イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった55

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 恥ずかしさから、余韻に浸る振りで目を閉じたままでいれば、抱えられた足が降ろされ何やらごそごそと動く気配がする。
「ぅう……」
 小さく呻いてしまったのは、相手の動きに合わせてお腹の中にある相手のペニスが動いたせいだ。吐き出して萎えてはいるんだろうけれど、未だ充分すぎるほど存在を主張されている。
「あの、やっぱ抜いたほうが、いい?」
 やっぱってのは何なんだ。困ったみたいな声も気になって、仕方なく目を開けて相手の様子を探った。
「体、もう落ち着いた? よね?」
 ホッとした様子でこちらを窺う相手の顔は、困ったような声音とは違って、嬉しげで満たされているように見える。満足したなら良かったと思いながら、同意を示すように一つ頷いてみせた。
「このままぎゅってしたりキスしたり、は? ダメ、かな?」
「ん?」
「えっと、まだ、繋がってたいな、って……」
「あー……」
 なるほど。やっぱ抜いたほうがいいか、なんて聞いてきたのはそのせいか。
 しかし、なんでこんなに、こちらの機嫌を窺うような態度なんだろう?
 そもそもこんなことを言うヤツだったっけと思ってしまったが、はっきり言われたことはなくても、その片鱗は間違いなくあった気がする。
 うっとり気持ちが良かったと告げるこいつの甘い雰囲気に飲まれないように、他人の手のが気持ちがいいから抜いて貰っているだけ、という態度を崩さず、相手を拒絶してきたのはこちらの方だ。なんせ、あの頃は絶対に好きになりたくないという強い意志を感じていた、とも言われている。
 ずっと言えなかっただけで、恋人という関係になったから許されるんじゃないかと、口に出してみたってところだろうか。こちらの返事をソワソワと待っている姿がちょっと可愛い、なんて思ってしまうのもきっと恋人という関係になったからで、やっと言えたってなら叶えてやりたいとも思ってしまった。
「別に、いいけど」
 口だけでなく、両腕を広げて迎え入れる体制を取れば、ますます嬉しそうに破顔した相手の体が寄ってくる。
「うっ、ちょ、ゆっくり」
 できれば自身の大きさをもっと考慮しながら動いて欲しい。そう思いながらも、倒れてきた体を抱きとめた。
「ごめん」
「言っとくけど、抜かずの2発目まで許可する気ないからな」
「…………」
「大きくすんなよ?」
「無茶言わないで」
「じゃあやっぱ一回抜いて」
「わかった。大きくなる前には抜く。から、もうちょっと」
「ばぁか」
 最初からそう言えばいいものを。とは言わずに、腕の中の頭を何度か撫でた。
 ぎゅってしたりキスしたり、と言っていた気がするが、大人しく頭を撫でられていてキスを仕掛けに来る気配がないのは、キスなんてしたらそのまま2発目に突入したくなるってことだろうか。
 しかしただただジッと抱きつかれているのもなんだかこそばゆい。
「なんか喋れよ」
「んー、じゃあ、重くない?」
「今のところは」
「そっか。辛くなったら言ってね」
「おう」
「んー……」
 やはり何か喋れ、なんてのは無茶ぶりだったかも知れない。それでもこちらの要望に応えるべく、話題を探してくれてる様子に胸が暖かくなる。
 足は降ろされているが両足は結構しっかり開かれてその間に相手の体を挟んでいるし、お尻の中の異物だって当然無視できないけれど、悪くはない時間だと思った。

続きました→

 
 
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