快感が引いて体が落ち着くのを待っていた相手に、まだ続けられるよねと確認されて頷けば、またゆっくりと追い詰められていく。
今度は途中で相手の方が限界を訴えたが、その時ですら、あまりガツガツと派手に腰を振られたりしなかったのは意外だった。組み敷かれて抱かれる側だから、相手の誘導に任せて緩やかに昇りつめる快感を得られているだけで、これを自分が抱く側でコントロールできるかと言えば、正直、あまり出来そうにないと思う。
なんか思っていたのとは別方向にもテクが凄い。
「お前のテク、なんか、色々とヤバい」
「それ、褒めてる?」
相手がゴムを着け替える間、手持ち無沙汰に話しかければ、こちらの口調からあまり褒める用途で使ってないことを感じ取ったらしい相手が、訝しげに聞いてくる。
「まぁ、半分くらいは?」
「残りは?」
「あー……畏怖とか?」
「え、いふって畏怖? 畏怖の畏って、畏れ多いとか、敬う系の意味有るんだけど、知ってる?」
「まぁ、それもある。てか真似できる気がしない」
「真似ねぇ……俺からテク盗んで、披露する予定があった? というか、さすがに無いと思って確かめなかったけど、まさか、今現在彼女居たりしないよね?」
「それはない。さすがにない」
「ならいいけど。続き、していい?」
終わるつもりならゴムの着け替えを黙って見ているはずもない。小さく頷き再度足を開こうとしたけれど、それを制されて、くるりと体を返される。
「今度は後ろから挿れさせて?」
今から? という気持ちはもちろんあった。だって初心者なら後ろからのが挿れやすい的な知識は、相手だって口にしていた。
こいつ自身何度も、本当に正常位で抱いていいのかと聞いてきていたくらい、初めてこそ後ろからの挿入が良かったんだろうと思う。でも実際は、全く経験がないと知った後も、最初の挿入に正常位を選んだわけだから、相当正常位と言うか、向かい合う体位が好きなんだと思っていた。
ただまぁ、したいと言われて嫌がる理由もない。なので抵抗することなく、言われるまま少し腰を浮かせてお腹の下に枕を突っ込まれたし、やっぱり言われるまま軽く足を開いて相手を待った。
てか後ろからって、四つ這いの後背位じゃないのかよ。しかも、尻の上に跨るように座って腰を振るのかと思いきや、背中にぺとりと相手が覆いかぶさってくる。
全体重をどっしり掛けられてるわけじゃないし、押しつぶされるような苦しさはないのに、多少の圧迫感と肌が触れ合う熱に息が上がっていくのがわかる。膝立ちで慣らされて居る時以来の密着感に、そういや正常位では抱き合わなかったのだと気づく。
「体勢、辛くない?」
背後から耳元に吹き込まれる声に、ビクッと体が跳ねるほど反応したのが恥ずかしいし、相手が微かに笑う気配がしたのも更に羞恥を煽った。
「それは、へーき、だけどっ」
「繋がってジッとしてるだけなのに、どんどん興奮しちゃう?」
「わか、ってて、聞くな、よ」
「このまま、お願いだからもう動いてくれって言われるまで、焦らす作戦とかどうかな?」
「は? おまっ、ほんき、で?」
全くその気がなければ、わざわざ口に出さないだろうと思う。でも、本気でそういう事がしたいのかはわからなかった。どんな反応を期待しているのかさえ、さっぱりわからない。
「返答次第では、有りかなって思ってる」
「へんとう、って?」
「俺からテク盗んで、披露する予定ってあるの?」
「は?」
「セフレ作るタイプじゃないよね? でも直近で、誰かに試す予定があったりする?」
「え、なんで、そんなの」
「なんでって、有るって言われたら、ちょっとは酷いことしても許されそうだから?」
「は? だから、なんで?」
「告白させて、両想いだねって喜ばせて、なのに抱かれてる最中に他の誰かを抱く時の話とかされたら、嫉妬に目がくらんで酷いことしそう? みたいな?」
「いやいやいやいや。考えすぎだろ。っつーか、せめて、他の誰かじゃなくて、次は自分が抱かれる側になる可能性を考えろって」
密着感に興奮してる場合ではないのではと焦る。今はまだ全然体重が掛かってないけれど、このまま伸し掛かられたら身動きが取れなくなりそうだ。
「じゃあ聞くけど、さっきの、真似できないって、俺相手にやり返そうと思っての発言だった?」
初めて唇を奪った時に、慰められたいならお前が抱かれる側だと宣言されたのもあって、ずっと、こいつが抱かれてくれる事はないんだろうという認識でいたから、もちろん、こいつを想定しての発言ではなかった。
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