結局フェラは断って、意外と難しいだの言いながらも楽しげに口を使ってコンドームを着けていく兄を見守って、更には、兄が自分で腰を落としながらゆっくりペニスを体内に飲み込んでいく姿を眺めている。とはいえ、こちらも体は起こしたままの、いわゆる座位で繋がろうとしているせいで、見ているのは主に兄の顔なのだけれど。
もちろん、すると言い出したのは兄の方だった。しかし、抱かれる事そのものには慣れているとは言っても、当然、兄が自分でというのもこの体位も初めてだ。しかも、挿れて欲しくてたまらない、なんて程焦らして居ないどころか、慣らしそのものが充分と言い切れない状態でもある。
だからもし苦痛が強そうなら、兄が望んだ事だとしても中断するつもりでいた。けれど目の前の兄は、苦しそうではあるものの、それ以上に興奮と喜びとが強そうだ。
やがて兄の尻タブが腿に触れ、大きな安堵の息とともに、ゆっくりと兄の体重が掛かってくるのがわかる。
「これで、全部」
入った、とどこか誇らしげに告げてくる顔が可愛くて頬が緩んだ。もちろん加減はされていて、全体重預けられているわけじゃないから、全部と言うにはもう少し先がありそうだけれど、そんな指摘はせずにお疲れ様とその背を撫でた。
んふふっと満足気に笑って軽いキスを一つ落とした後、兄が甘えるみたいに抱きついてくる。抱きとめる胸の内がほっこりと暖かい。
「さっきも思った、けど、お前が近いの、凄く、いい」
ほぅと甘さを含んだ柔らかな息を吐きながら言われて、同感だと返す。
「今日は兄貴っからいっぱい抱きついてくれて、凄く、嬉しい」
甘ったれた可愛い顔見ながらセックスするのが夢だった、とつい零したら、兄がなんだそれと言って笑う。
「疲れ切って、雄っぱい貸してって甘えてくる兄貴が可愛かったから、男同士のセックスのやり方調べたんだって言ったろ。セックスするようになってからも、雄っぱい揉みに来た時だけは甘えてくれてたから、襲いかからないように我慢するの大変だった」
兄はやっぱりなんだそれと言って笑っている。
「そこで襲いかかったって、甘えてくれてるままの兄貴を抱けるわけじゃない、ってくらいはわかってたから、我慢できてたけど。でも、安心した顔してうっとり雄っぱいに埋もれてる兄貴見ながら、何度、いつになったらセックス中にもこういう顔見せてくれるようになるんだろ、って考えたかわかんない」
「ねぇ、俺、今、安心してうっとりした顔してんの?」
「満足そうなのと、ホッとしてる感じは、する」
「そっか」
「うん。で、うっとり甘えてくれる顔も、見せてもらえると思ってる」
気持ちよくイッた後とかにと言いながら、兄の背を抱いていた手をするりと肌に沿って落とした。腰を掴んで軽く下から突き上げる。
「ぁんっ、待って」
「辛い?」
「じゃ、なくてっ、俺が、動く」
抱きついていた体を少し離して、両肩に手を置いた兄が軽く腰を揺らしだす。
「んっ、ぁ、俺のが、体力ない、から、先にやらせて、な」
でも、と続けながら、兄が艶やかに笑ってみせる。どこか、悪戯めいた笑みでもあった。
「俺に煽られて我慢できなくなったら、その時は、襲って」
今のこれだけで充分に煽られているし、今すぐガツガツと貪りたい欲求は当然あった。けれど、兄が自分で腰を上下させ尻穴で勃起ペニスを扱いてくれるのを、みすみす逃すわけにはいかない。兄自身が言うように、兄の方が体力がないのは明白で、ガッツリ貪ってこちらが一度落ち着いてから、再度兄に動いてくれなんて要求が通るわけがないのもわかっていた。
あまりに魅力的な申し出に、つまりは、今すぐガッツリ貪りたい欲求をしばしグッと飲み込むしかない。んんんっと唸ってしまえば、兄が悪戯成功とでも言うように楽しげに笑った。
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