深いキスに応じる様子はやはり、一生懸命という言葉がよく似合う。どこまでも必死で、確かに可愛いとは思うのだけれど、好きでもない相手をその気にさせようとするいじらしさが際立ってしまって、なんだかこちらが切なくなる。
「そんな頑張らないでいいから。それよりお前がリラックスする事考えて。お前の緊張が十分に解けて、一緒に気持ち良くなれる準備が出来るまでは挿れないよ」
そんな宣言をしたせいか、焦れったいとかさっさと挿れろとかの文句はなかった。けれど、いくら感じさせられることを了承していても、やはりそう簡単に全てをこちらに委ねては貰えない。
たくさんのキスをして、その肌をあちこち優しく撫で擦って、何を口走っても忘れてあげるから大丈夫だとしつこく繰り返した。しかも、何を口走ってもいいと言いながら、うわ言のようにイヤだとこぼれ出る言葉は、そのまま知らん顔で聞き流すことなく、イヤなのではなくキモチガイイのだと訂正させた。
相手が少しずつなにがしかの拘りを捨てて、諦めたようにイヤをイイと言い換えて、甘く上がる声がもっと強い刺激を、熱の開放をねだるようになるまで待って、ようやくもう一度、今度は正常位で体を繋ぐ。
「ひぁあぁあっっ、ああ、っふ、ぁあ」
喘ぎ泣きながらも、快感に引きずられて幾分高い声が上がった。
「ほらまた入ったよ。さっきよりずっと気持いいね?」
聞けば素直に頷いてみせる。
「一緒にイこうね?」
眼下で萎えることなく快感を示しているペニスを握ってゆるく扱きながらのその言葉にも、必死で頭を縦に振っている。
アイマスクの下ではいったいどんな表情を見せているんだろう。挿入中は堪えきれずに開かれていた口も、今はキュッと結ばれてしまっているから、まだまだ快楽にとろけきっているわけではなさそうだった。
イクこと以外何も考えられないくらいに、溺れてしまえばいいのに。出来ればそうしてやりたいけれど、さすがに今日初めて挿入を経験したばかりの、前立腺の開発もほとんどされていないような体が相手では難しい。
「自分でペニス弄れたりする?」
「……えっ?」
何を言われているかわからないと言いたげな声が上がったが、言葉による説明ではなく、実際に相手の手を取り股間に導いてやった。
開かせた手に相手のペニスを押し付けるようにして握らせる。相手の手ごと握り込んで、何度か上下させてから手を離せば、そのまま相手の手が自慰を始めるなんてことはなく、離したと同時に相手の手も動きを止めてしまう。しかし握り込んだものまで離すことはなかった。
「一人で弄るのじゃ、おちんちん気持ちよくなるの無理そう?」
「な……ん、で……」
「お前が自分で気持ちよくなるのに合わせて、俺もお前の体使って気持ちよくなるって方が、気持ち良くなれると思うし一緒にイくタイミング合わせやすい。っていうだけ。無理なら俺が一緒に弄るけど、お前先にイッた後で俺がイクことになりそうだから、イッた後で突かれるのはお前がキツいかも」
無理ならいいと言いながらも、自分でして貰うつもり満々で口を開く。
「ねぇ、お前が自分で気持ちよくなる所、見せて? 勃起おちんちんイヤラシク弄って、俺を、興奮させてよ」
甘ったるく囁くように告げながら、再度相手の手ごとペニスを握り込んで上下させる。
「ふ、ぁっ……」
熱い息を漏らし、困ったように顔を横に向けてしまったけれど、手を離しても今度はもう、相手の手の動きは止まらなかった。
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