にも似ている。そういや不機嫌丸出しって顔も声もしていない。
 違和感というよりは、なんだか不思議だった。不思議なものを、見ている。
「どうした?」
「や、なんか、」
 今までとは何かが確実に違うのに。でも何がどう変わったのかは上手く言葉にできない。
 そもそも寝起きから、今までの彼はやらなかったことばかりされているのだけど。どういう心境の変化で? と思ったところで、3人でやったからかな、と思い至った。
「あ、起きてる」
「えっ?」
 突然聞こえたお兄さんの声に、慌てて声がした方へ振り向けば、そっとドアを開けて入室してくるところだった。起き上がったところで部屋にいないことはわかってたんだけど。ただ、キスの雨を降らされて、どこへ行ってるのか聞ける余裕がなかっただけで。
「おはよ。いっぱい寝たね」
 体調どう? と聞きながら近づいてきたお兄さんが、ちゅっと額に一つキスを落としてくる。
「だいじょぶ、です。多分」
「ご飯できたけど、食べれる?」
「はい。てか朝飯作ってたんですか? あなたが?」
「そう。どっちが朝ご飯作るかでちょっと揉めたけど、まぁ、今回も俺が譲ったよね」
 おはようのチュウして貰った? と聞かれて、この人の差し金かと思いながらも貰いましたと返せば、良かったねぇと頭を撫でられる。正直、嬉しいってよりも驚きと戸惑いが大きかったけど、嫌々してくれたって感じがなかったのは良かったかも知れない。
「先行ってる」
 お前らもイチャついてないでさっさと来いよと、不機嫌そうな声が聞こえて、あれ? と思う。ついさっきまでは、不機嫌そうな様子はなかったのに。
「言われなくてももう行くよ」
 部屋を出ていく彼にそう声をかけた後、コソッと「嫉妬丸出し」と耳打ちしてきたお兄さんが、満たされたって顔で楽しげに笑った。

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聞きたいことは色々56

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 広いベッドの上で、後ろから抱きかかえられるようにして胸やらを弄られながらもう一人に突かれるのも、四つ這いで後ろから容赦なく突かれながら自由な2本の手にあちこち弄られるのも、確かに経験したことのない気持ちよさだったけど。でも二人がかりで、という部分を一番感じたのは、休みのない連続した快感に晒されたことだった。
 相手は休憩する時間が取れるけど、片方が休憩しているその間も、自分はもう片方に気持ちよくされているのだから当然だ。
 抱き潰しちゃうと思うよって言われてたから、一応そのつもりと覚悟を持ってベッドに乗ったはずなのに、あまりに連続した気持ちよさに「もう無理止めて」と泣いて懇願してしまったのは、何度絶頂させられた後だっただろうか。
 彼とお付き合いをすることになったあの初日の夜も、最後の方はイキっぱなしで記憶が曖昧になるくらい疲れ果てて抱き潰されたけど、休憩する暇を与えられないという状況はあの時よりも断然キツい。
 ずっとちゃんと抱いて欲しかったのにもういいの、と笑われたけど、もういいどころじゃない。充分すぎると必死で頷けばお兄さんはそこで引いてくれたけど、彼のほうは久々だからもう少し付き合えって続行されたから、結果、お兄さんに見守られながら彼に抱かれる状況になってしまった。
 しかも最初の方は性的なアクションを控えてくれただけで、可愛いとかキモチイイねとか言いながら頭を撫でてくれたりしてたのに、なぜかそれを彼が嫌がって自分だけを見てろと言い出すし、お兄さんもじゃあ見てるだけにするとあっさり引くしで、頭の隅ではチラリと3人でってのはどうなったんだろうと思ったりもしたけど、もちろんそんなことをじっくり考えてられるような余裕はない。
 連続した強烈な快感に比べれば随分と緩やかになったものの、やっぱりイカされまくるのにはあまり変わりがなくて、彼が満足して終わる頃には疲れ果ててすぐに意識が落ちてしまったのだけど。
 でも朝までそのまま寝かせては貰えなかった。というか、揉めてる気配に起きてしまった。
「ど、したんすか」
「あ、ごめん起こしたね。ってほら、起きちゃったじゃん」
「俺のせいじゃないだろ。俺はまだ触ってないし」
「どっちが先かの問題じゃないでしょ。俺が手出さなきゃお前が先に手出してたでしょ」
「何揉めてんですか」
「君を抱っこして寝るのがどっちか問題?」
「はぁ……そ、え、えぇっっ??」
 寝起きでぼんやりしていた頭が一気に覚醒する気がした。
「え、抱っこ、寝る時に? 俺を? あなたが?」
 その疑問は当然彼に向けてで、問われた彼は気まずそうにそっぽを向いてしまうから、どうやら本当にそういう主張をしたらしい。
「ほら、こんな不思議そうな顔させてる。起きた時にお前に抱っこされてたら、びっくりして心臓とまっちゃうかもじゃん」
「でもお前がこいつ抱いたまま寝るのは嫌だ。あとどうせ俺のが早く起きるし」
「だぁかぁらぁ。うちはいつもそうしてんの。エッチした後背中向けて寝るとかしないから」
 事後のイチャイチャ大事だよねってことで、事後にさあ寝ようって背中を向けられたことがないのは事実だし、それがめちゃくちゃ嬉しいのも、嬉しいって思ってるのを知られてるのも、事実。
「されたいなら言えば良かったのに」
「いや、あなたにされたくはなかったので」
 そんなのされたら好きになっちゃうじゃないですかと言えば、どのみち好きになっただろと言いながらも苦々しい顔をする。好きになったら振られると思ってて、そういうのを全部避けてたってことはわかってるんだろう。
「そもそもしてって言われたからしてるわけじゃなくて、俺がそうしたくてしてんの。じゃなきゃ寝落ちてる子わざわざ抱っこしないでしょ。で、お前はこの子を抱っこして寝たいんじゃなくて、俺がそうするのが嫌で、俺からこの子を奪おうとしてるだけなんだよね?」
 じゃあ絶対譲れない、と言い切られてさすがに引くのかなと思ったのに。
「俺が、したいから、譲ってくれ」
 渋々って感じがありありとわかるけれど、だとしてもそんなの絶対言わないと思ってた。
「ん、わかった」
 しかもあっさり譲られてしまった。そんな嫌そうな顔しながら言っても説得力がとかなんとか言いそうな人なのに。
「えっ?」
「ごめんね、俺としては一応満足いく結果だから、今日はこいつに抱っこされて寝てあげて」
 思わず驚きの声を漏らせば、寝てる間に終わらせたかったけど起こしてごめんと再度謝られて、でも何を考えてるかは教えてくれなかった。

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聞きたいことは色々55

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 帰る先はお兄さんが住んでる方のマンションで、今日もまたそこで解散になるのだと思っていたのに、車が停まった先は彼のマンションの駐車場だった。
「随分その気になったみたいだし、いい加減3人でしようか」
 どうしてこっちにと聞くより先にそんな言葉が告げられて、とうとう3人でするらしい。とは思ったものの、ちょっと待って聞いてない、という気持ちも大きい。
「今から???」
「そう。だって抱いて抱いてって散々ねだってたし、ここで俺が、帰ったら久々にちゃんと抱いてあげるね、とか言ったらさすがにそいつが拗ねるでしょ」
 確かに指で散々いじられながら、ちゃんと抱いて欲しいって何度も口走ったけど。というか言わされたわけだけど。久々に機嫌良く楽しそうにしてたから、そういうプレイでもまぁいいかって思っちゃったのも事実なんだけど。
「いやでも3人でって」
「問題ある?」
「あー……、その、いっぱいイッちゃった、から」
 さすがにもう勃たないかも、という不安があった。
 彼とのセックスはまたお預けなんだろうと思ってたし、繰り返すけど久々に機嫌良く楽しげだったから、促されるまま何度もイッてしまったせいだ。
 なんせ元々、一晩で自分ばっかり何度もイクようなセックスをしていた仲だ。体を繋げる前にイカされてしまうことも当然あったし、つまり慣れていると言うかこの体のイイ場所を熟知されている。
 お兄さんと二人でのセックスなら、今日はもう勃たないと言っても問題はないだろう、それならそれで楽しめるアレコレを提示してくれるだろう。そんな甘えと信頼とがあったのも事実だ。
 それこそ、久々に抱いてくれるかも的な期待もなくはなかった。まぁ、双頭ディルドとかが出てきちゃう可能性もあったけど。というかその可能性のが高かったけど。
 実はそれも既に経験済みで、やっぱり積極的に自分からしたいとまでは思わないけど、何が何でも拒否ってプレイでもなかったから。それならそれでまぁいいか、みたいな気持ちだった。
 でも3人でするとなると、勃たない状況は結構マズイのでは、と思う。
「ああ、俺を抱けそうにないって話?」
「そ、です」
「別にいいよ」
 今日は抱かれる側だけ楽しんで、と言われても、素直にそうしますとは言い難い。だってそれってつまり、お兄さんが間に挟まるって話じゃないの。彼に入れて貰うのがお兄さんになるってことじゃないの。
「3人でするのに抵抗なくなったんじゃなかったのか?」
 口を挟んできたのは隣に座る彼で、確かにここでお兄さんとだけしたいなんて言ったら、また盛大に機嫌を損ねそうだ。
「それは俺があなたに抱かれる前提の話で」
「は?」
 何を言ってるんだと言われても、3人でするときの役割の話なんだけど。
「俺が勃たなかった場合、俺を抱くのはお兄さんで、あなたはお兄さんを抱くんですよね?」
 俺を抱きながらお兄さんに抱かれる気はないですよね? と確かめてしまえば、目の前の男は呆気にとられた顔をして、運転席からは楽しげな笑い声が聞こえてくる。
「ああ、なるほどね。そういう心配してたの」
 そいつには抱かれないし抱かないよと言い切られて、じゃあどうすんの、と思ってしまう。
「俺を抱きながらそいつに抱かれるプレイを意識させすぎちゃったね。基本的には、3人でキモチイイことが出来ればそれでいいんだよ。交互に入れてあげるし、入れてない側が他のキモチイイとこいっぱい弄ってあげる」
 既にいっぱいイッた後だし二人がかりだから抱き潰しちゃうと思うけど、二人同時に責められる気持ちよさを味わわせてあげるよ。という、甘く響くお兄さんの声を聞きながら、隣の男がそのとおりだと言いたげに頷くのを見ていた。

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聞きたいことは色々54

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 相手が不機嫌だって、車が動き出して早々に深いキスを仕掛けられたら、慣れた体はやっぱりあっさり反応してしまう。不機嫌でも手つきはそれなりに優しかった、というのもある。
 体の力を抜いて甘えるように身を預ければ、さらに手つきが優しくなるから、多少は機嫌が上向いたのかも知れない。なんて、内心ちょっと安堵したんだけど。
「あの、」
「腰上げて」
「なんで?」
 脱がすから、と続いた言葉に被せるように疑問が口からこぼれ落ちる。
「邪魔だから」
「なんで?」
 そんな答えじゃ当然納得できるわけがなく、結局同じ言葉を繰り返す。
 というか何をする気だ。という疑問は、返る答えを聞きたくなくて口にできなかった。
「気になるなら腰にバスタオル広げるくらいはしてもいい」
「嘘でしょ?」
「するな、とは言われてない」
「嘘でしょ!?」
 思わず声を張り上げてしまったのは、運転席に座る男へ向かっての言葉だからだ。
「まぁダメではないけど。でも突っ込んでいいのは指だけね」
 顔は前を向いたままだけど、あっさりそんな答えが返って血の気が引いていく。
「ほらな」
「む、ムリムリムリムリ」
「本当に?」
「当たり前」
「でも相手が俺じゃなくてあいつなら、本当に無理か試させるくらいはするんだよな?」
「それは」
「本当に無理そうだったらちゃんと止める」
 いい子だから腰上げてと促されて、抗いきれないと諦めに似た気持ちになりながら、先にバスタオルが欲しいと要求した。
 わかったと頷いて助手席に置かれていたカバンに腕を伸ばして手を突っ込んだ彼が、そこから2枚のバスタオルを引っ張り出してくる。だけじゃなく、ローションボトルまで握られてるのが見えてしまった。
 前回どころか初回から助手席に置かれていたカバンには、エッチなことをするのに必要なアレコレが入っている。まだラブホを利用してた頃にもそのカバンは使われていたから、お兄さんの許可が出ればそのままラブホへ行けるようにって考えで持ち込んでるのかと思ってたんだけど。
 前回、車の中でイカされるのに抵抗して、車の中を汚すかもという不安を口走ったら、そこからコンドームの箱が出てきて付けられてしまった。当然、今日のデートの前半でも、そこから出したコンドームが使われた。
 だからローションが入ってるのはそこまで不思議ではないんだけど。でもまさか、バスタオルまで出てくるとは思わなかった。
 バスタオルの片方を手渡されながら、再度の「腰あげて」って言葉に従えば、ササッとお尻の下にバスタオルが敷かれてしまう。手際が良い。
「ううっ、用意周到すぎ」
「狙ってたからな」
「そんなの狙ってないで、早く3人でちゃんとしよって方、頑張って下さいよ」
 したいの? と聞かれる意味がわからない。早くしたいに決まってるでしょと返せば、最近は玩具でしかお尻イカせてもらってないらしいもんな、と冷えた声が降ってきて心臓がキュッと縮む気がした。
「なん、で」
 また不機嫌スイッチが入ってしまったらしい。車の中で下半身を晒して、お尻をイジられる覚悟を決めたばかりだっていうのに。いい子だからって言ったときの声は多少なりとも甘さを含んでいたのに。だから、受け入れたのに。
「お前らが俺抜きでどんなセックスしてるかは全部聞いてる」
 なんで知ってるの、なんて聞いてない。というか全部筒抜けなのは自分だって知ってる。
「じゃあわかってますよね」
「何を?」
「俺が玩具を受け入れてる意味、すよ」
 3人でする時はちゃんと俺を抱いて下さいよと、「俺を」の部分を強調して告げた。
「あなたの恋人は俺なんですから」
 こんな時だけ都合がいいことを言っている自覚はある。今の自分の恋人は目の前に居るこの人じゃなくて運転席の男なのに。
 でも3人でする時にこの人に抱いて貰うための準備を頑張ってるのは本当だからいいよね、とも思う。ちゃんと抱いてもらえなくて焦らされてるのは事実で、だから早く3人でしたいって気持ちにさせられてるんだろう自覚もなくはないけど。
 不機嫌な彼がどんな言葉を浴びせてきても泣かないぞって思いながら睨んでしまったけれど、少し驚いた顔を見せた後で笑い出すからこっちこそ驚いてしまう。
「何笑ってんすか」
「いや。お前に俺の恋人だって意識がまだあって良かった、と思った自分に驚いた」
 なるほどね、と何かを納得した様子だったけれど、何を納得したのかは教えて貰えないまま、不機嫌を振り払って楽しげな彼にお尻を弄られまくってしまった。

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聞きたいことは色々53

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 3人デートを繰り返すごとに彼の機嫌が悪くなっているのは多分気の所為ではなくて、でも初回に釘を刺してあるというか、3人でするかを決めるのは既に自分ではなくお兄さんの方だと言ってあるからか、早くその気になれ的な催促を直接言葉で食らうことはないのだけど。というかこちらにその気があるのは彼も充分わかっているのだろうけど。
 でも不機嫌の理由はいつまで経っても3人でしようとはならないくせに、少しずつエッチな手出しも許可されて散々煽りまくるデートにあるのだろうし、その不機嫌はどうしたって自分にも向かってくる。
 今日も目的地に到着して車を降りたところで、苛立ちを含んだ冷たい視線にさらされて身が竦む。
 ここで食事を摂った後は、ドライバーをお兄さんと交代した彼と後部座席で過ごすことになるわけだけど、いちゃいちゃするのなんて絶対無理だと思う。それを期待できる甘やかな雰囲気が欠片もない。
 行きと帰り、逆だったら良かったのに。というか前回までは逆だったのに。
 個室だったり半個室だったりのお店で、声を我慢しきれなくなったり、勃ってしまって落ち着くまでに時間を要するようになって、デートはドライブがメインになった。
 スモークが貼られた後部座席は外から丸見えってわけではないけど、それでも車の中でという抵抗感は普通にあったし、ドライバーそっちのけでいちゃいちゃするのも気が引ける。お店で対面に座って見られているよりも、運転を邪魔してしまうのではとか、見えない分余計に気が散るだろうとか考えてしまって、後ろめたさがあったんだけど。
 結局数回で慣れてしまったし、前回なんかとうとう行きの車中で彼の手でイカされてしまった。
 そして今日も、ここへ到着するまでにお兄さんの手でイッている。前回の帰りはイクまでされなかったから、というよりは帰宅するまではお預けって感じになったから、彼の前でお兄さんにイカされたのは初めてだった。
 正確には前じゃなくて後ろだけど。運転しながらだから殆ど見られてないはずだけど。
 前回もイカされてるし、的な慣れと諦めとであっさり受け入れてしまったのはやはり失敗だったのかも知れない。
 思ってた以上に彼の不興を買ってしまった気がする。なのにお兄さんは相変わらず、そんな不機嫌そうな彼を見て楽しげだ。
「俺にイカされるこの子があまりに可愛くって焼けちゃった?」
 そんな感情がはっきりあるような人だったら、一時的にだろうとお兄さんとの恋人関係を許可したりしてないと思う。
「この前、お前相手にはけっこうごねて抵抗してたもんなぁ」
「や、あれは車の中でってのに抵抗があって。で、今日はもう二回目だし、最初からそうするって言われてたし、っていう」
 あわあわと言い訳を言い募れば、お兄さんの方はもちろんわかってるって顔で笑ってくれたけれど、彼は依然として不機嫌そうなままだった。
 そして結局その不機嫌は回復することなく、帰路につく時間になってしまってなんとも憂鬱だ。
 3人デート頻度も上がってきたとは言え、彼とは途中で別れてお兄さんとお兄さんの家に帰ってセックスって流れになるし、そもそもの目的が早く彼に抱かれたくてたまらないって気持ちを昂らせるってものだから、彼が多少不機嫌だろうとその手を拒むことはなるべくしないつもりなんだけど。前回だって、せめて最初から車の中でイかせるまでするって宣言されてから乗ってたら、あそこまで慌てなかったと思うんだけど。
 お兄さんはそういうとこ、けっこう事前にしっかり知らせてくれるので本当に有り難い。無理そうなら無理って事前に言えるし、じゃあ本当に無理そうだったら諦めるねって結局それなりに試されはするけど、でも本気で無理な時はごめんねって手を引いてくれるし、がんばった分はしっかり褒めてくれるんだけど。そうすると次はもうちょっと頑張れそうかもってなるんだけど。
 彼はこちらが本気で嫌がるだろうことは取り敢えず試しに言ってみる、みたいなところはあるけど、受け入れるだろうことはあまり事前に教えてくれない。結局のところ、こちらが慌てたり戸惑ったりなんなら嫌がったりするのを、楽しんでる部分があるんだろう。多分。
 楽しんでるなら、せめてちゃんと楽しんでる様子を見せてくれればいいんだけど。以前はもっとはっきり楽しげだったはずなんだけど。
 不機嫌になるくらい早く3人でしたいなら、さっさとお兄さんを口説き落としてくれればいいのにと思わずにいられなかった。

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聞きたいことは色々52

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 好きになったらどうしよう、なんて思う必要がない相手なので、お兄さんとはほぼほぼ毎週末に顔を合わせていたし、当然セックスもしていたから、彼に抱かれたのと同じくらいの回数なんてあっという間に過ぎていた。
 宣言通り童貞も奪われたし、お兄さんの趣味嗜好に合わせたプレイ的なことも、結局そこそこ受け入れていると思う。
 アナニーでは使うけど、自慰で使うからこそ、玩具を使われるのなんて絶対嫌だって思ってたし、無機物にイカされるのも、それを見て楽しまれるのも、泣かずにいられる自信がなかったのに。恋人にそんな扱いされたら絶対悲しい、って思ってたのに。
 でもそこに想いがちゃんとあって、こちらが晒す痴態を本気で愛おしいと感じているらしいのが伝わってくると、どうやら悲しい気持ちにはならないらしい。こちらの不満とか泣き顔とかを興奮に変えて楽しむような真似をされてないというのも、かなり影響しているかも知れない。
 だから、さすがに自分から積極的に使われたいとまでは思わなくても、必死で回避を考えたりはしていなかった。まぁ必死で回避を考えるような状態なら、まずはそこの改善からってタイプの人だし、だからこその現状なんだけど。
 自分たちの関係がどうなっているかはほぼほぼ彼にも筒抜けなので、それを知った彼には、心底驚いた様子のあとで不機嫌そうに納得がいかないと言われてしまった。
 口説くななんて言われてなければ、自分だって受け入れさせていたのに。みたいに思ったらしいから、あなた相手じゃ泣いて逃げ出す想像しかできないと言って、ますます不機嫌にさせてしまったけれど。
 それでも、「そこにちゃんと想いがあるかどうか」というのが自分の中で相当重要な扱いになっている。というのは、少しずつだけど彼にも伝わっているような気がしている。彼が口説く時に口にする「好き」だって本心からのものなのに、何でそれじゃダメなんだ、というところで止まってるっぽいけど。
 後で恨まれそうって躊躇われたけど、そういや本気で好きになるし口説いてもいい、みたいに言われたこともあったかも?
 実際、お兄さんと出会う前に好きだと繰り返されていたら、彼に対してももっとあれこれ受け入れてた可能性はある。その言葉に縋って、もっと想ってもらえるようにと頑張ってた気がする。
 でも玩具を使いたいって言われたら普通にドン引きだし、無機物にイカされるところを楽しまれたら結局泣いて逃げ出してたと思うから、やっぱり「そこに想いがあるかどうか」が彼とお兄さんとの違いなんだろう。
 だって、好きって言ってくれても結局そこには想いがないカラッポ、という事実に、多分きっと気づいてしまうから。恋人相手に自分だけが本気で好きになってる辛い片思いを、どのみち自覚していたと思うから。
 お兄さんは相変わらずそんな彼をポンコツ呼ばわりしているし、そう言われた彼は嫌そうにしてるけど、以前はここまで直球で彼に「お前は恋愛感情を理解してない」と突きつけたりはしてなかったらしく、お兄さんは彼の変化もどうやら結構楽しんでいる。というか多分期待している。
「いい加減3人でしたい気もするけど、もうちょっと焦らしたらいい加減自覚できたりしないかな、みたいな気持ちもある」
 何度目かの3人デートを終えたあと、そう言って悩ましげなため息を吐き出すから、俺はちゃんと早く抱かれたい気持ちになってますよと言っておく。
 ついでに、好きって言わされるプレイをされても、その延長でカラッポの好きを渡されても、多分もう大丈夫ですよとも付け加えた。
「だよねぇ。てか焦らされてるのは君もだよね」
「ですね」
 なんせここ最近は玩具しかお尻に入れてもらってない。玩具をお尻に入れた状態でお兄さんに乗られるようなセックスを繰り返している。
 3人でする時はどうやら自分が真ん中らしい。
 彼は抱かれる側を嫌がるだろうから、後はお兄さんが真ん中になって、自分を抱きながら彼に抱かれるパターンだけど、彼に抱かれたいって思うように誘導してるのと、彼に抱かれる自分以外の男の姿なんて見たくないだろうという配慮だ。
 彼に抱かれながら自分を抱くお兄さんを見たい、という欲求がこちらに湧かない限りは、試さなくていいと思っているらしい。
 3人でしたら、彼がお兄さんを抱きたがることもあるんじゃないの。という考えがチラリと頭の隅をかすめたけれど、お兄さんは否定するか、否定まではしなくても拒否するって言いそうだったから口には出さなかった。

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