イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった50

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 やがてググッと腹の奥を押し上げられるような感じがして、相手が動きを止める。時折漏らしていた呻き声が変わったのを自分でも自覚出来ていたから、それで相手が動きを止めたのだとは思う。
「ここまで、かな」
 腸内に行き止まりはないはずだが、これ以上先に進むのは難しいという判断だろうか。
 ここまでは押し込まれるまま奥へと入り込んでいたはずのものに、さっきは腹の奥を押し上げられたわけだから、こちらの体感的にもこの先へ進むのはそう簡単ではないのだろうとわかるし、ここまでという判断を有り難いと安堵する気持ちもある。しかし。
「全部、入ってない、だろ?」
 相手の腹なりが自分の尻に密着していない。素股で腰を振られた時には、相手の肌が尻とか腿裏とかに押し付けられる瞬間が間違いなくあったし、この後はあの時のようにグッグッと力強く中を擦られるのかと考えてしまう。
 あの調子で、力任せに押し込まれて奥まで入り込まれるのは正直怖すぎる。だったらまずはゆっくり、全部埋めてみて欲しい。
「無理しなくていいよ。ここまでだって、もう結構苦しいでしょ?」
「そ、だけど。でも、このまま続けんの、怖ぇし」
「怖い? って、どういう?」
「力任せに今より奥来られんの、は、怖い」
「えっと、そんなこと、しないけど」
 何を言われているかわからないと言いたげに眉を寄せる顔は、やっぱりどことなく渋面だ。気持ちよさに蕩けながら、何言ってんのかわかんないよと困って見せる顔ではない。
「お前が気持ちくなんねーなら、こんなんやってる、意味、わかんないだろが」
 突っ込まれても多分それなりに気持ちよくなれるんだろう、という気持ちから受け入れている行為ではあるが、その大前提に、相手は突っ込んだほうが気持ちよくなれる、というのがある。
 互いのペニスを同時に握って扱くより、突っ込んだほうが気持ちがいいとわかっているから、突っ込みたがるんだろうと思っている。だって相手は非童貞で、少なくとも女の体には突っ込んだ経験があるんだから。
「もう充分、気持ちよくなってるよ」
「ウソつけ」
 全然気持ちよさそうな顔じゃないと指摘してやれば、まだ緊張が勝ってるだけだと返ってきた。
「緊張? なんで?」
「そんなの、男抱くのも、抱かれたことない子抱くのも初めてなのに、好きな子抱くのも初めてなんだよ? 自分のが大きめって自覚もあるし、好きな子にはできるだけ痛い思いさせたくないじゃん」
 好きな子とするのがこんなに緊張するなんて知らなかったと言って、相手は大きく息を吐きだした後、へにょっと情けなく笑ってみせる。
「ばか……」
 好きな子、なんて言われ方が無性に恥ずかしくて、すぐにはそれ以外の言葉が出なかった。
「ごめんね。まさか俺が気持ちいいかを気にしてくれるとか、思ってなかった」
「なんでだよ。ほんとに抱かれるの気持ちぃってなれるかわかんねぇのに、お前受け入れてやんのなんて、お前がそっちのが気持ちぃだろうから以外、ないだろ」
「あー……そ、っか」
「他になんかあんの? てかまさか、それ以外の理由で突っ込んでんの?」
 なんか思っていたのと違う理由があるのかも知れないと、相手の微妙な顔や声音から察してしまう。でも他の理由なんて、全く思い浮かばなかった。
「それ以外、っていうか……」
 言い淀まれて、よほど聞かれたくない理由なんだろうかと思う。気づいちゃいけないことに気づいてしまったのかも知れない。なんて、心配はどうやら不要だった。
「気持ちよくなりたいとかより先にさ、好きな子と体繋げたいとか、好きな子に受け入れて貰いたいとか、そういうの、なんだけど」
 言いにくそうに、彼女相手にそういう気持ちはなかったのかと聞かれたから、相手が言うのを躊躇い気にしたのはどうやらその部分らしい。

続きました→

 
 
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