サーカス10話 調教終了

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「もう、お前に教えることはないな」
 そう言ったビリーに、ガイは悲しそうに笑って見せた。
「ほな、ビリーはお役ゴメンてことやな。ワイは今後、どうなるんや?」
 ガイが、自分の立場やビリーがガイをペットとして飼ってやると言ったそれが仕事であることを、理解しているらしいのはビリーもわかっている。増えた会話の中、時折予想もしない単語が飛び出て来るのは、相変わらず愛読している辞書のせいだろう。
「お前の今後は、オーナーが決める」
「そう、やろな」
 複雑な表情で深く息を吐き出したガイが、何を考えているのか、ビリーは知る由もない。ガイとオーナーとの間に何があるのか、はっきりとしたことは何も知らされていなかったし、知る必要もないと思っていた。
 ビリーの知っていることと言えば、前にチラリと、借金の形として連れられてきたという話をセージから聞いた程度だ。
「もし、オーナーの前では大人しく言うこと聞いたりせんよ。て言うたら、どないする?」
「なんだそれは、俺への挑戦か?」
「そういうわけと、ちゃうけど……」
「オーナーの前でもちゃんと躾られた通りにイイコにしてみせます。って、誓わせてやろうか?」
「心配せんでも、今更オーナー相手に逆らったりせんわ」
 どんな方法で誓わせるかを告げたりはしなかったが、ガイは小さく笑って首を振った。

 
 部屋を移動してからずっとガイの首に付けられていた首輪に、鎖が繋がれたのはその日が初めてだった。鎖の先にあるのは壁ではなくビリーの手。
 大きなドアを1枚くぐった先で、ビリーは鎖を手にしたまま、ガイに服を脱ぐようにと指示した。目の前にあるドアの先、待っているのはオーナーだ。ビリーの前で裸体を晒すことには慣れたガイも、さすがに緊張を隠せない。
「いいか?」
 堅い表情で頷き返すガイに、ビリーは目の前のドアをノックした。開かれたドアの先へ踏み出せば、正面の机に向かうオーナーが二人を迎えた。
「お疲れ様、ビリー。そして、久しぶりだね、ガイ」
 ビリーは軽く頭を下げたが、ガイはそのままオーナーへと真っ直ぐ視線を投げる。
「おやおや。挨拶も出来ないほどに嫌われてるのかな?」
 ニコリと笑ってみせるそれは、ガイへの催促だ。キュッと唇を噛み締めたガイは、小さく息を吸い込んで、ようやく口を開いた。
「お久しぶりです」
「うん、大分イイコになったねガイ。それじゃあさっそく、ビリーから教わったことを披露して貰おうか」
 ビリー。と名前を呼ばれたビリーは、黙ってガイの首に繋いだ鎖を取り外す。チラリと窺うガイの瞳には頷いてやってから、その背をオーナーに向けて押し出した。
 豪奢な椅子に腰掛けるオーナーの前まで進み出たガイは、まずはその足元に跪く。
「御奉仕させて頂きます」
「もう一度。ちゃんと顔を見せて言わないとダメだろう? 君の態度が全て、ビリーの仕事の評価に繋がるんだよ?」
 ハッと顔をあげたガイに、オーナーは笑みを深くした。
 わかったねと再度オーナーが促せば、今度はオーナーの顔を見つめたまま、ガイはもう一度始めるための口上を述べる。
「そう、それでいい。さぁ、続けて」
「はい」
 自分の態度が全てビリーの評価に繋がる。
 予想はしていたが、実際に言葉にして告げられると逆らいきれない拘束感があるとガイは思う。
 身体の自由を奪われるよりも、言葉によって縛られるほうが苦手だったが、そんなことを思っても仕方がない。
 ガイはビリーに教えられた通りに、オーナーのモノに唇を寄せた。慣れ親しんだ行為に懸命に挑むガイに、オーナーもすぐに興奮を示し勃ち上がる。
 机の影に隠れてガイの姿がはっきりとは見えていないビリーの耳にも、濡れた淫猥な音が届いた。
「このまま口でイきますか? それとも、乗ってしまってもよろしいですか?」
 一旦顔を上げたガイの吐き出すセリフに、ビリーは内心の驚きを隠せない。
 求められたことに拒否を示さず従うこと。という点はかなり徹底して教え込んできたが、返事のし方や自ら問い掛ける術などに関しては、ほとんどガイまかせだった。
 言葉の訛りも、矯正しようとしたことなど一度もない。というよりも、独特のイントネーションで紡ぎ出される言葉を、ビリーは結構気にいっていたのだ。
 そのガイが、オーナー相手にあそこまでの対応を見せるなどとは、ビリーは欠片も予測できていなかった。
「なら、乗って貰おうかな」
「はい。では、身体を慣らすのに少しだけお時間を頂きます」
「ああそうだね。じゃあ、せっかくだから、僕にも良く見えるようにして慣らしてくれる?」
「はい」
「随分簡単に頷くね。さすがビリー仕込みってとこかな」
 オーナーは入り口付近で佇むビリーに笑顔を向ける。
「ありがとうございます」
 返答に困りながらも、ビリーは辛うじてそう返した。そんなビリーに構うことなく、オーナーはガイへと向きなおった。
「どうしようか。このデスクの上にでも乗って貰ったほうが見やすいかな」
「机の上、ですか……?」
「嫌?」
「……いいえ」
「決まりだね」
 ヒョイとガイを抱き上げたオーナーは、広々とした机の上にガイを乗せる。
「良く見えるように、足はしっかり開いて」
「はい」
 言われるままに、ガイは机の上で立てた膝を開き秘所を晒した。
「ああ、既に大分慣らしてあるんだね。濡れてヒクついてるけど、ビリーに、ここで感じられるようにして貰った?」
 オーナーの前で、一からゆっくりと慣らすような真似はさすがにしない。既にたっぷりと塗り込めてあるローションの助けを借りて、伸ばされたオーナーの指がすんなりと一本埋め込まれた。
「あっ……」
「さすがに随分柔らかいね」
「んんっ」
 確かめるように中を探る指に、ガイの声が艶を帯びる。
「ちょっとつまらないけど、仕方ないか。ほら、さっきその口で咥えたモノが入るくらいに広げて見せてくれるんだろう?」
「はっ……はい……」
 抜け出た指の代わりに、ガイは自分の指先をあてがい、その場所を広げていく。
 ビリーのものとは違う、楽しげに観察するようなオーナーの瞳。逃れるように瞳を閉じて、ガイはオーナーを受け入れるための準備に没頭して行った。
「はぁ……ぁん、んっ」
 荒く弾み始める息と時折ガイの零す声に、オーナーは楽しげな表情を崩さないままで、目の前のガイと少し離れた場所に立ったまま無表情に二人を眺めているビリーとを観察する。けれどその時間は長くは続かない。
「準備、終わりました」
「うん。なら、まずはそこから降りてくれる?」
 指示通りに机から降りたガイの腰を抱きよせたオーナーは、クルリとその向きを変える。
「せっかくだし、ビリーに見てて貰いなよ」
「あっあああっ……!」
 言うなり押し入ってきたオーナーに、押さえることを忘れたガイの声が響く。
「あっ、あっ、ああん」
 なんとか机の端を掴んだガイはそれに縋って、思いのほか激しいオーナーの動きにただ翻弄されるだけだった。
「本当に、ここで感じられるほどになったんだね。でもちょっと、煩いかな」
 休むことなくガイを責めながら、オーナーはビリーの名前を呼んだ。
「ねぇ、ビリー」
 呼びかけの声に、ガイの身体も小さく反応を示す。キュッと締め付けてくるそれに、オーナーは満足そうに更にガイを揺する。
「はぁあっ……うっぅん」
「ちょっとガイの口、塞いでくれない?」
「えっ……」
 既に、終わるまでは退室できないのだと思っていたビリーだったが、さすがに、自分も加われと言われるとは思っていなかった。
「それは、どういう……」
「わからない? ってことはないと思うけど。ガイの前の口が寂しがって啼いてるからね、君ので満たしてあげてよ。見てるだけってのもつまらないだろ?」
 つまらない。なんてことは欠片ほども思っていなかったが、オーナーの言葉には逆らいがたいものがある。ビリーは二人へ向かって一歩を踏み出した。
「ほら、ガイ。ビリーも気持ち良くしてあげな」
 動きを緩めてそう促せば、ガイは荒い息を吐き出しながらもビリーのフロントへと手を伸ばす。小さく震える手を取って、ビリーはほぼ自分の手で前をくつろげ、ガイの口元近くへソレを差し出した。
「んっ……むぅ~っ!」
「噛まないように気をつけなよ、ガイ」
 口に含んだ途端に再度激しく責められて、ガイは慌ててビリーの腰に縋る。
「無理しなくていい。そのまま口だけ開けておけ」
 それでもなお、舌を絡めようと頑張るガイを、ビリーは柔らかに制止した。
「意外と優しいんだ」
「噛まれたら困るので」
 ニコリと笑うオーナーに、ビリーも平然と笑い返す。
「それにしても、良くここまであのガイを躾けたね」
「仕事、でしたから」
「うん。それでも、かなり驚いてる」
 随分好かれたもんだ。と続いたセリフに、ビリーは思わず眉を寄せた。
「そんなに熱心に咥えてもらってる割に、意外そうな表情だね」
 頭上で交わされる二人の会話を理解できるほどの余裕がガイにはない。ただひたすら快楽の波を耐えながら、ビリーのモノに歯を立ててしまわないようにと必死で口を開き続ける。
「これは、そう躾けたから、ですよ」
「そう? 僕への時とは明らかにガイの表情が違うんだけど。と言っても、君には見えてなかったか」
「……からかってますね?」
 それへは否定も肯定も示さず、オーナーはただ笑って見せるだけだった。

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