初恋は今もまだ 友人1

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 笑う相手の顔を、マジマジと見つめてしまった。聞いたばかりの、エロいことをされる覚悟を決めてこいという言葉が、頭の中を何度もぐるぐる回っている。
「そうそう。そうやっていっぱい考えりゃいいよ」
「なんか他人事みたいなんだけど」
「他人事だろ?」
「それは要するに、お前はなんだかんだ言いながらも、俺がお前を選ぶ可能性なんてないって思ってるってことだろ」
「そりゃこの状況のまま放り出したら、お前が選ぶのは俺じゃなくてあいつになるもん」
 賭けてもいいよなんて言い出すから、なんだか本気で腹立たしい。ほぼむりやりに近い形で強引に恋人って関係になったのに、あっさり手放されたことだって、やっぱり本心では納得できていないんだろう。
 このまま交際を続けたら、こいつ相手でももしかしたら友情以上の感情が湧くかもなんて思いながら、待ち合わせ場所でこいつを待っていた自分を思い出したら、なんだか色々裏切られたような気分になる。
「お前、勝手過ぎ。だいたい、何あっさりあいつにデート譲ってんの? 俺はお前とデートするつもりで、お前のことを待ってたんだけど。別れ話、俺、まだ了承してないんだけど」
「お前、自分で何言い出してるか、わかってる?」
「今ちょっと、お前に結構ムカついてるから、あんまわかってないかも。でもお前は他人事とか言える立場じゃねーのは確かだから」
 睨むようにして吐き出せば、相手は一瞬困ったような顔をした後で、結局笑い始めてしまう。
「俺、お前のそういうとこ、好きだよ」
「そういうトコってどういうトコだよ」
「自分に素直だなぁってトコ。じゃあ、俺を選ぶ可能性もあるみたいだし、本気で俺に口説かれてみる? 先に言っとくけど、お前が抗いきれると思わないから、お前は俺を選ぶことになっちゃうよ?」
「なんだよその自信」
「だってお前、結局俺と恋人になったじゃん。手だってお前から繋いだだろ。逆に聞くけど、今俺がここでお前にキスを迫るとするだろ、そしたらお前、逃げきれる自信ある?」
「……ない、かも」
 正直に言えば、ほらぁと言いたげに呆れを混ぜた顔で、やっぱり笑われた。
「で? それがわかったところでもっかい聞くけど、お前、俺に本気で口説かれてもいいの? あいつへの気持ち、ちゃんと考えて答えを出してやるんだろ?」
「そうだけど」
「んー、まだ不満そうだなぁ。お前が他に気になってることって何よ?」
「他に……」
「なんかあるから、そんなモヤッとした顔になってんだろ。いいから思いついたもの言ってみ?」
 言われて考えてみる。確かに、なんとなくもやもやした気持ちは残っているから、何か気になることがあるのかも知れない。
「あー、じゃあ、これ聞きたい」
 一つ思い当たって口を開いた。
「お前はさ、もし俺がお前を選ぶよって言ったら、俺にエロいことしたいって本気で思うの?」
「あー……それな。お前、俺とエロいことしたいと思えないんだもんな。それどころか、あいつとエロいことしたいかどうかすら、自覚ないんだもんな」
「そーだよ。だから聞いてるんだろ。お前、男の俺相手でも、エロい気分になるの?」
 聞いたら、俺バイだし普通に男も性対象と返ってきて、さすがに予想外過ぎて驚いた。

続きました→

 
 
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