大学付属の私立高で出会ったそいつとは、高校と大学の7年間、なんだかんだつるんで一緒に居ることがかなり多かった。さすがに就職先は別で、ものすごく遠くはないものの仕事帰りにちょっと誘えるような近さではない距離に離れて、あまりの喪失感にようやく自分の気持に気付いた。
気付いたばかりで動揺の酷い中、相手から近くまで行く用事ができたから飲もうと誘いが掛かって、結果、アルコールの力を借りて勢いで告白した。驚いたことに両想いだった。
そしてそのままの勢いでヤッてしまったが、さすがにそれは失敗だった。無知は罪だ。しばらくケツ穴が痛くて泣いた。
でもその程度で気持ちが変わることはなく、距離はあっても月に一度か二度は時間を作って会うようになったし、旅行の計画なども立てた。初回の失敗が尾を引いて、突っ込むようなセックスはないものの、手で抜きあうような事は何度かしていた。
そんな関係が一年弱続いた頃、相手に後ろを弄りたいと言われた。どうしても無理なら自分を開発するから、そしたらお前は俺を抱けるか? とも聞かれた。要するに、お前と繋がるセックスがしたいと言われて、後ろを弄る許可を与えた。彼を抱けないことはないけれど、どちらかと言えば抱かれたい。だってあれはあれで、痛かった以外は結構良い思い出になっていたのだ。
そんなわけで今現在、たっぷりのローションと共に、彼の指がその場所を拓こうとしている。
「ァッ……んっ……も、そろそろ……」
「まだ、だ」
彼自身、初回がトラウマ気味なのか、結構拡がったと思うのになかなか挿れてはくれない。痛みはほぼないし、多分もう大丈夫だと思うのに。
ハフハフと喘ぎながら、若干疲れて目を閉じた。中に入っているのは指だけど、彼のペニスが出入りするイメージを重ねて見る。というよりは、以前抱かれた時の事を重ねた。
多少酔ってはいたが、何度も繰り返し思い出していたのもあって、容易に思い出せる。好きだと繰り返されながら、激しく熱を穿たれ求められ、体は痛いのにそれでも胸の中はトロトロの幸せに満ちていた。
早くあの時みたいに、たくさんの好きと一緒に激しく突かれたいなと思う。いやでも、今指が出入りしてるくらいのスピードで、時間を掛けてゆっくり捏ねられながら、好きって言われてキスされるのも多分きっとたまらなく幸せだ。
「ぁっ、…あっ、ぁんっ……!?」
零す自分の声が甘ったるく響いてしまい、慌てて目を開け両手で口を覆う。妄想で善がるなんてさすがに恥ずかしい。
「なんで口隠すんだよ。いい声、聞かせてくんねーの?」
「だっ、って……」
手の中に吐き出す声はくぐもっていて、相手にははっきり届かなかったかもしれない。
「お前のいい声、聞きたい」
じゃあ早く突っ込んで、あの時みたいに好き好き言って。なんて言えたら良いのかもしれないけれど、手で口を覆ったまま首を横に振るのが精一杯だった。
「まぁ、声我慢してるのも、可愛いっちゃ可愛いけどさ」
可愛いなんて言われて、体の熱が上がっていく気がする。
一度想像したらそう簡単にリセットは出来ず、目を閉じなくても、好きだ好きだと繰り返す相手の声が頭のなかを回っている上、そんな追撃をされたらたまらない。手で口を覆っていても、零す息の甘さも熱さも到底隠し切れない。
「ふぅっ、んんっ、ん、んんっ」
「そろそろ、いいか?」
ようやくかと思いながら必死で頷けば、やっと指が引きぬかれていく。足を開かれ熱い塊が押し付けられて、期待がゾクリと背筋を走った。
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