可愛いが好きで何が悪い40

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 布越しに触れた相手の熱には、今更すぎて、躊躇いも抵抗感も特にないらしい。それよりも、息を潜めてこちらの挙動を見守る相手の気配や、布の下で脈打つペニスの存在感に、こちらの興奮が引き出される気がする。
 見上げて窺う相手の顔は、羞恥と期待とを混ぜてかなり興奮しているようだ。
「これ、まだデカくなるよな?」
 掌の下に感じる存在は、自分のモノと比べてもやや小ぶりで、しっかりとした硬さはあるがガチガチに張り詰めているという感じではない。
「うん。サービスに期待しちゃって、思ったほどは萎えなかったけど。てかサービス待てなくて、そのまま下着越しに撫でられてるだけでもマックス行きそうだけど」
 言われなくてもわかっていたが、見てるだけで興奮しちゃうと言葉でも伝えてくる。そりゃ良かったと思いながら、口には出さず、とりあえずは布越しに軽く握り込む。
「ふ、ぁ……」
 その輪郭を辿るように手を滑らせ、形を確かめながら扱いてみれば、気持ち良さげな吐息が上から降ってくる。同時に、硬さと存在感がグッと増した気がする。
「お前も、結構漏らしてたんだな」
 レースが多いことと布の色の関係か、育ったペニスの先端が触れる辺りの布が思いの外ぐっしょりと湿っていることに、触れるまで気づかなかった。
「カウパー?」
「そう」
「そりゃあ、あんなの見てたらそうなるって」
「今度から、お前のスカートの中も、もうちょっと想像するわ」
「ツッコミどころが多いんだけど、それは俺が、お前の体の準備しながらカウパー出しまくってるって思うと安心するって話? それとも興奮する方?」
 やはり自分だけが興奮させられているわけじゃない安心のが大きいだろうか。いやでも、相手の興奮は顔やら声やらからも充分伝わっていたし、相手の興奮に釣られる快感もあるのだから、興奮が増す方かも知れない。
「どっちも、だな」
「興奮もするんだ」
 意外という顔をされる方が意外だ。
「そりゃするだろ。俺の興奮の何割かは、お前の興奮に釣られてる分だし。てかお前だって俺が感じるの見て煽られるんだから、俺だってお前が興奮してるの見せられたら煽られるんだよ」
 なるほどと納得する相手に、ついでとばかりに、お前の女装もそう悪くないよと伝えておく。
「俺のために、目一杯俺好みに寄せてくる健気さとか、好みの顔の子がエロい顔晒して俺に興奮してるのとか、俺が感じてるの見て嬉しそうに笑うのとか、自分が抱かれる側でも普通に興奮はするっぽい」
「ああ、積極的に俺を抱きたいとは思わないだけで、そういうとこはしっかり男目線てことね」
「そういうこと」
「そっか。俺に、興奮してくれるんだ」
 とろけるみたいな「嬉しいなぁ」の声と、手の中で脈打つ熱。随分と甘やかな声を出しながら、下半身はこんなにも興奮を示すのかと思うと、そっちの方がなんだか意外だった。
 次からは、嬉しそうにとろける声を出された時に、彼の興奮をより感じ取るようになりそうだ。この手の中の熱を、覚えておこうと思う。
「なぁ、これ、まだデカくなる?」
 嬉しいなぁの言葉とともに脈打ちはしたが、軽く扱いたときのように、質量がぐっと増すような感じはなかった。手の中の感触からすると、今のところ、ドン引きするほどのデカはなさそうだ。
「多分、ほぼほぼマックス」
 もっと大きくなると言われなかったことにまずはホッとする。
 ほんとに下着越しに擦られただけでマックスじゃんと自嘲する相手に、脱がすぞと声をかけて下着のウエスト部分に手をかけた。張ったペニスに引っかからないように気をつけながら引き下げれば、ボロリと目の前に相手の勃起ペニスが現れる。
「うーん……」
「ちょ、何その微妙な反応!?」
 目の前のペニスを凝視しつつ思わず唸れば、相手が少し荒らげた声を上げた。羞恥と焦りらしきものが滲んでいるようだ。
「ちょっと太め、の、ちょっとがちょっとで良かった」
 確かにディルドよりは少し太いかもしれない。自身のと比べたら、太い上に長さもある。むしろ太さよりも長さのが、比較したときの差を感じるかもしれない。
 布越しで感じていた太さはそこまで外していなかったが、この長さはわからなかったな。
「そりゃどうも。って、全然、良かったって反応じゃなくない?」
「いやだって、お前、こんなだったし」
 言いながら、掲げた手の真ん中3本の指を大きめに開いて見せる。
「いやそこまで広げてないでしょ。てかあれはわかりやすく説明しただけっていうか」
「まぁそれは誇張だったってことでいいんだけど」
「いいんだ」
「太さどうこうより、思ったより長くてどうしようかと」
「あー……まぁまぁ大きい、は、実は長さにも掛かってる」
 なのに、ちょっと太いだけとか言ったわけか。
 ただ、長いなとは思ったが、怯むほど長大かといわれるとそこまででもない微妙さだ。微妙すぎて迷っているともいう。
「今、指よりディルドのが長さあるよなとは思ってる」
「ああ、そういう話」
 つまりは、できればディルドは使いたくない相手の意志を尊重してやりたい気持ちと、ディルドで慣らしておいたほうがいいんじゃないかという葛藤だ。

続きました→

 
 
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