金に困ってAV出演してみた18

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 トコロテンも出来れば撮りたいけどそれはまだ先かな、なんて言われて、どうやら限界の訴えは受け入れられた。
 着替えをしながらこれから撮る冒頭シーンについての説明を受ける。といっても素人の演技に期待などされているはずもなく、要するに、流れを把握しておいてってだけなんだけど。
 設定として覚えてて欲しいと言われたのは、もともと顔を知ってる程度にはご近所さんで、いいとこの大学に入ったというのを聞いて半ば無理やり家庭教師をお願いしたことと、どちらかといえば相手の方が一方的に狙ってて、自分はそれには全く気づいていないことだそうだ。それと、生徒に手を出すことなんて全く考えてなかった常識人を装って欲しい、とも言われた。
 正直、逆じゃなくていいのかという驚きが強い。どう考えてたって、見た目的にはこちらから生徒に手を出しそうなのに。
 でもどうやら、この見た目がAV出演用と知られているのもあって、無理してチャラく振る舞う必要はないという、彼なりに気を遣ってくれた設定らしい。なるほど。
 そうしてようやく冒頭シーンの撮影が始まる。問題集やらノートやらが置かれた勉強机に隣り合って座り、相手がこちらをニコニコと笑って見つめていた。
「先生ってさ、俺のこと、好きだったりする?」
「えっ?」
 素で驚いたのは、初っ端からさっき聞いた設定と全く一致していないせいだ。相手が一方的にこちらを狙っているって話だったのに。
「俺のこと、やらしい目で見てるよね」
「そんな、ことは……」
 焦って戸惑うのは、どう反応していいかわからないからだ。
「じゃあなんで、そんな勃起してんの?」
 さっきからバレバレだよと言いながら、相手の手が股間に伸びてきて、躊躇いなくギュッと握り込んでくるから少し大げさなくらいに体が跳ねてしまった。
「ああっっ」
「シー、静かに。騒いだら母さんが驚いて覗きに来ちゃう。ね、俺が抜いてあげよっか」
「ダメだ、よ」
 驚かせたことを詫びるみたいに、今度はヤワヤワと撫で擦られながらの誘惑に、すぐにでも頷きたいくらいだった。それでも、なんとか一応は抵抗してみせる。
「素直になりなよ。めちゃくちゃ期待した目、してるのに」
「それは、だって……」
 散々焦らされた後なんだから仕方がないだろ、という気持ちで恨みがましく相手を見つめてしまえば、相手の手が今度は顔の横に伸びてきて、色の抜けた髪を梳くように弄っていく。
「こんな見た目なのに、思った以上に真面目だよね。あそこの大学に受かったって聞いたときも、結構驚いたけど。でもそのおかげで家庭教師頼めたし、やっと近づける口実が出来たと思って嬉しかったのに」
「あの、なんの話……」
「俺は先生が好きだよ、って話。だからね、俺たち、両想いなんじゃないかって思うんだよね」
 そう思わないかと聞かれても、そうだね両想いだねと言って喜んで良さそうな雰囲気はない。生徒相手にどうこうなんて考えてない常識人設定と言われているし、これはやはり否定しておくべきなんだろう。
「そんなわけ、ない、だろ」
「だよね。知ってる」
「は?」
「今のはね、先生も俺が好きだったら良かったのになぁ〜っていう、願望」
 残念だけど仕方ないよねと言いながらも、股間へ戻った手が何度もそこを擦って刺激してくる。布越しなのに絶妙な力加減で、甘く腰がしびれて息が乱れてしまう。
「でもほら、先生の体は俺を受け入れてくれてるみたい。気持ちいいんでしょう? もっとしてって言ってくれたら、直接触ってあげるけど」
 もっとしてって言いたい。直接触ってほしいし、イカせて欲しい。でも言ってしまっていいのかがわからなかった。

続きました→

 
 
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