今更嫌いになれないこと知ってるくせに34(最終話)

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 ほぼ同時に終われた事に心底ホッとしつつ、さすがに疲れきって、なんとか繋がりを解いた後で甥っ子の上に崩れ落ちる。体格差はそうないどころか体力的にも筋力的にも若い甥っ子のほうが断然上だろうから、相手を潰す心配はまったくしていなかったが、やはりビックリはさせたらしい。
「わっ、ちょっ、にーちゃん!?」
 相手の声も随分と疲労が滲んでいたが、それなりの声量が出せるくらいには元気なようだ。
「ゴメン、先にちょっと休憩」
 年を感じるとぼやいたら、体の下で甥っ子がクスクスと楽しげに笑った。笑いながら、背中に回った腕がゆるりと抱きしめてくる。
「にーちゃんだってまだ20代なのに。でも、疲れきるほど気を遣ってくれたんだって、わかってるよ。いっぱい優しくしてくれて、ありがと」
「途中暴走もしたけどな。でも、ちゃんと一緒にイけて、本当、良かった」
「それ、まさか本当にそうしてくれるって思ってなかったよ。凄いね。というか、疲れさせたのって、それが原因だよね?」
「まぁお前初めてだから、こっちもかなり手探りだったし。でも、悪くない初めてになったろ?」
「うん。めちゃくちゃ幸せな初めてだったよ。あの時ムリヤリ抱かれなくて良かったって、凄く思った」
 にーちゃんの言った通りだったよと言われたが、当然それも意識してはいた。自分の体を大事にしろだとか、もっといい機会が来るだとか、そんな事を言った手前、ここまで待って良かったと思えるような初めてにしてやりたかった。
「そりゃ良かった。で、体はどうだ? シャワーとか浴びれそう?」
「俺の上で潰れてるにーちゃんがそれ聞くの? このまま寝る気かと思ってたよ」
「俺はそろそろ復活するって。まだ20代だからな」
 20代を強調したら、やはり体の下で甥っ子が楽しげに笑う。
「シャワー行く?」
「ああ。でもお前が無理そうなら先に体拭いてやるから」
「平気って言ったら一緒にシャワー?」
 期待に満ちた声に思わず笑ってしまった。
「平気そうだな。じゃ、一緒にシャワーするか」
 言いながら体を起こせば、下敷きになっていた甥っ子も続いて身を起こす。
「やった。洗いっこね」
 早くと急かす甥っ子の足取りは軽く、どうやら体は本当に大丈夫そうだ。
 風呂場で洗いっこなんて事をすれば盛り上がってしまうのは当然で、特に甥っ子は若さゆえかあっという間にガチガチにまた勃たせている。10という年の差をひしひしと感じつつ、洗ったついでだと言いながら口を使ってイかせてやった。
 もちろん甥っ子も同じように口でしてくれようとしたけれど、さすがにそれは断った。してもらえばそれなりに気持ち良くはなれるだろうけれど、もう一度吐き出したい元気はない。
 甥っ子は若干不満気だったけれど、明日も明後日もその先も、何度だって次があるだろと言えば納得したようだ。それどころか、酷く嬉しげでご機嫌になった。
 そのご機嫌はベッドに戻っても続いていて、隣り合って寝転がった後、こちらを見つめる甥っ子はなんだかふわふわとした笑顔を振りまいている。
「にーちゃんと一緒に暮らすの、本当にずっと憧れだったんだよね。うんと子供の頃からさ。なんで夜は別々の家で寝なきゃダメなんだろって思ってた。なのににーちゃん遠く行っちゃって帰ってこなくて、それでにーちゃんの嫁になりたいとか、完全に憧れ拗らせてる自覚あったけど、でも、今、すっごく幸せだ」
 恋人にしてくれてありがとうと言いながら、甥っ子がゆるく抱きついてくる。
「明日も、明後日も、その先も、ずっとにーちゃんと一緒に暮らしたいよ」
「俺だってそのつもりだよ。あちこち巻き込んで、許してもらって、それで一緒に居られるってのに、そう簡単に別れてなんかやれるか」
 覚悟しとけと言ったら、にーちゃんもねと返された。
「あのさ、不束者ですが、末永くよろしくお願いします」
「こちらそこ至らない点も……って何言わすんだ。てか何言ってんだ」
「恋人にはなれたから、次はやっぱ嫁狙いかなぁって」
 受験後に時間あったから一応花嫁修業もしてきたんだよねなどと言って、ふへへと照れ笑う。
「おまっ」
「料理のレパートリー増やしたかっただけなんだけど、それだけじゃダメって言われて、掃除とか洗濯のコツとかも、にーちゃんの負担にならないように教え込まれてきたからさ」
 家事は俺がやるからねなどと張り切られて、じゃあしっかり稼いでこないとなどという思考になってしまう辺り、とっくに嫁になりたい発言も受け入れてはいた。とはいえ、彼の今の身分は大学生で、叔父の世話で忙しく単位を落としたなんて事になったら、親や姉夫婦に合わす顔がない。
「そりゃ助かるけど、でもあんま無理すんなよ。先は長いんだから、頑張り過ぎると疲れるぞ。家事なんて分担してやりゃいいんだって。あと、勉強第一な」
「わかってるよ。でもご飯は俺の担当ね。そこ譲らないから。にーちゃんの胃袋掴むから」
「てか俺がたいしたもん作れないの、お前知ってんだろ。正直メシに関しては期待してるよ」
 キッチンは姉の家同様の3口コンロだし、冷蔵庫もこの機会に大きな物へ買い換えている。それに気づいた甥っ子が随分と喜んでいたのは、つい数時間前の話だ。
 調理器具に関しては、夏に甥っ子が購入したもの以外ほとんどないと言っていい状態だけれど、それも必要な物は追々揃っていくのだろう。
「後、俺の胃袋なら夏の間にお前がとっくに掴んでっから。10年ぶりに近い実家の味とか、あざとすぎなんだよ」
「ばーちゃんが味方で俺の大勝利」
 ふふっと笑う顔はやはりふわふわと幸せそうで、こちらもなんだか胸がじわりと暖かくなる。
「俺が作れるようになったばーちゃんのレシピ増えてるから、ホント、楽しみにしてて」
 言いながらあくびを噛み殺す。
 ふわふわとして見えるのは、どうやら眠さもあるようだとようやく気づいた。
「楽しみにしてるよ」
 軽いキスを一つ贈って、ベッドヘッドに置いていたリモコンで部屋の明かりを落とす。
「寝るの?」
「疲れてるだろ?」
「でもなんか勿体無くて」
 なんて事を言った割に、ものの数分後には寝息が聞こえてくる。可愛い寝息を吐き出す唇に、もう一度チョンと触れた後。自分もそっと目を閉じれば、すぐに心地よく幸せな眠りに包まれた。

< 終 >

最後まで読んでいただけてすごく嬉しいです。
長々とお付き合い本当にありがとうございました!

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