初恋は今もまだ 友人2

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 初耳なんだけどと言ったら、男の恋人がいたって時期にお前らと飲んだことなかったからと返され、更に驚きがふくらんだ。
 あのメンバーで集まると、ダラダラ長時間にわたって飲むことが多いから、恋愛絡みの話題が全く出ないということもまずない。なので互いの恋愛遍歴は、なんだかんだ筒抜けだ。
「男の恋人、居たことあるんだ?」
「一瞬だけな。てわけで、安心して俺に身を任せたらいいと思うよ?」
「今の話に安心できる要素、全く無いんだけど。それ、一瞬だけの付き合いなのに相手食ったって意味だろ?」
 俺の身がヤバい気配しかないと言ったら、だったらさっさと逃げ出せば? と返されて、本当に、なんでさっさと逃げ出さないんだろうと思う。せっかく初恋の相手が付き合いたいと言ってくれた上、目の前の男もそちらを選べと言っているのに。
 自分の気持ちが不思議で仕方がない。つい先日まで、本当に友人の一人でしかなかったはずの相手に、長年の片想いを覆す何かを感じているらしい。
「俺、お前の何が、こんなに気になってんだろ?」
「えーそれを俺に聞くの? てかさっきから俺、お前に自分で自分の気持ち考えなさいって言ってんじゃん。俺はお前が思うより多分ずっと狡猾なクズだから、このまま話してたら、お前が俺を好きって結論になるように誘導しちゃうよ?」
「本当に狡猾なクズは、多分、わざわざそんなこと言わないでやると思うんだけど」
 そうだ。なんだかんだ言いながらも恋人になって自分から手を繋ぐまでしたのだから、こいつの言う通り上手く誘導されたらその気になる可能性が高い。なのにわざわざ気をつけろと警告し、逃げるように促してくる理由がわからなかった。
「お前の本心が見えないのが、なんかモヤモヤして気になってる……かも?」
「そうかぁ? 割と素直に気持ち曝け出してる方だと思うんだけど」
「お前の言葉を信じるなら、一応ちゃんと俺を好きで、俺を本気で幸せにしてやりたいと思ってくれてるんだろ? 俺相手にでもエロいこと考えられるんだろ? ならなんで、こんなあっさり別れ話したりお前から逃げるように促したりすんの?」
「そんなの、ちゃんとお前を好きで、幸せにしてやりたいから。だろ」
「そこが良くわかんない。好きで幸せにしたいのに、俺を突き放してんじゃん」
「あーもーわかった。じゃあ、お前、今ここであいつのへの気持ちはっきりさせて。お前の中で、長い初恋がどうなってんのか俺に説明して」
 なんでそんな事をと言う前に、なんでは禁止なと告げられてしまう。でも禁止と言われたって、意味がわからないことには従いにくい。
 なんでと口にはしないものの、なんでかを考え始めてしまったからか、暫くして諦めたような溜息が聞こえてきた。
「俺はさ、あいつとの初恋を成就させたほうが、お前が幸せになれるだろうと思ってるから、お前のために身を引くの。お前が好きだからそうするの。でも俺が身を引くのが解せないってなら、せめて、そうじゃないかもって思える何かを俺に示して」
 ああ、なるほど。やっと少しわかった気がする。
 考えろ選べと言いつつも、こいつの中では既に答えが決まっていて、あいつと付き合うほうが幸せなはずだと思っているって事なのか。
「俺のためにも、あいつのためにも、お前はちゃんと考えて答えを出して」
 そう続いた真剣な声に、こちらも真剣な声でわかったと返した。

続きました→

 
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