「あー……まぁ、それはさぁ……」
言ってしまってもいいかと思う気持ちと躊躇いとで、迷いながらも口を開く。
久々だし、自分で弄ったりもしていなかったから、ちゃんと相手を受け入れられるほど緩むのかは謎だけれど、相手だって無理にでも突っ込もうとは思っていないだろう。焦らされて苦しいとか、感じさせられ過ぎて怖いだとかはあっても、過去の行為で痛い思いをしたことはなかったし、そこは相手を信頼している。裂けたりだのの惨事にはならないはずだし、無理だと思ったらちゃんと引いてくれるはずだ。
だから、酔った体を好き勝手されて、抵抗しきれないまま流されるように突っ込まれるなんて冗談じゃないだとかの、相手が危惧するような不安を抱えて酔わなかったわけじゃないのは本当だし、理由は正直に伝えておいた方が良いのかも知れない。ただ、初めてを泥酔して終えるのは惜しいなんて言ったら、期待してると思われそうで恥ずかしい。
いやまぁ、正しく期待ではあるんだけども。さんざん拒んで、入れなくたって双方気持ちよくなれるならいいだろと言っていた口で、なるべくしっかり記憶に留めたいくらい期待を寄せているだなんて言えないし、できれば知られたくもなかった。
「しこたま酔って、後はお前に丸投げして全てお任せ。ってのでも、多分、上手く出来るのはわかってんだけど。つか、もしかしたらそっちのがすんなり出来るのかもだけど」
がっつり酔って意識がはっきりしていない方が、相手サイズを突っ込まれる心理的な抵抗感はかなり下がると思う。
「あ、もしかして、俺が相当酔ってた方が、お前がやりやすいとかだった?」
「えー……やりやすくはない、かなぁ。てか酔ってないほうが断然色々やりやすいとは思うけど」
「え、じゃあなんで酔わせようとしたんだよ」
「だって確実にガード緩むし。というかむしろ、そっちの都合のが大きいんだと思ってた」
「え? 俺の都合って?」
「素面じゃOK出来ないけど、酔ったらOK出せるライン、みたいなのがあるじゃん。少なくとも大学のときは、そこそこ酔ってたら後ろ弄ってもOKだったでしょ」
「ああ、なるほど……」
確かに、酔い過ぎたら尻穴を弄られてしまうのがわかっていて、酔い過ぎないラインというのも把握していた。だから相手は、相手の前でこちらがそのラインを超えて酔ったなら了承、というのを今日も判断材料にしていたってことらしい。
「だから酔ってないのにOK出るのが不思議というか、素直に浮かれていいのか迷ったと言うか。とりあえずOKは出すけどいつでも止められるように酔いたくなかった、とかはあるのかなって思ってた」
久々なのは事実だし、酔った勢いでやっちゃうのは怖いと思っても仕方ないしと、相手の言葉は続いていたが、こちらの意識が引っかかったのは「素直に浮かれて」の部分だった。
「なぁ、浮かれていいか迷うって何?」
「え、そりゃあ、酔わなくてもOK出せる関係になったって事かな、って思って」
そういうことじゃないのと言われたので、そうかもなと肯定しておく。酔ってやるのは勿体ない、よりは断然まともな理由だったし、突っ込まない恋人も有りだの言ってたのだって、実際恋人として触れ合ったらもっと先に進んでもいい気がしたとかで良いんだろう。二人の関係が今までとは変わったから、というのはなかなかいい理由だと思った。
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