夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい6

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6章 翔さんのトラウマ

【翔の家の寝室】
寝バックで突かれながら気持ちよさげに喘いでいる。

颯真:あ、あ、あっ
  :や、翔さん、これ、だめっ

:寝バック試したい、寝バックでイカされたい
 :そう言ったのは誰だっけ?

颯真:ぁ、ぁんっ、でもぉ

:凄く気持ちよさそうだけど?

颯真:あ、ぁ、だっ、て、や、ぁあっ
  :(気持ちよすぎて怖いんだってば)
  :それ、や、やぁ

:本当に嫌?
 :前立腺、感じられるようになったろ?

颯真:そ、だけどぉ
  :そこばっか、されたらっ

:イッちゃう

颯真:あたま、へんに、なりそぉ

:頭変に、なりたくないの?
 :頭バカになるくらい気持ちぃ経験してみたいんじゃなかったっけ?

颯真:それは、言った、けど
  :ぁ、でも、こわ、怖ぃ、から

:大丈夫だからこのままイッちゃいな

颯真:でも、ぁっ、あ、でもぉ

:怖くない怖くない
 :凄く気持ちよくなるだけだよ
 :ほら、俺も一緒にイクから

颯真:んぁあああっっ

促す声と少しばかり激しくなった律動に頭の中が白く爆ぜた。

【カチャ】
シャワーを浴びて寝室へ戻ればすっかり後片付けが済んでいる。

:おかえり
 :じゃあ俺もちょっとさっぱりしてくるわ
 :疲れてるだろうから寝ちゃってていいぞ
 :あと、明日の朝は

颯真:仕事あるから起こすぞ、でしょ

:わかってるならいい

翔が出ていった後、整えられたベッドに潜り込んだ。
しかし眠るつもりはなく、あれこれ考え込んでしまう。

颯真:(週末しか泊まれないのに残念だけど)
  :(仕事じゃしょうがないもんなぁ)
  :(休み合わないから一緒に出掛けたこともないけど)
  :(恋人でもないのに)
  :(デートしてとかも言えないしなぁ)

【カチャ】
颯真:おかえりなさい

:なんだ、起きてたのか

颯真:翔さんの腕枕がないと眠れない

:眠りたくないの間違いだろ
 :ほら、これでいい?

颯真:うん
  :(セックスはどんどん気持ちよくなるばっかだし)
  :(セックス中以外もこうやって甘えさせてくれるのに)
  :(なんで恋人になれないんだろう)
  :ねぇ、もう寝ちゃう?すごく疲れてる?

:どうした?

颯真:聞きたいこと、あって

:いいよ、言ってみて

颯真:あのさ、2回目抱いて貰う時にさ
  :すぐに夢から覚めるだろって言ったの覚えてる?

:ああ

颯真:色々試して抱かれるのも慣れたつもりなんだけど
  :俺、ちっとも飽きないし
  :幻滅だってしそうにないよ
  :それどころかどんどん翔さん好きになってる
  :でもさ、だからさ、

:どうして恋人にしてくれないんだろう?

颯真:うん、そう
  :俺と恋人になるの、何が問題?
  :俺がいつまでも夢から覚めなかったらどうするつもり?

:うーん……
 :颯真くんて腐男子なだけでゲイではないんだよね?

颯真:翔さんの事こんなに好きになってるから
  :もうゲイじゃないとは言えそうにないんだけど

:じゃなくてさ、本来の恋愛対象って女の子じゃないの?
 :女の子と恋愛できるならそっち選んだ方が絶対にいいよ
 :俺とのことは若気の至りの好奇心だったってことにしてさ

颯真:女の子と恋愛……
  :出来る気がしないって言ったら?
  :俺が男しか好きにならないゲイなら恋人にしてくれるの?

:ゲイなら恋人になれるかもなんて理由で
 :自分はゲイだと言うのは止めた方がいいな

颯真:でも俺、彼女居たこともないし

:は?

颯真:いいなって思う女の子は確かに居たけど
  :翔さんを好きな気持ちとは違うというか
  :むしろこんなに好きになったの翔さんが初めてっていうか

:ちょ、待って、初耳

颯真:あれ、言ったことなかった?

:ないな

颯真:えと、まぁ、そういう事なんで
  :俺、多分、腐男子のゲイなんだと思う

:ねえ、確認したいんだけど

颯真:何を?

:つまり今現在、童貞だったりする?

颯真:あ、はい
  :翔さん以外とセックスしたことないですし

:ファーストキスは?

颯真:それ聞いちゃいます?
  :タクさんに無理やりされたベロチューが初めてです

:はぁあああ、もう
 :君って子は本当に……

颯真:(え、これってそんな嘆かれるようなことなの!?)
  :童貞じゃダメなんですか?
  :他の誰かと試してくるの無しって言ってたから
  :俺が翔さん以外知らないの
  :喜んでくれるかと思ってたのに

:ここに来てそんなカミングアウトされるとは思わなかったよ

颯真:やっぱ恋人にはなれない?
  :ていうか童貞なら抱くのもなしとか言い出さないよね?

:今更そんな事言う気はないけど
 :あー……
 :これは俺の問題で
 :颯真くんは何も悪くないんだけどさ
 :俺、若い子に好き好き言われるの苦手なんだよ

颯真:えっ、なんで!?

:昔、もう5年ほど経つかな
 :その頃俺は大学生で
 :薄々感づいては居たけどゲイの自覚はまだなくて
 :そんな時に家庭教師先の男の子がね
 :俺にめちゃくちゃ好意寄せてくれてて
 :カッコイイとか、先生みたいになりたいとか
 :当たり前に大好きとかも言われてて
 :手、出しちゃったんだよね
 :と言ってもキスして押し倒したくらいだけど

颯真:えっと、その教え子と恋人になったって話?
  :(破局した時のトラウマとかあるのかもだけど)
  :(元カレの話とかあんま聞きたくないなぁ)

:いや違うよ
 :泣かれてなじられて恋人になんてなれなかったから

颯真:ええ、どういうこと!?

:そういう意味の好きじゃなかったんだって
 :こんな兄貴が居たらいいなみたいな
 :家族に向ける好きと一緒とか
 :そんなのわかるわけないよね

颯真:ええぇぇ……

:まぁたとえ両想いだったとしても
 :高校生に手ぇ出していいわけがないし
 :しかも教え子だし
 :完全に俺が浅はかなバカだっただけなんだけど

颯真:(高校生に手ぇだしていいわけない、か)
  :(どうしよ)
  :(掲示板に書き込む時大学生のふりしちゃったけど)
  :(本当は高校生なんだよね)

:おかげで俺はゲイの自覚とともに
 :若い男の子の好きって言葉にはめちゃくちゃ警戒するようになった

颯真:俺の好きにも警戒してる?

:信じてないわけじゃないんだけど
 :どうしてもね
 :俺が本気になった途端
 :手のひら返して泣いてなじられるかもって考えちゃう
 :好きになっちゃダメだってセーブしちゃうんだ
 :俺のトラウマのせいでゴメンな

颯真:そ、っか……
  :(これは好きになって貰うの無理そうだよなぁ)
  :教えてくれて、ありがと
  :(しかもそれ以外の問題も山積みだし)
  :(トラウマもだけど俺が実は高校生なのとか)
  :(バレたらセフレすら解消されそう)
  :(だからって自分から終わりになんて出来ない)
  :(諦められないよ……)

続きました→

 
 
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