兄は疲れ切っている12

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 落ち着いたらシャワーしてきていいよと言って、雑にゴムを外しただけの、体力的にと言うよりは精神的に疲れた体をベッドの上に投げ出せば、のそりと起き上がった兄が中途半端に萎え掛けたこちらのペニスに手を伸ばしてくるから驚いた。
「なに?」
「何って、お前、イってないから」
「うん、まぁ、そうだけど。で?」
「で、って……」
「握って扱いてイカせてくれようとしてんなら、別にしなくていいよ」
 一晩に何回もは付き合えないと言われて、それなら手を貸せと言って兄の手で抜いた事は確かにある。けれど、途方に暮れてただただ手を差し出される、みたいなことをされたから一回で懲りた。
 つまり兄とのセックスは、だいたい双方一回イッたら終了だ。以前は兄が前戯段階で先に出してしまうことも結構あったけれど、射精したらいわゆる賢者タイムが発生してしまうので、慣れた今はもう、そんな失敗はほとんどなくなっている。
 イカせてやることもなく、しつこく焦らしがちになるのは、きっとそれらのせいだった。互いをギリギリまで高めて、濃厚な一発にしたいと考えてしまうのは仕方ないと思う。
「動けんならシャワー行ってこいって。多分、その間に治まってるから」
「けど」
 そういう気分じゃないんだと言ったら、しばらく迷った後で、口でするのは? と問われて、倒していた背を思わず浮かせた。
「は? え? 口で?」
「興味ない、てことはなさそうだよな?」
「そりゃなくは、ない、けど、えっ?」
 前戯の流れで兄に握らせ扱かせることは今でも時々するけれど、口でしてくれなんて頼んだことはない。なし崩し的に抱かれているだけの男に、男のモノを口に入れろなんて言えるはずがなかった。というか、手ですらただ差し出すだけだった男に、一体何が出来るというのか。
「そりゃ、上手くはない、かも、だけど」
 嫌かと聞かれて嫌っていうかと言葉を濁してしまう。
「別に、無理してそんなこと、しなくていいんだけど」
「嫌じゃないなら、したい」
「うぇっ!? マジで??」
 兄の方からしたいだなんて言い出す衝撃展開に、思いっきり驚いて変な声を上げてしまえば、兄はこちらの視線から逃げるみたいに俯いて、けれど確かにコクリと頭を縦に振った。そしてそのまま、ゆるく勃ち上がったままのペニスを握り込んだかと思うと、そこへ向かって頭を落としていく。
 前髪が落ちて影になってはいるが、両肘を突いて軽く背を浮かせているだけでほぼ寝ている体勢からだと、口を開いたのも、そこからチロリと舌先が伸ばされたのも、その舌がペニスの先端に触れるのも、見えていた。
「ふ、…ぅっ……」
 緊張の滲んだ吐息が自分の口からこぼれていく。気持ちが良くてというよりは、視覚から受け取る衝撃のでかさに思わずといった感じだった。
 兄は少しためらった後、何度か先端をチロチロ舐めて、それからパクリと亀頭部分を咥え込む。
「ぁあっっ」
 ぢゅ、と強めに吸われて、今度こそ快感で声が上がった。こちらの声に反応してか、ちらっと上目遣いに様子を探ってくるのが、強烈にエロい。
 兄の口の中で、ペニスがドクリと脈打ち膨らんだせいだろう。口は離さなかったものの、ビックリした様子で目を見張られて、逃げるみたいに背中をベッドマットの上に落とした。あんまり見てると、暴力的な衝動が湧きそうだった。

続きました→

 
 
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