結局、括約筋を広げたいのであって、腸内を広げようとしているわけじゃない。という説明を受けて、元々の予定通りディルドは使わず指だけでもっと慣らすことになった。
腸内は行き止まりがあるわけでもないし、入り口さえ突破してしまえば後はなんとかなる。長さはあまり関係がない。という言い分もまぁ間違ってはいないんだろう。
アナルセックスのやり方を検索した時に、結腸責めとかって単語を見た記憶がある。という事実に関してはわざわざ触れなかった。長いと言ってもおののく長さではないから、そこまで届くのかどうかもわからないし、たとえ届くようなことがあったとしても、初めてでそこを責めてくるなんてことはしないはずだ。
再開するに当たって、布越しに触れても間近に見ても特に嫌悪感はなかったし、直に触れるのも問題無さそうだし、気分が乗ったら口も使えそうな気がするから、お前にもサービスしてやるよと言ってみた。いわゆる69の提案だ。
かなり驚かれたが、こちらの積極的な姿勢はやはりかなり嬉しいらしい。とくに拒否する理由もないとのことであっさり了承されたあと、どちらが上になるかで少々揉めたけれど、最終的には、尻穴がよく見えたほうがいいという理由で、寝転がった相手をこちらが四つん這いで跨る形に決まった。
先程までの慣らし過程で結構気持ちよくなれていたから、そんな姿勢で尻穴を弄られる不安はもちろんある。主には、気持ちよくなりすぎて足に力が入らなくなったらどうしよう、というものだ。
まぁ、それは杞憂でしかなかったけれど。というよりは、こちらの思惑がうまくハマった結果かもしれない。
布越しに軽く扱いただけであれだけ興奮を示したのだから、直に触ったり舐めたり吸ったりすればどうなるか、想像するのは簡単だ。注意すべき点は、相手がうっかり果ててしまうような強い刺激を送らないことで、相手に早く挿れたい、もっと気持ちよくなりたい、と思わせれば成功と思っていた。
こちらの思惑に相手が気づいた時には、既には後に引けないくらい相手も興奮しきっていて、結果、もっとゆっくり慣らすつもりだったのにという文句だか嘆きだかを吐かれながら性急に尻穴を広げられる羽目になった。しかし、急がれても乱暴ではなかったし、既に慣らされていた分もあって、ちょっと苦しい程度で済んだのでなんの問題もない。
快感に腰が砕けて相手の上に崩れ落ちるような羽目にはならなかったし、ひたすら焦らされるあの快感に再度晒されるのに比べたらかなりマシだったと思う。
今回はむしろ、相手の方が焦らされていたのかもしれない。
こちらも相手が果てないように注意していたが、相手だってこちらを散々焦らしておいて自分は暴発なんて目にはあいたくなかっただろうし、何度か、早く挿れたい的な泣き言が漏れてもいた。最低限ここまでは慣らしたい、という基準らしきものが彼の中にははっきりあるようだったから、穴の準備ができる前に興奮しきってしまって、かなり苦しそうだったと思う。
ようやく相手が納得のいく柔らかさに広がって指が抜かれたあと、双方身を起こして顔を合わせたときの、相手の興奮しすぎて泣きそうな顔はなかなかに印象的だった。可愛いと表現するのは若干躊躇うが、間違いなく愛しいなとは感じる。
その顔を見るなり笑ってしまったのは申し訳なかったと思うが、それは愛しさが溢れた笑いなので許して欲しい。ついでに言うなら、指摘されるまでもなく、自分もそうとう興奮を晒す顔をしているだろう自覚はあった。
こちらが先に笑ってしまったから、相手は酷いと嘆く反応になったけれど、もしこちらが笑わなかったら、相手だってきっとこちらの興奮を前に愛しさを溢れさせたに違いない。
相手が手早くゴムを装着するのを待てば、ようやく準備はすべて完了だ。
「あのさ、」
なのに最後の最後で、まだ何かを迷って見せる。
「なんだよ」
「初めては後ろからのが楽らしいんだけど」
「正常位でいい」
言いながら上体を布団の上に倒して、相手に向かって立てた膝を広げて見せる。
だけど、に繋がる先の言葉は聞かなくても分かったし、顔を見ながらしたいという気持ちはこちらにだってある。自分を抱く相手が愛しい恋人だと、この目で見える方が安心しそうだとも思う。
あとは、なんのためにここまで慣らしたんだという気持ちも少々。
できれば正常位でしたいと考えながら慣らしていたのなら、その彼が大丈夫だと判断するまで柔らかく広がった穴は、きっと正常位でも問題なく繋がれるだろう。相手の経験値に対して、妙に信頼しているところがあるのは否めない。
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