まっすぐベッドに向かった相手が、端に腰掛け見上げながら手を伸ばしてくる。
「キス、お前がする? それともされる?」
「する」
伸ばされた手を取り、ゆっくりと引かれるより早く、身をかがめて唇を塞いだ。もちろん今度は、緩く開かれた唇の隙間に舌を差し込んでやる。しかし中途半端な体勢に、結局すぐに顔を離してしまった。
なんとなく気まずい気分になったが、相手は気にする様子もなく、繋いだままの手を引きながらベッドに仰向けに倒れていく。多少の躊躇いはあるものの、引かれる力に素直に従い、自分もベッドに乗り上げた。
相手の両脇に膝をついて、押し倒す形で相手を見下ろす。
「もっと、して?」
繋いでいない方の手が、さっきと同じように後頭部にまわって、再度引き寄せられるまま唇が触れた。
誘うようにチロリと唇を舐められて、もう一度舌を伸ばす。今度こそしっかりと、相手の口内をじっくり探ってやった。
時折、流れ込んでいる唾液を嚥下する相手の、喉が動く気配がして興奮する。嬉しような気恥ずかしいような、なんとも言えない気分だった。
「あ、のさ」
飽きることなくかなり長いこと続けてしまったキスを中断したのは、キスだけじゃ足りないくらいに気持ちが昂ぶってしまったせいだ。
こいつとエロいことが出来るか、エロいことをしたいか、そんなことを迷っていたのがいっそ笑える。
「キスだけじゃ、足りない」
「うん、俺も」
言ったらすぐに、柔らかな笑いとともにそう返された。
「脱がせていい?」
「いいよ。でもお前も脱いで」
頷いて、まずは相手の服に手をかける。
多少の躊躇いはあったものの、あっさり二人共全裸になって、ベッドの上に転がった。じっくり観察したりはしなかったものの、お互い既にしっかり勃ちあがっている。
性急にそこを弄りあって気持ち良くなってしまいたい気持ちを抑えながら、裸のまま抱き合って、触れるだけのキスも、舌を絡める深いキスも繰り返した。
欲求を抑えこんできた年月の違いか、先に音を上げたのは相手の方で、お願いだからもうイかせてと、水分量の随分増した目で見つめてくる顔がたまらなく可愛い。
どちらかと言えば、相手にじゃれて纏わりついて好き好き言いまくる自分のほうが、可愛い担当だったはずだ。要するに、可愛いという方向でこの親友を見たことはほとんどなかったので、それは酷く新鮮で驚きだった。
「お前、さっきからずっと俺に合わせてくれてるけど、このままだと俺、お前抱きたいって言い出しそう……」
だってお前がこんなに可愛い。とまではさすがに言わなかったけれど、まさかこんなにあっさり抱きたい気持ちになると思ってなかった戸惑いはかなり強い。
「ダメなんて言わないよ。どっちでもいい。それより今はさ、」
早くもっと気持ちよくなりたいと再度ねだられて、相手の性器を包み込んだ手の動きを加速させた。
<終>
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