相手は少し気まずそうに、あれよりはもうちょっと太めだと申告してくる。もうちょっとってどれくらいだ。
こちらの想像する「だいぶ」とあちらが想像する「ちょっと」に差がありそうで怖い。
確かに指3本よりは太いかも知れないが、あのディルドよりはっきりと太いのなら、指が嫌ならディルドでと提案されたところで果たしてどれほどの意味があるのか。
いっそ見せてみろと要求するのもありかも知れないと思いつつ、とりあえずは話が違うという不満を訴えておく。
「てか3本で慣らせるって話はどこいった」
「いやだから、まだ慣らしてる途中でしょって」
「けど指、全部入ってるよな?」
既に指の付け根まで押し込まれているのは感覚でわかっている。
「そうだけど、こう、もっと柔らかく広げていくっていうか、あー……」
口での説明が難しいと思ったのか、ごめん一回抜くねと言われて、尻穴から突っ込まれていた指がゆるゆると抜けていく。それすら気持ちが良くて小さく喘いでしまったし、抜かれて空いた穴が物欲しげに収縮するのを感じてしまって、さすがに少し恥ずかしい。
「だからさ、今、ちゃんと3本入ってたけど、それってこういう状態なわけ」
3本の指先を細くまとめて尖らせた手を掲げて見せつけてくる。
ローションでどろどろに濡れているし、その指先が自分の腹の中に収まっていたのだと意識せずにはいられない。恥ずかしさに視線を逸らしたい気持ちもあったけれど、こちらを説得しようとしているらしい相手の顔は真剣だから、その手をしっかり見つめたまま頷き先を促した。
「それをさ、こう、」
言いながら、まとめた指先を逆の手の親指と人差指で作った輪で囲み、輪から突き出た指をこちらに向ける。
「広げていけるから」
まとめた指先を開くのに合わせて、指で作った輪はあっさりと指先が離れて広がっていく。
何を見せられたかはわかったし、彼がやろうとしていることも理解はした。突っ込むにはまだ早いというのも、わざとこちらを焦らそうとしているわけではなく、単なる事実だろうこともわかった。
ただし、理解したからと言って、すぐに再開できるかと言えば別だ。じゃあもうちょっと広がるまで頑張るからよろしく、なんて気持ちには到底なれない。やはり一度、確かめないと。
こちらに向かう指先が開かれていくのを見て、正直に言えば戦いた。
何をしたいかを示すためだけの誇張ならいいが、本気であの太さまで広げる気だとしたら、正直、新たにかなりの覚悟を決めなければならない。
相手の「もうちょっと太い」がますます信用ならなくなって、確かめずにはいられなくなった。
「なぁ、そのスカートの中どうなってる? お前ももう勃ってるのか?」
「そりゃ、勃ってるよ」
スカートという単語に突然何をという顔をされたけれど、続けた言葉で理解したのか、相手からは躊躇うことも恥じらうこともなく肯定が返る。
「じゃ、見せて」
「えっ?」
「見せろ」
「ちょ、そんな凄まなくても。てか見せてってのは……」
「お前のデカさを直接確認する」
「だよねぇ」
こちらの、見せるまでは再開させない強い意志を感じ取ったのか、諦めたように一つため息を吐き、置いてあったタオルに手を伸ばす。
濡れた手を拭った後で立ち上がるのに合わせて、こちらも上体だけは起こした。
「なんだろこのストリップでも披露するような恥ずかしさ」
「上手に脱げたら興奮するかも知れないな」
「それ絶対嘘」
確かに。相手のナニの大きさへ意識の大半が持っていかれているので、どれだけ色っぽく脱いでくれたところで、それに煽られることはなさそうだ。
「てかそんな睨むみたいに見られたら萎えそうなんだけど」
「いいからさっさと脱げよ。萎えてたらちょっとくらいはサービスしてやる」
「ま、じで」
口を開けて舌を出す仕草で、どんなサービスを期待したのやら。相手はそそくさとスカートのファスナーを下ろしていく。
その場にストンとスカートが落ちて、ニットのプルオーバーの裾から半分ほどレースの下着が見えている。そういや下着まで女性用なんだっけ。
「下着まで女性物とか、お前の女装、かなり拘ってるよな」
「や、これは一応メンズ」
「メンズ?」
「あるんだよ、メンズでもレースの下着」
「上は?」
「ブラも。やっぱ上下セットのがいいかなって思って」
ほらと言いながら、プルオーバーの裾を胸の上まで豪快に引き上げて見せる。恥じらいどこいった。
いやまぁ、ストリップだの恥ずかしいだのは、こちらの睨むような視線への揶揄だっただけだろうけど。
「へぇ」
「可愛い?」
「評価し難い」
「どのへんが?」
「そもそも下着に興味が薄い」
「なんだ残念」
「ただまぁ、スカートの下からトランクスやらボクサーやらが出てくるよりは、好感が持てる。金かかってんなとは思うけど、そういうとこへの拘りは好きかな」
「だよね。知ってる」
「てことは、お前の拘りじゃなくて、俺のため?」
「巡り巡って結局は俺のためだよ」
「そっか」
「それより、サービスしてくれる気があるなら、見せろじゃなくて、直接触って大きさ確かめてよ」
それもそうかと、請われるままに相手の股間の膨らみへ手を伸ばした。
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