兄は疲れ切っている35

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 すぐにまた奥を突いてあげる、という約束は結局ほとんど果たされなかった。こちらの射精後、割とすぐに、宣言通り抱き潰してしまったせいだ。
 意識が飛んだ相手の体を揺さぶって楽しむ嗜好はない。というよりも、もう無理などのギブアップがないまま、がくっと反応が鈍ったと思ったら意識を飛ばされていた、という展開に焦ったのもある。
 そっと繋いだ体を離して、兄の様子を確かめる。ただただ寝てしまったようにも思えたけれど、不安で軽く頬をぺちぺち叩いてしまえば、すぐにゆっくりと瞼が開いていくからホッとする。
「気分は? 大丈夫?」
 状況が把握できていないぼんやりとした顔に問いかけた。
「意識、飛んでたんだけど」
「……ああ、それで」
 ふっとおかしげに笑って、心配したかと聞いてくる。
「したよ。当たり前だろ。で、どうなの? 大丈夫?」
「ん、だいじょぶ、多分」
「そう」
 今度こそ大きく安堵の息を吐いた。
「まだ、する?」
 さすがにしないと返せば、少し残念そうに、そう、と返ってくるから、もしかしてまだ続けたいのかと聞いてしまう。
「続けたい、というか、なんか惜しい、気がして」
「惜しいって?」
「んー……今日、ほんと、ずっと幸せだし、きもちぃのもすごいし、終わるのもったいないな、って」
「あーもう、くっそ可愛い。ね、俺は今日だけにする気、ないんだけど」
 次回もその次も更にその次だって、これから先はいつだって、最初からずっと幸せでうんときもちぃセックスをする予定だと言ってやる。
「あぁ、そっ、かぁ」
 ふにゃんと蕩けるみたいに笑ってくれるから、愛しくてたまらなくなる。
「そっかぁ、次も、ある」
 しみじみ繰り返して、またふふっと嬉しげに笑っている。
「わかったら、少し休憩してて」
「今日、泊まりで、いいよ」
「ん、それはそうなりそうだけど、だからって、このまま寝ちゃうわけにいかないだろ」
 風呂の湯ためてくるから待っててと続ければ、このまま寝たい、と返ってくる。一度は意識を飛ばしたほど疲れ切っているのだろうから、そうさせてやりたい気持ちはあるけれど、だからってじゃあこのまま寝ちゃおうかと言うわけにはいかなかった。
「風呂たまったら起こすから、それまで寝てていいよ。でも、風呂なしはなし」
「なんで」
「なんで、って、二回分、中出しされてんのわかってる?」
 疲れ切ってなきゃ、風呂に湯がたまる間も体を起こして、中に吐き出されたものが重力に従い落ちてくるのを待っていて欲しいくらいだ。とまで言えば、そうだった、と頬をうっすら赤く染め、恥ずかしそうに視線を伏せてしまう。そのくせ、嬉しげに口元を緩めて、自分の腹を撫でる仕草をする。
「そういうわけだから、とりあえず、風呂の湯入れてくるから」
 今日はもう終わりで、次もその次もまだまだ先はあるのだと思っていても、どうにも不埒な気分に襲われそうで、慌ててバスルームに逃げ込んだ。

続きました→

 
 
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