「お前ちゃんと俺に気を遣って生活してくれてるし、多少の不便には、もう、慣れたし。別に、このままでも、構わないとは思ってたよ。ああ、でも、俺に気ぃ遣って生活するのなんか、お前が嫌か」
自分の発する言葉に、傷つけられていくのがわかる。そんなこちらの状態に、どうやら相手も気付いているらしい。
「嫌じゃないよ。このままここに居座って、お前と暮らし続けたい気持ちだってある」
ますます苦笑を深くしながらも、優しい気配を纏って、彼が言葉を重ねていく。
「ただ、やっぱさ、どう考えても、ここってお一人様物件だからさ。同じ時間帯で生活するにはどうしても狭いだろ」
実はとっくに夜間アルバイトは辞めていて、再就職先も決まっているどころか、既に働きだして二ヶ月は経過している。なんて事を言い出すから、驚いたなんてもんじゃない。
「え、じゃあ、お前、いつ寝てんの? えっ? なんで? どういうこと?」
わけがわからず頭の中に疑問符が満ちていくまま口に出せば、ここに住んでる振りをしていただけだという答えが返された。
「新しい仕事決まったから出てくよ。じゃあな、ありがとな。ってので、終わりにしたくなかったんだよ。お前が、俺の手を嫌がらないから」
仕事が決まった頃は、お前を利用したい気持ちと単純にお前と過ごす時間が楽しかった気持ちが半々だったと告げられ、正直だなぁと今度はこちらが苦笑する。
「都合よく利用されてるのはわかってるけど、わざわざお前から言ってくるなよ。もう出てくにしたって、利用し終えたからもういい、みたいな言われ方されたらさすがに傷つく」
「ばっ、違っ!」
慌てた様子で誤解だと言ったくせに、いや全部が誤解ってわけでもないんだけどと、もごもごと申し訳なさそうに言い募る。
「お前なら、理由話せばある程度は受け入れてくれるんじゃ、って期待してここ来たのは事実だし、お前が出てけって言い出さないライン考えながら気を遣うのは自分のためだったし、お前の懐のデカさに甘えて、可能な限り利用してやろうと思ってたのも事実だよ。お前に手を出したのだって、お前の勃起ちんぽ握ったり射精するの見たらインポ治んないかなぁみたいな期待からだったし、だから、仕事決まってももーちょいお前のそばに居続けたかった理由の中に、お前に触って、お前が気持ちよくなるの見てたら、また、昔みたいに抱きたくなって勃つようになんじゃないかって期待があったのも事実なんだけど、でもっ」
だんだんと興奮気味に喋っていた相手の腕が伸びてきて、がしっと両肩を掴まれた。
「お前を利用してやろうなんて気持ちは、とっくに全部、このままお前と一緒にいたいって気持ちに取って代わられてる。利用し終えたから出てくんじゃなくて、これから先、お前と対等に付き合っていきたいって思うから、出てくんだよ。さっき言った、俺に惚れてってやつ、かなり本気だから。だから、医者にも行ったんだ」
真っ直ぐな視線に射抜かれて、ドキドキが加速する。
「対等に付き合いたいって、友人として、ではなく?」
「お前が俺を、どうしてもそういう対象には見れないってなら、セックスもする友人、ってので妥協してもいいけど。でも出来れば、俺に惚れて欲しいって思うよ」
「そういうお前はどうなんだよ。まさか俺に、惚れてんの?」
まさかってなんだよと笑った顔が近づいて、軽く唇が触れ合った後。
「お前に惚れてる」
本気を疑う余地がない真剣な声音で囁かれて、ダメ押しとばかりに、好きだよと告げられ再度唇が塞がれた。
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