サーカス9話 騎乗位

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 ガイを別の部屋へ移動させた後、セージの追求を仕事の邪魔だと一蹴したビリーは、それでも、セージから渡される本だけはガイに届け続けていた。
 ガイはセージに会えなくなったことも、部屋の環境の悪さにも、やはり文句の一つすら言わなかったから。だから余計に、何かしら、できることならしてやりたいと思うのかもしれない。
 それと、理由はもう一つ。ガイがわずかながらも見せるようになった、ビリーに対する笑顔だ。セージからの本にも、防寒用に差し入れた毛布にも、ガイはそれらを持ち込むビリーに向かって喜びを示して見せる。
 一番喜ばれたのは、ビリーが買い与えた辞書だった。単語の意味を自分で調べられるようにと思って渡したソレの使い方を、当然ガイは知らなくて。けれど、ビリーに教わった後は、本を読み返すよりも辞書を開いていることのが多くなった。
 辞書を読んでいると言ったほうがいいかも知れない。さすがにそれには、ビリーも苦笑するしかなかった。
「面白いのか、そんなのが」
 その問い掛けに、ガイは酷く真面目な顔で頷いてみせる。
「そりゃ良かった。そこまで楽しんで貰えたら、贈ったかいもあるってもんだ」
 ビリーが思わず洩らした本音と、それに伴う笑顔に。ガイの視線が驚きとともにまっすぐビリーへと絡みつく。
「どうした?」
「これ、買うてくれたん、ビリーやったんか……」
「ああ……セージからだと思ってたか。まぁ、セージがお前に本を届けさせ続けなきゃ、俺がソレを買うこともなかっただろうからな。セージには感謝しておけよ」
「ビリーには……?」
「感謝より、立場をわきまえた奉仕で応えて貰いたいもんだ」
 ほんの一瞬、ガイの瞳に影が射す。ビリーにとっての自分の存在価値を、今ではガイも充分に理解している。
 ビリーはガイに向かって直接『従順な性の奴隷』となるよう調教しているとは言っていなかったが、館で聞いた噂の端々と、セージと、そしてビリーの与えた辞書が。ガイに、自分の立場と、ビリーの立場と、『性欲を満たすためのペット』として飼われる事の意味を知らせたのだろう。
 敷かれた布団の上に座って辞書を開いていたガイは立ち上がり、ビリーの腰かける椅子へと向かってくる。
 正面へと立ったガイに、ビリーは挑むような笑みを見せた。指示されてではなく、ガイが自主的に行う奉仕は初めてだ。
 現在はガイの身体を快楽に慣らす調教が主だったから、やはり、口で射精を導くまでが限度だろうか。どこまでできるか、見物だな。
 ガイがビリー相手に感謝の気持ちを表す気になった幸運を、最大限利用してやろうと考えながら、ビリーは近づくガイの唇を受け止めた。
 
 慣れ親しんだ手順で、ガイはビリーの股間に顔を寄せる。フロントをくつろげ、まだ硬さのないソレを探り出し、まずは口に含んだ。
 口内でクチュクチュと舐め吸い上げられれば、ゆっくりと頭をもたげ、やがてはガイの小さな口では含みきれないほどになる。充分に質量を増したソレから一旦唇を離したガイは、ビリーを窺うように顔をあげた。
「まさか、これで終わりだなんて言う気じゃないだろうな?」
「ちゃうねん。その……」
 ビリーの問い掛けに、ガイの視線が、戸惑いながらも部屋の隅に敷かれた布団へと移動していく。そんなガイの顎を掴み、視線を自分へと向けさせたビリーは、その瞳をじっと覗きこんだ。
「ビリー……?」
「誘いに乗ってやってもいいが、教わっても居ないことが、お前に出来るのか?」
「ビリーには教わっとらんけど、初めて、てわけやない、で?」
「館、か……」
 ビリーの呟きに、ガイは自嘲的な笑みを見せながら軽く頷いた。
「なら、ためさせて貰おう」
 椅子から立ち上がったビリーは布団へと移動し、取りあえずそこへと腰を降ろす。後を追ってきたガイは、けれど思わずと言った様子で、ビリーの前で立ち止まってしまった。
 考えてみれば、鎖に繋いだ状態以外で、ガイに見下ろされるのは初めてだ。
「続きをするんじゃなかったのか?」
 ハッと我に返ったガイは、慌てて着ていた服に手を掛ける。そうして全裸になってから、ガイもビリーの腰の横へ膝をついた。
 再度ビリーのモノへ唇を寄せたガイは、今度はたっぷりと唾液を絡ませる。痛みを多少なりとも軽減させる術を、経験的に知っているのだ。しかし、それだけでは身体を傷つけずには済まないだろう。
 自分の身体を自分で慣らし広げることまでは、多分、できない。ビリーはどこで静止するべきかで迷っていた。やがてビリーの腰をまたいだガイに、ビリーはようやく静止の言葉をかける。
「そこまででいい」
「えっ?」
 ガイは何故止められたのか理解しかねると言った表情で、ビリーを見つめていた。
「俺の予想以上に、お前はよくやったよ。確かに、あそこではお前が痛みを耐えればそれで充分だったろう」
「それじゃ、あかんの……?」
「何のために、俺がお前の身体に気持ち良さを教え込んでると思ってんだ?」
 腰をまたいで開かれた足の間、ビリーは差し込んだ手でガイの後庭を探る。
「んっ……」
 乾いた指先で軽く突付いてやるだけで、ガイの肌が粟立った。
 拘束のない身体が不安定に揺れる。とっさに伸ばされた腕を空いた方の手で掴んだビリーは、そのままガイを引き寄せ、身体を支えるように抱きなおす。
「取りあえず、肩にでも捕まってろ」
「せやけど……」
「今日の所は、俺が手伝ってやる。けどな、いずれは自分で出来るようになるんだ。自分でココを柔らかくなるまで解して、広げて、受け入れる」
 布団の脇に転がるローションのボトルを取り上げたビリーは、それを使ってガイの後ろを解していく。既に何度も重ねられた行為に、ガイの身体はやすやすとビリーの指を飲み込み、ビリーの動きに合わせて柔らかな収縮を繰り返した。
「あっ、ああっ……」
「腰は下ろすな。足に力を入れておけ」
 そう命令する声は、言葉の中身に似合わず穏やかに響く。ガイはビリーの肩を掴む手に力を込めて、崩れそうになる姿勢を保った。
「そろそろいいな」
 ズルリと抜け出していく3本の指に、とうとうガイの身体が崩れ落ちる。ビリーの足の上にペタリと座りこんでしまったガイは、何度も荒く息を吐き出した。
「しっかりしろよ。ここからが、メインだろう?」
 ビリーはそう言いながらも、ガイが息を整える時間を充分に与えてやる。やがて意を決したように、ガイがゆっくりと腰を浮かす。
「できるな?」
 頷くガイに、ビリーも頷き返した。位置を計りながら、ガイはそろそろと腰を落として行く。
「くっ……」
 屹立する先端に自ら入り口を押し当てたガイは、息を詰めて緊張で身体を強張らせた。痛みの記憶はそう簡単に忘れられるものではないからだろう。
「息を吐け。身体の力を抜いて。そうだ、ゆっくりでいい」
 ビリーの言葉に促されて、少しづつだがガイはビリーを体内に受け入れていった。痛みよりも苦しさでだろうか、眉を寄せながらガイは浅い息を繰り返す。
「手伝って欲しいか?」
 半分ほど埋めた所で往生するガイに、ビリーは極力優しく問い掛ける。負けん気の強い所があるガイが頷きやすい様にという配慮を、最近ではビリーも多少心がけていた。
 顔をあげたガイはビリーを見つめ、一旦頷きかけてから、否定を示すように首を横に振る。一度自分で決めたことを譲らない強情さは相変わらずだ。
 ビリーは零れそうになる苦笑を押さえ込んで、ガイが全てを飲み込むまで待ってやった。
 ホッと息をついてビリーを見上げるガイの瞳は、どこか誇らしげでさえある。今日の所はこれで充分だとビリーは思った。しかし、だからと言って、ハイ終了とばかりにせっかく苦労して埋め込んだモノを抜いてしまう訳にはいかないだろう。
「最終的には、お前が自分で動いて俺をイかせるくらいのことはして貰うつもりだがな。取りあえず、ここまで良く出来た分の褒美をやるよ」
 抱き寄せて、唇を重ねる。ビリーから与える深いキスは久しぶりだった。
「ふっ……んんっ……」
 甘い声が音にならずに漏れる。ビリーは注意深く腰を揺すり、指によって何度も確認したガイのイイ場所を責めてやりながら、肌の上の敏感な場所を唇と舌と手でなぞり、更に深い快楽を引き出していく。
「あ、あぁん……ん、ビリィ、ぁ、あっ、イかせ、て……」
 口にして請うことが、終了への暗黙の了解になっていた。手の中で、幼いながらも快楽を主張して硬くなっているガイ自身を、柔らかく包み込んで扱きあげる。
「あっ、あっ、あああっ!」
 ビクビクと身体を痙攣させ、ガイはビリーをキツク締め付け昇りつめた。さすがに眉を寄せて耐えてから、まだ荒い息を吐き出すガイを促し、その体内から引き抜いた。
「ビリー、は……?」
 イかせなければとでも思ったのか、ガイはビリーへと手を伸ばす。その手を止めて、ビリーはガイの身体を布団へと横たえる。疲れ切った身体は、抵抗をしめすことなく従った。
「今日はもういい。少しゆっくり眠るんだ」
 その言葉にガイの瞳が揺れる。この部屋を使用するようになってから、時折見せるようになった瞳。決して一人で置き去りにされることを寂しいなどとは言わないガイの、隠しきれない感情が浮かんでいる。
 わかっていても、掛ける言葉は見つからない。
「また後で、食事を持って来る」
 それだけ伝えて、後ろ髪引かれる思いを振り切り、ビリーは部屋を後にした。

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