抱かれたら慰めてくれんじゃないのかよ12

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 ああ、マジだ。これは本気だ。どうしよう。どうしよう。
 相手のナニが普通サイズで、間違っても大きいとは言えない部類だった事に安堵したのは、初めての体に受け入れるなら、なるべく小さい方がきっと負担も少ないだろうと思っているからだ。負担というか、つまりは、痛み。
 試しに男を抱いてみた経験はあるが、もちろん相手は初めてなんかじゃなかったし、女性の恋人相手に、アナルでのセックスに興味があると言ったこともない。つまるところ、初めてがどんなものなのかというのがさっぱりわからない。でもわからないなりに、痛いんだろうなとか苦しいんだろうなと言う想像は容易で、もちろん不安がないわけじゃなかった。
 当然だけど、相手に抱かれて感じるのなんて、絶対に無理だとしか思えない。なのに相手は、こちらが彼に抱かれながら果てる事を、考えている。
 あまり慣れてなさそうだ、とは言われていたから、抱かれるこちらの反応への期待なんて、ないと思っていたのだけど。経験があって誘ったと思われているというのは、つまり、抱かれることで感じられるとも、思っているってことなのだと、この土壇場で気付いて焦っていた。
 そんなこちらの焦りに、相手も何かを感じたらしい。
「ねぇ、このまま挿れて、本当に大丈夫?」
 開いた足の間に相手の体を受け入れて、既に相手のナニの先端がアナルに触れた状態なのに、最後の最後で、そんな気遣いを見せてくる。
 すぐに頷けず迷ってしまえば、それはもう、大丈夫ではないと言っているのと変わらない。
「楽な体位があるなら、今からでも変えられるよ?」
「楽な、体位、っつーか……」
「うん」
 先を促すように頷く声が優しい。だから不安を少しだけ、口に出して伝えてしまった。
「お前に抱かれて感じるのは、多分、無理」
「……ああ、そういうこと」
 一瞬面食らった顔をされたけれど、すぐに何かに納得した様子を見せる。不機嫌にはなられずホッとしたけれど、でも、安堵してる場合じゃないこともわかっていた。だって全くの未経験だとは言えずに居るのだから、その納得は何か別の理由なのだ。
「そーゆーこと、って?」
「あまり慣れてなさそうとは思ってたけど、つまり、男に抱かれて感じられた事がまだない、って話でしょ?」
「ご、めん」
「いやちょっと待って。なんで謝られるのか、さすがにわかんないんだけど」
「だってお前、俺が、お前に抱かれて果てるのが、楽しみ、って」
「あんたって、……」
 驚きと呆れとが交じるような顔と声とで、それだけ言って言葉を止められてしまうと、なんだかますます不安が増してくる。
「あの、」
「これ以上謝らなくていいから」
 もう一度謝ろうとしたのは、あっさり相手に遮られてしまった。
「というか、あんたって時々、予想外に可愛いこと言ってくるよね」
「か、わいい、か?」
「可愛いでしょ。あんたを抱いた他の男に嫉妬するよ、って言ったのに、男に抱かれて感じられる体じゃないことを謝られる意味、どこにあるわけ?」
 あんたも男ならわかると思うんだけどと言われて、ようやく、相手が何を考えたのかがわかった気がする。というか、他の男に開発される前で良かった、みたいなことを考えてくれたのなら、もしかしなくても、結構本気で好かれているのかも知れない。
 そう思うと、嬉しいのと恥ずかしいのとで、相手の顔がまともに見れなくなった。そっと視線を外しても相手は何も言わなかったけれど、小さく笑う気配が溢れて、照れる姿をまた可愛いとか思ってくれてるんだろうか、なんて考えてしまう自分がますます恥ずかしい。
「まぁ、今日中は無理でも、いつかは見れると思ってるから、楽しみが先延ばしになった、程度の問題だよね」
「先、のばし……」
 ああこれ。次もあるって思っていいんだ。
 そう思ったら、今度は嬉しさで泣きそうになった。

続きました→

 
 
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