親友の兄貴がヤバイ10

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 片側を口で、もう片側はやはり手で、同時に胸の尖端を弄り倒す。吸ったり引っ張ったりしたせいか、その場所は小さいながらも明らかにふっくらと固く勃ち上がっていて、気持ちよく感じてくれているのかはわからないものの、時折相手の体がヒクリと波打つのがわかる。
 舌で転がし柔らかに歯を立て、ちうちうと吸い上げるのに夢中だった。左右を交代し、濡れた乳首を指先で擦るのも、酷くイヤラシくて興奮する。
 息継ぎで吐き出す自分の息が熱い。
 興奮で自分自身の体温も上がっているし、相手の胸に顔を埋めている状態なのと、そもそも頭がほとんど掛布の中だというのもあるだろう。まだまだ胸を吸って弄ってしていたくても、ベッドの中は息苦しいほどに暑くなっていて、しかたなく一旦顔を離した。
 起き上がって深い呼吸を何度か繰り返した。篭っていない新鮮な空気が美味しい。
 その後でバサリと掛布を捲って剥がす。前回は手で弄っただけだったから終始掛布の中だったけれど、さすがにこのまま先へ進むのは無理だと早々に諦めた。恥ずかしいだとか嫌だとか言われるかもしれないが、そう言われたら口の中で射精してくれるって言われたことを持ち出そうと思う。ベッドに潜ったままでフェラなんて、絶対に暑すぎて出来ない。
 内心そんな意思を固めるこちらに、掛かる声が何もない。それに気づいて窺い見た相手は、口元に手を当てた状態で、困ったようにこちらを見上げていた。
 もしかして、こちらが胸を弄るのに夢中だった間、ずっとそうして声を堪えていたのだろうか?
 そんな疑惑を抱きながら、部屋の明かりの下に曝け出された相手の胸の先の片方を、指先でキュッと摘んでみた。ピクンと小さく身を跳ねながら、辛そうに眉を寄せる。口元に当てていただけのように見えた手は、今はグッと口を押さえつけていた。
 恥ずかしくて喘ぐのを耐えているのか、それとも嫌だとこぼしてしまうのを堪えてくれているのか、その様子からではわからない。
「声、聞かせてくださいよ。少しは気持ち良かったですか? それとも嫌なのを耐えてます?」
 言いながら摘んだ乳首をクリクリと指の腹で擦ってやれば、口を押さえつけていた手が外され、止めろと言わんばかりに手首を強く掴んできた。すぐに指を止めれば、噛み締めていた口から大きく息を吐く音が聞こえてくる。
「すみません。嫌だったんですね」
 性感帯とは言っても、未開発で感じまくれるような場所でないことはわかっている。多分きっと、現段階では自分ばっかり楽しい場所なのだ。
「じゃない。やじゃ、ない」
「やじゃないって顔じゃないですよ?」
「胸だけ弄られてアンアン言うのなんて無理だって」
「男性だって胸で感じるようには、なれるみたいですけど。でも確かに初めてで感じろなんて無理な話ですよね。俺も自分本位に弄り回した自覚ありますし、上手に出来なくてすみません」
「ちっがぅ」
 一度怒ったように声を荒げた後、その勢いはどこへやらという弱々しさで、恥ずかしいだけで感じてなかったわけじゃないと教えてくれたが、先程、弟相手に本気で嫉妬すると教えてくれた時以上に真っ赤な顔をしている。
 感じていると言わせて羞恥心を煽るプレイをしているわけでもないのに、結果的にそうなってしまっているのが居た堪れない。そういうプレイで言わせているなら、もっと素直に興奮できそうなのに。それくらい、恥ずかしそうに感じていたと話す相手は可愛いのに。
 恥ずかしいのを堪えてあれこれ教えてくれる姿は、可愛くて可哀想でなのに随分と頼もしくもある。けれどこんなことをさせ続けてはいけない。相手の優しさに甘え続けてはいけない。
 だって恋人となってくれた相手を、目一杯甘やかしてやりたいのはこちらの方なのだから。
 自分だって、本来ヘテロで女性としか付き合ったことがない、五つも年上の男を抱くのだという覚悟を決めてきたはずなのに、そのための知識だって色々詰め込んできたはずなのに、でもやっぱり相手を目の前にすると難しい。
 結局また、気を遣わせてしまった。
 困った顔や戸惑う顔や泣きそうな顔や真っ赤な顔を見る限り、確かに相手にだって余裕はないんだろう。なのに、年上の余裕なんてベッドの中に持ち込めないと言いながらも、頼りないこちらを引っ張ってくれる。大丈夫だからと次へ進む勇気をくれる。
 抱かれる覚悟が決まっているという相手を、もっと信じようと思った。その覚悟があるからこその態度なのだと、わからないほど鈍くはない。
 ごめんなさいとありがとうを心のなかでだけ呟いて、もっとしっかりしなければと思いながら、起こしたままだった体を倒して再度彼の隣に寝転んだ。

続きました→

 
 
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「親友の兄貴がヤバイ10」への4件のフィードバック

  1. こらえきれず読んでしまいました……T_T
    胸の件でのすれ違いに胸キュンしました(笑)
    切なくなったり萌えたり、有坂さんの誤解のさせ方が大好きです。親友頑張ってT_T!

  2. 睡魔さん、また途中で読ませてしまってというか、なかなか終わらずすみません。(^o^;
    たまには攻め側の視点で、じっくり初めての相手を弄り回す描写がしてみたいような気持ちになってしまって、この二人にはもう暫くこんな感じで焦れったく進めて貰う予定です。
    壮大な誤解とスレ違いも楽しいですが、ちょっとした誤解で、違う!そうじゃない!ってのも楽しいですよね〜
    大好きのお言葉どうもありがとうございました(≧▽≦)

  3. ちょっとした誤解かなり胸キュンします!
    思いっきりじっくりやって下さいT_Tレイ様のそれ大好物です!

  4. 睡魔さん、お返事ありがとうございます(^^♪
    進み悪くてモタモタしてるなーでも書きたいんだよなーという迷いもないわけではないので(迷っても結局書きたいもの書いちゃうんですが)そう言って頂けるとホッとします〜
    書きたいシーンがいくつかあるので、それらが無事書けるように頑張りますね!

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